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あらゆる人がAIを使える世界を目指すLenovo
2024年9月10日 06:04
Lenovoは、9月10日(独時間)まで開催されているIFA 2024に先立って報道者向けイベントを行なった。本稿では、5日にベルリン市内で行なわれた記者会見「Lenovo Innovation World '24: Smarter AI for You」の様子についてお伝えする。
会見ではLenovoだけでなく、パートナー企業のAMDやMicrosoft、Qualcomm、stability.ai、Intelなども発表を行なったほか、Formula 1(F1)の社長も登壇しLenovoが2025年からグローバルパートナーに昇格することも発表した。
Lenovo Vice President & Chief Marketing OfficerのEmily Ketchen氏は、LenovoのAI戦略の中核となる3つのPである「Personalized」、「Productive」、「Protected」を紹介した。
これらの要素はAIを活用してユーザーに最適な体験を提供するための基盤となるもので、Lenovoはこれまで50以上のAI PCやデバイスを発表し、今後もさらに新たな製品をリリースしていくことを強調した。
Lenovo PresidentのLuca Rossi氏は、AI技術を普及するためのLenovoの目標として「Smarter AI for All」という理念を掲げた。あらゆる人がAIを簡単に利用できる環境を構築することを目的としており、これを実現するためにLenovoはAIのエコシステムを構築しており、これがAI PCの未来を形成する鍵であると述べた。
同氏によると、Lenovoの野心は単にPC市場をリードすることではなく、AIデバイスや革新的なソリューションによって、新たな業界標準を設定し、市場をより良く変革することだと語った。
AMD Senior Vice President & General ManagerのJack Huynh氏は、同社の最新SoCであるRyzen AI 300シリーズと同SoCを搭載したCopilot+ PC準拠のThinkPad T14sを紹介した。
Ryzen AI 300シリーズはApple M3と比較して、1.7倍のマルチスレッド性能を発揮するほか、NPUは50TOPSの処理性能を誇るという。ThinkPad T14sはMacBook Pro 15型モデルより20%長時間のバッテリ駆動を実現していると述べた。
AMDは、今後もLenovoと協力して市場に製品を投入していくと語った。
Microsoft Corporate Vice PresidentのPavan Davuluri氏は、Copilot+ PCならではのAI機能として、コクリエイターやWindows Studioエフェクト、ライブキャプションなどを紹介した。
同氏はLenovoとMicrosoftが協力して開発したAI PC新製品についても触れるとともに、AI PCが今後、よりインテリジェントな操作を実現し、WindowsプラットフォームをAIに最適化した環境にすると説明した。
また、Lenovoとの協力を通じて、PCハードウェアとソフトウェアの統合をさらに進め、PC業界におけるAI技術のリーダーシップを強化していくと語った。
Qualcomm Senior Vice President & General ManagerのKedar Kondap氏は、同社の最新CPUであるSnapdragon X Plus/Eliteを搭載したIdeaPad 5X 2-in-1などを紹介した。
QualcommとLenovoの協力により開発されたAI PCは、長時間駆動であり日常的な使用に最適なPCであることをアピールした。Snapdragonプロセッサを使用することで、より効率的でパフォーマンスの高いPC体験を実現すると述べた。
stability.ai Chief Operating OfficerのShan Shan Wong氏は、AIを活用したクリエイティブツール「Lenovo Creator Zone」について発表した。同ツールはStable Diffusionの技術を採用し、ローカル環境で自然言語を使用した画像生成が可能となっている。
同氏は、Lenovo Creator Zoneがアーティストやクリエイターに対してこれまでにないクリエイティブな可能性をもたらすと語った。同ツールはLenovoの新AI PCで利用できるほか、将来的にはさらに多くのデバイスに展開される予定だという。stability.aiは今後もLenovoと協力することで、AI技術をより多くの人にアクセスできるようにすると述べた。
Intel Executive Vice President & General ManagerのMichelle Johnston Holthaus氏は、LenovoとIntelの複数年にわたる共同開発による「Aura Edition」について発表した。
同シリーズは最新のIntel Core Ultraプロセッサを搭載し、ユーザーエクスペリエンスを向上させる独自機能「Smart Modes」、「Smart Share」、「Smart Care」を備える。
また、Aura Editionは環境に配慮した設計も特徴だといい、プラスチックフリーのパッケージを採用している。これにより、持続可能な製品としての価値も高まっていると説明した。
Formula 1 President & Chief Executive OfficerのStefano Domenicali氏は、F1とLenovoのパートナーシップについて語った。Lenovoは2022年からF1の公式パートナーシップを結んでおり、2025年に契約更新にあわせて、グローバルパートナーに昇格することを発表した。
同氏は、Lenovoが提供するAI技術が、F1のデジタル情報の管理に大きく貢献しており、レース運営の効率化と精度向上に役立っていると述べるとともに、今後のパートナーシップの拡大を楽しみにしていると語った。
イベントでは、レノボ・ジャパン 執行役員 副社長 開発担当の塚本泰通氏とAMD Senior Director, AMD Commercial Client and WorkstationのMatt Unangst氏がインタビューに応じ、両社のAI PCに関するコマーシャル向けデバイスに関する戦略や将来について語った。
両社は、AI PCのコマーシャル向けデバイス開発において、最適なハードウェアとソフトウェアの統合を重視しており、ユーザーからのフィードバックを反映させながら、熱管理や充電速度など多岐にわたる要素が考慮されている。Ryzen AI 300シリーズのAI PCがその成果の一例だという。
企業向けデバイスでは、IT部門が管理しやすい設計やセキュリティの強化が重要視されている。LenovoのデバイスはシリコンレベルやOSレベルでのセキュリティ強化が行なわれており、高い信頼性を提供していると語った。
AI PCの将来について、両社はソフトウェアベンダーとの協力がますます重要になると考えているほか、ユーザーにとって便利な技術をAIに限らずデバイスに搭載することで生産性向上に寄与することを目指している。