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Intel 18Aの高性能版初期ウェハが生産開始。後継のIntel 14Aにも動き
2025年4月30日 01:00
Intelの半導体受託製造部門となる「Intel Foundry」は、4月29日(現地時間)に、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンノゼ市において顧客向けのイベントとなる「Intel Foundry Direct Connect」を開催した。
それに先立って報道発表が行なわれ、「Intel 18A」の量産、高性能バリエーション「Intel 18A-P」、そしてその微細化版となる「Intel 14A」の情報が明かされた。
量産始まるIntel 18A、高性能版Intel 18A-Pの初期ウェハも製造開始
Intelが受託製造サービスを行なう部門がIntel Foundryで、現在開発中のプロセスノード「Intel 18A」から、本格始動する計画になっている。
Intelは4月上旬の年次イベント「Intel Vision」において、Intel 18Aのリスク生産を開始したことを明らかにしている。リスク生産とは、本格的な量産に向けて、歩留まりや製品の品質などに問題がないかを確認する卒業試験のようなものだ。
リスク生産でのさまざまな確認を経て、実際に顧客に対してウェハの出荷を開始する「量産」へと移行していくことになる。Intelによれば、量産は当初の予定通り年内が想定されている(具体的なタイミングは触れられていない)。
Intel 18Aは、次世代SoC「Panther Lake」に利用されることがすでに明らかになっており、Intelの製品部門にとっても重要なプロセスノードとなっている。
すでにIntel 18Aで製造する製品を設計するのに必要なEDA(Electronic Design Automation)の環境や、レファレンスフロー、IPデザイン(製造する半導体に組み込むCPUやGPUなどの設計図のこと)などを提供しており、顧客はIntel 18Aでの設計が可能になっている。
また、Intelは昨年のIntel Foundryのイベントで、Intel 18Aのバリエーションとして高性能版となる「Intel 18A-P」の存在を明らかにしていたが、今回Intel 18A-Pの初期ウェハの生産が行なわれたことを公表した。
Intel 18A-Pは、Intel 18Aとデザインルール互換になっており、Intel 18A用のEDAやIPなどをマイナーアップデートするだけで、Intel 18Aの設計をIntel 18A-Pに落とし込むことが可能だ。
加えて、Intel 18Aの後継として計画されているHigh NA EUVを利用して生産されるIntel 14A向けに、「Intel 14A Process Design Kit(PDK)」と呼ばれるデザインキットを複数の顧客に提供したことも明らかにした。
Intel 14Aでは、Intel 18Aで実装される裏面電力供給パワービアの改良版として、PowerDirectによる直接続電力供給機能が搭載されており、より高性能な半導体を実現できる。
このほか、Intel Foundryの受託製造向けとしては最初の16nmの製造が開始されたことも明かされた。16nmなどの成熟したプロセスノードは自動車や組み込み向けなどのニーズが見込まれるもので、今後UMCとの協業で12nmのプロセスノードも提供していく計画だ。
なお、Intel 18Aはオレゴン州ヒルズボロにある同社工場で量産開始され、アリゾナ州に建設しているFab 52でも年内に立ち上げが開始される計画だ。Intelはどの世代でも、まずヒルズボロの工場で量産を行ない、それをほかのサイトにコピーするという生産戦略をとっており、Intel 18Aの世代でも同じような形で生産拠点の立ち上げが行なわれることになる。
前工程だけでなく、後工程も充実させていくIntel Foundry
Intel Foundryの特徴は、前工程のウェハ製造技術(プロセスノード)だけでなく、同時に後工程と呼ばれるパッケージにチップを封入する技術も提供することにある。
すでにIntelの自社製品にも使われている2.5Dのチップレット技術となるEMIB、さらには3Dチップレット技術となるFoverosなどが、今後Intel Foundryを活用する顧客に対して提供されていく。
IntelはFoverosの強化版となるFoveros Direct、EMIB、HBI(Hybrid Bonding Interconnect)などの技術を活用して、Intel 14AとIntel 18A-Pという2つの世代が異なる最先端ノードをパッケージ上で混載できるようにするという。
また、後工程技術を提供するAmkor Technologyとの提携も発表し、顧客がAmkor Technologyの後工程技術を活用して最先端パッケージを構築できると説明した。
受託製造ビジネスの加速のため、いくつかの業界団体の立ち上げも行なわれた。それは、以前からあるIntel Foundry's Accelerator Allianceに加えて、Intel Foundry Chiplet Allianceの結成である。
Intel Foundry Chiplet Allianceは、IPベンダー、EDAベンダーなどから構成され、加盟企業が提供するEDAツールやIPデザインなどを、Intel Foundryのチップレット技術と組み合わせる製品の開発を、より簡単に行なえるようにしていくとのことだ。