ニュース

NVIDIA、Maxwell採用のハイエンドGPU「GeForce GTX 980」

 米NVIDIAは19日、Maxwellアーキテクチャ採用のハイエンドGPU「GeForce GTX 980」と、その下位モデルとなる「GeForce GTX 970」を発表した。価格はそれぞれ549ドル、329ドル。

 GeForce GTX 750 Tiなどのミドルレンジで採用が始まっていたMaxwellコアのハイエンド版となる。ただし、従来のミドルレンジ向けコアは「GM107」であるのに対し、GeForce GTX 980/970で採用されたコアは「GM204」と呼ばれる第2世代のものとなる。プロセスルールは28nm。トランジスタ数は52億。

 GeForce GTX 980のSM数は16ユニットで、CUDAコアはユニットあたり128個の計2,048コア。テクスチャユニットは128基。SMあたり96KBのキャッシュメモリも備える。ROPユニットは64基で、GeForce GTX 680の32基、GeForce GTX 780 Tiの48基から増量させた。コアの動作クロックはベースクロック1,126MHz、ブーストクロック1,216MHz。L2キャッシュは2MB。TDPは165W。

 メモリは256bit接続でGDDR5 4GBを搭載。動作クロックは7GHz、メモリ帯域幅は224GB/sec。メモリ帯域を効率よく使えるように新たなメモリ圧縮エンジンを搭載しており、Kepler世代に比べて一般的なゲームの平均で25%ほど必要帯域を抑えることができるという。

 GeForce GTX 970の仕様は、SM数が13、CUDAコアが1,664、テクスチャユニットが104、L2キャッシュが1,792KB、ROPユニットが56基、ベースコアクロックが1,050MHz、ブーストクロックが1,178MHz、メモリがGDDR5 4GB、メモリインターフェイスが256bit、クロックが7GHz、メモリ帯域幅が224GB/sec、TDPが145W。

 リファレンスデザインは、ともに2スロットを占有し、背面も放熱プレートに覆われるデザインとなる。背面プレートは一部が取り外せるようになっているのも特徴で、ビデオカードを隣接させて装着する際などに、これを取り外すことでエアフローの改善が見込めるという。

 電源はPCI Express 6ピン×2を搭載。インターフェイスはDisplayPort×3、HDMI、Dual Link DVI。

【記事修正:2015年1月30日】NVIDIAよりGeForce GTX 970のスペックに誤りがあったとのアナウンスがありました。ROP数は64基から56基、L2キャッシュが2,048KBから1,792KBとなります。記事中の当該箇所を修正しました。

「GeForce GTX 980」
「GeForce GTX 970」
リファレンスクーラーの内部。GPUコア上に取り付けられているヒートシンクの裏には銅製のヒートパイプが3本使われている
リファレンスボード裏面。放熱板の一部を取り外し、エアフローを改善できる
映像出力インターフェイス

 このほか、GM204コアでは、いくつかの新機能がサポートされる。

 1つは「MFAA」(Multi Frame sampled Anti Aliasing)で、これはピクセルあたり2点のサンプルを、フレームごとに位置を変えて参照。それを合成した結果でピクセル濃度を決めていくというもの。1フレームあたりの処理は2点サンプルのアンチエイリアシングとなることで性能低下を抑制でき、一方で、視覚的には4点サンプルのアンチエイリアシングと同等になるという技術になる。なお、GeForce GTX 980/970発表直後は本機能は有効化されておらず、後のドライバでサポートされるとしている。

 もう1つ、「Dynamic Super Resolution」(DSR)と呼ばれる、出力先のディスプレイ解像度よりも高い解像度でレンダリングしたものを、高品質にダウンスケーリングする技術をサポートする。例えば、フルHD(1,920×1,080ドット)表示対応の液晶ディスプレイを使用している場合でも、内部では4Kなどの高解像度でレンダリングを行なう。草のような斜めに細いオブジェクトを描画する際、低解像度ではテクスチャが切れてしまうことがあるが、高解像度で処理することで内部的には高精細に描画させ、高品質のガウシアンフィルタをGPU側で適用することでテクスチャが切れることを防ぐなどの効果が得られる。

 このほか、NVIDIAが新たに提供するボクセルベースのグローバルイルミネーション技術「VXGI」において、ライティング情報を埋め込むためのボクセル化を高速化する機能や、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)の表示を行なう際に、センサー情報の入力より前からレンダリングを開始することで遅延を軽減する機能などがサポートされる。

Multi Frame Anti Aliasingは、2フレーム単位でサンプル点を変えて合成する技術で、1フレームあたりは2点サンプルなので性能低下は少ないが、視覚的には4点サンプルに近い品質を得られるというもの
Dynamic Super Resolution(DSR)は、出力先のディスプレイよりも高解像度でレンダリングを行ない、高品質なフィルタを適用してダウンスケールすることで、グラフィックスの品質を高めるもの。左がネイティブ解像度での表示、右がDSRでの表示
HMDを用いたVRについても取り組みを始めており、描画遅延を低減させるために、センサー情報の入力より前にレンダリングを開始し、「A-Sync Warp」と呼ばれる

(多和田 新也)