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「アジアとの架け橋を目指す」とインテル新社長の江田氏
(2013/10/28 16:47)
インテル株式会社は28日、新たに代表取締役社長になった江田麻季子氏の就任会見を開催した。
会見には前社長の吉田和正氏と江田氏が揃って参席し、まず吉田氏が社長を退く理由を説明した。それを一言でまとめるなら「世界における日本のこれからの成長を考えると、アジアとの良好な関係を築き、日本の付加価値をさらに高めていくには今が最も好機だと判断した」ということになる。
吉田氏はインテルの社長を10年務めたが、毎年さまざまな変化が訪れる中、この数年のアジア諸国の台頭が著しく、今日本は大きな転換期にさしかかっていると感じているという。今後、インテルが顧客とともに成長を遂げるには、アジア市場を理解し、そこで求められる技術や価値を創造し、アジア市場に、そしてさらには世界市場に展開していく必要がある。吉田氏は、そのためには、ちょうど3年前からIntel Semiconductor(APAC地域統括)においてマーケティング戦略に携わってきた江田氏を新しいリーダーに据えることが必要と考え、吉田氏の米国での上司もそれに同意したのだという。
吉田氏は10日付けの発表と同時に社長を退任している。これについて、「急な印象を持たれたかもしれないが、市場がめまぐるしく動く中、決断したら、すぐに行動に移すのがIntelの良さ」と述べ、同社の迅速な経営判断に基づく、前向きな行動だと説明した。
ちなみに、吉田氏にとって最初の大きな仕事は、2003年のCentrinoの立ち上げだったという。Centrinoによって、無線LANでノートPCがどこでもネットに繋がるということが当たり前のものとなり、今のモバイルコンピューティングの礎を築いたといっても過言ではないだろう。
すでに退任した同氏ではあるが、最後に「ロードマップだけではなく、組織も刷新し、新しい考えを持って、市場を作り上げる必要がある。日本は成熟市場と言われるが、エネルギーや、高齢化などまだ多くのビジネスチャンスとなる課題があり、テクノロジーで解決できるよう、“インテル・ジャパン2.0”に向け、成長していきたい」とインテルの今後の抱負を語り、締めくくった。
一方の江田氏は、この数年アジア各国を回り、日本の産業、とくに技術やブランドの強さや、日本の製品が新興国を支えていると強く実感したという。この経験を踏まえ、米国本社と日本との関係だけでなく、アジアとの架け橋になって活動していきたいと抱負を語った。
また、産業やビジネス環境は、これまでよりも速い速度で、しかもユーザー主導の形で変革しており、的確にニーズを把握した製品作りと、スピーディな決断が必要であり、日本の技術の付加価値を上げグローバルに展開していくという吉田氏の方針を受け継ぎつつ、自らのスタイルで今後の経営に当たりたいと述べた。
質疑応答では、PCからスマートフォン/タブレットなどへの移行が進む中、インテルはどう対処するのかという質問に、江田氏は、「我々は性能と電力のバランスを取り、スマートフォンやタブレット向けとなるBay Trailをリリースしている。PCにおいては“2-in-1”など新たな利用モデルを提案するとともに、モバイルにおいても、日本のメーカーと協業し、存在感を出していく」と語った。
なお、江田氏のような女性のカントリーマネージャーの存在はほかにもあり、Intelにおいては特に珍しくはないという。