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Centrinoでワイヤレスを超えた自由を提供
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3月12日 発表
インテル株式会社は12日、赤坂ブリッツで新ワイヤレスモバイルプラットフォーム「Centrinoモバイル・テクノロジ」(以下、Centrino)の発表会を開催した。
Centrinoは世界同時発表となるが、本発表会には、米Intelの社長兼COO(最高執行責任者)のポール・S・オッテリーニ氏や、Centrinoの“生みの親”であるダディ・パルムッター氏らが登壇。
また、著名ゲストや関連メーカーの重役が多数招かれたほか、同社としては異例とも言える派手な演出がなされるなど、同社が日本のワイヤレスモバイル市場をいかに重要視しているかを表していた。
発表会場の赤坂ブリッツ | 会場内の様子。開始10分前には満席となった | タレントのクリス・ペプラー氏が司会進行を務めた |
●Centrinoはティッピング・ポイント
インテル株式会社代表取締役社長ジョン・アントン氏 |
最初に登場したのはインテル株式会社代表取締役社長のジョン・アントン氏。アントン氏は、壇上中央に運び込まれた空の箱の中からいきなり現れるという、マジックで登場。
「おはようございます。アントンです」の日本語挨拶でスピーチ切り出した同氏は、米国ジャーナリストのマルコム・グラッドウェル氏の著作「ティッピング・ポイント」を紹介した。
“ティッピング・ポイント”とは、「あるモノやコトが、飛躍的に普及する劇的瞬間」を指す言葉で、グラッドウェル氏は同著の中で、いかにして“小さな変化”が“大きな変化”を生み出したかということを分析している。
例えば、トランジスタラジオの発明により、人々はラジオを持ち運べるようになり、好きな場所で音楽を聴けるようになった。この可搬性がラジオの爆発的普及をもたらしたのだという。
空のはずの箱の中から出てくるという派手な登場のアントン氏 | 「ティッピング・ポイント」の著者マルコム・グラッドウェル氏 |
アントン氏に代わって登壇したIntel社長兼COOのポール・S・オッテリーニ氏は、まず「モバイル+ワイヤレスはティッピング・ポイントになれるだろうか?」と自問。そして、すぐさま「Yes!」と自答した。
Intel社長兼COOポール・S・オッテリーニ氏 |
Centrinoは、Pentium Mプロセッサ、Intel 855チップセット、Intel PRO/Wireless無線LANモジュールの組み合わせの総称。しかし、オッテリーニ氏によれば、Centrinoには“要求”、“機器”、“インフラ”の3つの意味が込められているのだという。
Centrinoは、ユビキタス通信への要求をかなえる機器であり、それと同時にシームレスな無線通信を実現するインフラでもある、というのがオッテリーニ氏の説明だ。
同社は近年、Wi-Fiの普及に積極的に取り組み、世界規模でホットスポットの普及に努めている。オッテリーニ氏によれば、同社は様々なホットスポットでCentrinoでの接続検証を行ない、Centrinoでの確実な通信を約束する“Centrino認定ホットスポット”も準備中だという。
このように、同社は、Centrinoで、シリコンやプラットフォームだけでなく、インフラまでも含めた総合的な利用環境を同時に提供するという大胆な戦略を展開する構え。発表会では、Centrinoがコンシューマ・ビジネス両方の用途で、人々の生活を変えるような大きな変化や、新たな利便性をもたらすというメッセージが終始投げかけられた。
●デモンストレーションでは“Unwire”を文字通り実演
Intelモバイルプラットフォーム事業本部副社長兼事業本部長ダディ・パルムッター氏 |
続いて、Centrinoの“生みの親”である、Intelモバイルプラットフォーム事業本部副社長兼事業本部長のダディ・パルムッター氏がCentrinoの機能や性能を示す様々なデモンストレーションを実演した。
パルムッター氏はまずPentium M、モバイルPentium III-M、モバイルPentium 4-Mを搭載した3台のノートPCでベンチマークを実行。結果はPentium Mが1番で、続いて、モバイルPentium 4-M、モバイルPentium III-Mの順となった。
また、消費電力の低さや、低発熱を示すデモも行なわれた。パルムッター氏は動作中のCentrinoマシンのCPUの発熱の様子をサーモグラフィカメラで紹介。Pentium Mは高負荷動作時でも表面温度は50度程度であるといい、パルムッター氏はCPUに指で直接触れてみせ、温度の低さを実証した。また、負荷が減るとCPUのクロックが下がり、それに合わせて温度がすぐに低くなる様子も示された。
低発熱はそのまま冷却システムが簡素化できることを意味し、ひいてはPCの小型化、軽量化につながる。この点についてもパルムッター氏はPentium MとモバイルPentium 4-Mの冷却システムの大きさの違いや、CentrinoノートPCの小ささを挙げ、高性能でありながらコンパクトであることをアピールした。
無線LANについてのデモでは、パルムッター氏は、ストリーミング映像を流しているノートPCを持ち出し、いきなりそのEthernetケーブルを大きなはさみで一刀両断した。ノートPCにはストリーミングデータはもともと無線LANで送信されていたので、ケーブルが切断されても、映像は何事もなかったかのように流れ続け、Centrinoが“Unwire”であることを文字通り指し示した。
最後にパルムッター氏は、90nmプロセスルールを採用した次世代Pentium M、Dothan(コードネーム)のウェハを公開。そして、今後IEEE 802.11a、そしてIEEE 802.11gを順次採用していくと述べ、モバイル分野でもテクノロジリーダーシップを牽引していくことを象徴づけた。
●IEEE 802.11gは規格策定後にサポート
質疑応答では、無線LANの他の規格の対応時期などについて質問が及んだ。パルムッター氏はプレゼンテーションでIEEE 802.11gへの対応を明らかにしたが、時期については現状ドラフト段階である同規格が正式に作成された後に対応を図るとした。
Centrinoの名前の意味ついて質問されたオッテリーニ氏は、「特に意味はないが、音の響きの良さでそう命名した。Pentiumがそうであったように、登場時期には明確な意味をもっていなくとも、普及するにつれて独自の意味を持つようになるだろう」とした。
□インテルのホームページ
http://www.intel.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.intel.co.jp/jp/intel/pr/press2003/030312.htm
(2003年3月12日)
[Reported by wakasugi@impress.co.jp]
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