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NVIDIA、Tegra K1によるUnreal Engine 4などをデモ
(2014/1/30 15:44)
NVIDIAは30日、モバイル向けSoC「Tegra K1」の記者説明会を開催し、製品の概要を解説するとともに、「Unreal Engine 4」などの先端デモを紹介した。
Tegra K1は、CESにおいて発表された次世代モバイルSoC。米国では5日に発表会が開催されており、今回日本で行なわれた説明も基本的にその内容を踏襲したものとなる。
Tegra K1は、Tegra 4の後継となる製品だが、デスクトップ向けと完全に同じアーキテクチャのGPUコア「Kepler」を搭載し、機能面でデスクトップやサーバーと互換性を持ったのが最大の特徴。そのため、製品名もバージョン番号ではなく、Keplerを示す「K」が付与されており、1つの里程標であることが表わされている。
GPUコアは、基本的にデスクトップ版「GK104」の1SMX(192SP)をそのまま用いた構成で、テクスチャユニット数が16基ではなく8基となっている点のみが異なる。API面でも、OpenGL ES 3.0、OpenGL 4.0、DirectX 11、CUDA 6.0と、PCと同一のものを利用可能。
これにより、ゲーム開発者はPC版に大きな手を入れることなく、短期間でTegra K1向けにも移植可能となり、開発における効率性を上げ、コストを削減できる。
実際、説明会にゲストで参加した、エピック・ゲームズ・ジャパン サポート・マネージャーの下田純也氏によると、同社の「Unreal Engine 4」(UE4)は、PC版からたった2年でモバイル版が投入されることとなったが、「Unreal Engender 3」(UE3)の場合と違って、機能を削減しておらず、どちらかというとUE3は内製エンジンを持たない中小の開発会社による採用が多かったが、UE4は国内大手メーカーも導入を検討中だという。
ただし、当初から省電力性を考慮して開発されたKeplerではあるが、デスクトップ版そのままではスマートフォンなどの熱設計に収めきれないため、オフチップメモリへのアクセスを抑制することなどで消費電力を抑えている。
具体的には、Z-cullingやテクスチャ圧縮などにより、GPU上の統合二次キャッシュで処理を行なうようにしている。また、「LightSpeed」と呼ばれるフレームバッファのロスレス圧縮技術を用い、メインメモリアクセスの帯域を4~7割削減。さらに、ローレベルでも、レールゲーティング、パワーゲーティング、クロックゲーティングを行ない、最適化している。
これらにより、PlayStation 3やXbox 360に対し、消費電力は2桁抑えながら、最大で2倍近いGPU性能を実現している。
CPU面では、ARM Cortex-A15 r3コアを採用。Tegra 4と同じ5コア構成で、通常時は高クロックで動作するクアッドコアで動作し、負荷の低い時は消費電力とクロックの低いシングルコアで動作する。加えて、Tegra 4までのノウハウや、TSMCの28HPMプロセスの採用により、同じ消費電力では1.4倍の性能を、同じ性能では消費電力55%削減を実現した。
また、同社は同じTegra K1で、「Project Denver」と呼ばれる独自開発の64bitコアを2基搭載したバージョンも開発しており、Cortex-A15(32bit)版は2014年前半、Denver版は2014年後半より出荷される見込み。Denver版はCortex-A15版とピン互換だが、細かな仕様はまだ明らかにされていない。