HP、北京での新製品発表会【法人向け製品&インタビュー編】
~「見ているのはライバルではなくユーザー」

ProBook

5月27日 発表



 米Hewlett-Packard(HP)が北京で27日に開催した、アジア太平洋日本地域向け新製品発表会で発表された製品の内、法人向け製品についてここで紹介したい。なお、ここでの価格および発売日は中国地域のものとなる。

●ProBook

 「ProBook」は同社のビジネスノートの新ブランドで従来の「EliteBook」シリーズの下位に位置づけられる。筐体のデザインは全体的に直線的で、キーボードも1つ1つが独立したタイプのものを採用し、従来製品と一線を画している。独立式にしたのは、キーボード面が大きく見えるのと、打鍵時の騒音が減るというメリットからだという。また、キーボードと本体の間に特殊なフィルムを挟んでおり、水や静電気に対する耐性を高めた。

天板は光沢仕上げ本体左側面本体右側面

 もう1つこれまでの同社のビジネス製品として初めてなのが、「メルロー」という落ち着いた赤系の筐体色を採用した点。この色は現在日本では予定されていないが、ユーザーからの希望が強ければ、日本でも採用される可能性はある。

日本でも発売が望まれるメルローモデル

 このほか、OSを起動せずにOutlookのメールやスケジュールを確認できる「QuickLook 2」や、個人データの一括削除などができる「Sparekey」などの機能を搭載する。液晶は15.6型と17.3型、プラットフォームはIntelとAMDが用意される。

●Z800 Workstation
Z800 WorkstationでSkyroomを動かしているところ

 Z800 Workstationは今回の新製品ではなく日本でも4月に発表されているのだが、「SkyRoom」と呼ばれる独自のコラボレーションソフトが発表されるにあたり、デモ機として会場で利用されていたので、ここに紹介しよう。

 Z800は同社ワークステーションとしてもっともハイエンドなもの。Xeon×2や、メモリ12本、Quadro/FireProなどを搭載できる。これらのパーツを効率的に冷却するため、筐体内部は、電源部とそれ以外が隔離。また、CPU周辺と拡張カード部もダクトでそれぞれ、互いの熱気が混じらないよう分離されている。加えて、本体内部には10個以上のファンが搭載されており、CPUが十分に冷却されることで、CPUを定格以上のクロックで駆動させるTurbo Boostテクノロジーを利用できる。

 メンテナンス性も優れ、ダクトや電源、HDDなどはツールを使うことなく、着脱/交換ができるようになっている。ユニークなのが、ワークステーションはデモなど社内のいろいろな場所で使われるため、持ち運びしやすいよう上部に取っ手がついている。

 この製品はワークステーションとして、一から設計されたものだが、実はVoodooチームも開発に協力しており、Blackbirdシリーズなどで培われたメンテナンス性や性能向上の工夫が盛り込まれているのだという。また、今後CPUの水冷オプションも予定されている。

側板を外したところ。ダクトカバーで覆われているため、この状態では内部は全く見えない上側のダクトカバーを外したところ。CPUとメモリだけで4個のファン電源ケーブルを外すと、電源ユニットも簡単に外れる
下側のダクトカバーを外したところ。ダクトカバー内部の凹凸は風の流れを作るためのものHDDももちろんホットスワップできる上部に取っ手がついている

●見ているのはライバルではなくユーザー
HPのシー・チン・テイク氏

 最後に、インタビューで同社アジア太平洋/日本地域パーソナル・システムズ・グループ シニアバイスプレジデントのシー・チン・テイク氏に伺った話を紹介する。

 テイク氏によると、同社の日本における直近の実績は、市場全体(コンシューマ)が5%の成長にとどまる中、19%の成長と高い伸びを示しており、満足しているという。特に伸びているのが、ネットブックで、これが市場全体の成長を牽引していることから、今回発表した「Mini 110」でさらなる攻勢をかけたいとの意気込みを示した。

 もちろんネットブックにだけ注力するわけではなく、「Pavilion dv2」やデスクトップなども含め、全ての顧客の需要に応じたものを幅広く提供していくという。ただし、残念ながらVoodooシリーズについては、まだ日本での展開予定はないという。

 日本市場でのシェアなど具体的数値目標については明言を避けたが、同社はアジア太平洋/日本地域の中でも、現在、特に日本と中国に注力しており、スタイリッシュで日本にも受け入れられる製品作りを目指したい。また、「SHUKATSU It's ME プロジェクト」などのマーケティング等を通じて、ブランド認知度の向上に努めたいと語った。

 同社にとってのライバルは誰かという質問に対しては、「我々が見ているのはライバルではなく、ユーザーだ。もし、ライバルだけを見ていたらTouchSmartのような新しい製品は生まれてこなかった。これからもユーザーのニーズに応える製品を創っていく」と答えた。

(2009年 6月 1日)

[Reported by 若杉 紀彦]