イベントレポート
【詳報】NVIDIA、KeplerアーキテクチャGPUの次世代SoC「Tegra K1」
~PS3、Xbox 360の性能を超える
(2014/1/7 00:00)
米NVIDIAは1月5日(現地時間)、ラスベガスで記者会見を行ない、SoC「Tegra」シリーズの新モデル「Tegra K1」を発表した。
NVIDIAの社長兼CEOのジェンスン・ファン氏は、NVIDIAは世界初のデュアルコアSoC「Tegra 2」、世界初のクアッドコアSoC「Tegra 3」、さらに性能を2倍に向上させた「Tegra 4」と、Androidモバイル機器の性能向上に力を注いできたと指摘。そして、その次の世界を切り開くSoCとして発表されたのが、Tegra K1だ。
Tegra K1の最大の特徴は、192個のCUDAコアGPUを内蔵している点だ。このGPUは、PC向けGPU「GeForce GTX 780 Ti」などと同じ、「Kepler」アーキテクチャを採用している。これにより、モバイルからスーパーコンピュータまで同じKeplerアーキテクチャでのGPUコンピューティングが可能になるとともに、モバイルの描画環境が、PCやスーパーコンピュータと同等の、シネマクオリティの3D描画が可能なまでに一気に向上されることになる。
DirectX 11やOpenGL 4.4などもフルサポートしており、最新のPCゲームなどで採用されている高度な3G描画機能もそのまま利用可能。性能は、GFXBench 3.0でAppleのA7約3倍に達し、旧世代据え置きゲーム機のPlayStation 3やXbox 360の性能をも上回るという。
また、PCやスーパーコンピュータと同じアーキテクチャになることで、モバイル向け開発環境の垣根が取り払われ、どのプラットフォームでも動作するようなアプリが簡単に開発できるようになるという。これは、特に開発費が高騰しているゲームなどで、簡単にマルチプラットフォーム化ができ、より多くの顧客獲得のチャンスにつながるという意味で、非常に大きな利点になると指摘した。
その言葉を裏付けるように、Epic Gamesのゲームエンジン「Unreal Engine 4」のTegra K1への提供が発表された。完全な物理演算、ジオメトリシェーダーやHDR、マルチレンダーターゲットといったPCのGPUで実現されている多くの3D描画機能の多くをそのまま実装しており、従来までのSoCとは次元の異なる映像表現が可能だとする。実際にUnrealEngine4を利用したリアルタイムデモ画像が公開されたが、人間の顔の肌の質感や表情の変化、物体への光の反射や周辺環境の映り込みなど、モバイル向けSoCで描画されているとは思えないほどクオリティの高い映像が実現されていた。
Tegra K1には、CPUとしてARM Cortex-A15を4コア内蔵する32bit版モデルと、64bit ARMアーキテクチャベースのNVIDIA独自開発CPU「Denver」コアを2コア内蔵する64bit版モデルが用意され、双方とも完全ピン互換となる。動作クロックは、32bitモデルが最大2.3GHz、Denverデュアルコアの64bitモデルが最大2.5GHz。GPUの仕様はどちらも同じ。消費電力は5Wとされている。搭載製品の発売時期は、32bit CPUモデル搭載製品が2014年上半期、64bit CPU搭載製品が2014年下半期を予定している。
発表会ではこのほかに、車載向けSoCの新モデル「Tegtra K1 VCM」が発表されるとともに、PCゲームをTV画面でプレイできる「GameStream」や、GPUと液晶モニターとの間で描画の同期を調整しスムーズな表示を可能にする「G-SYNC」なども紹介された。それらは写真で紹介する。