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AMD、性能と電力効率を改善したビジネスAI PC向け「Ryzen PRO 8040/8000」シリーズ

ビジネスPC向けの新型プロセッサとなるモバイル/デスクトップ向けRyzen PRO

 AMDは、Zen 4 CPUとNPUを内蔵したビジネスPC向けの新型プロセッサとして、モバイル向けの「Ryzen PRO 8040」シリーズおよびデスクトップ向けの「Ryzen PRO 8000」シリーズを発表した。Lenovo、HPをはじめ、各社より搭載製品が順次投入される見込み。

 モバイル向け、デスクトップ向けのどちらについても、最新のZen 4アーキテクチャを採用。処理性能と電力効率をともに高めている。一部SKUを除き、NPUを内蔵することでRyzen AIにも対応し、AI処理のアクセラレーションも受けられる。同社ではこのようなクライアント製品だけでなく、エッジ、データセンターに至るまで、幅広い製品ポートフォリオによってAIの活用を後押ししていくとしている。

データセンターからクライアントまで幅広い製品ポートフォリオでAI活用を後押し
搭載製品はLenovoやHPなどから順次投入される見込み

 また、ビジネス利用を想定したRyzen PROシリーズでは、高度なセキュリティ機能、管理機能、企業利用に向けた可用性や安定性も特徴としている。最新世代では、デスクトップ向けCPUでも新たにMicrosoft Plutonが統合されたほか、クラウドベースのリモート管理がサポートされ、ハイブリッドワークにおいてデスクトップPCの活用がしやすくなるとしている。

 そのほか、最新の無線技術であるWi-Fi 7、Bluetooth 5.4を素早く採用したり、信頼性テストを実施したりするなど、パートナー企業との協業についてもアピールしている。

高度なセキュリティや管理機能などを提供するRyzen PROシリーズ
デスクトップ向けCPUでもMicrosoft Plutonが統合された
クラウドベースのリモート管理も新たにサポートされる

モバイル向け

Ryzen PRO 8040シリーズ

 モバイル向けのRyzen PRO 8040シリーズでは8つのSKUを用意。うち、cTDPが15~28WのUシリーズから3つ、20~28Wまたは35~54WのHSシリーズから5つが展開される。なお、Ryzen 5 PRO 8540Uのみ、Ryzen AIが非搭載となる。

【表1】Ryzen PRO 8040シリーズのSKU
製品名コア/スレッドブーストクロックベースクロックキャッシュcTDPRyzen AI
Ryzen 9 PRO 8945HS8/165.2GHz4GHz24MB35~54W
Ryzen 7 PRO 8845HS8/165.1GHz3.8GHz24MB35~54W
Ryzen 7 PRO 8840HS8/165.1GHz3.3GHz24MB20~28W
Ryzen 7 PRO 8840U8/165.1GHz3.3GHz24MB15~28W
Ryzen 5 PRO 8645HS6/125GHz4.3GHz22MB35~54W
Ryzen 5 PRO 8640HS6/124.9GHz3.5GHz22MB20~28W
Ryzen 5 PRO 8540U6/124.9GHz3.2GHz22MB15~28W-

 軽量薄型ノートなど向けとなるUシリーズでは、競合のCore Ultra U/Hシリーズと比べてさまざまなベンチマークにおいて高い性能を発揮できると説明。Ryzen 7 PRO 8840U(TDP 15W)とCore Ultra 7 165U(TDP 15W)との比較では、システム性能の面では、Geekbench v6 Multi-Coreで19%、3DMark Night Raidで54%高いスコアを記録し、Microsoft Officeの性能についても相乗平均で70%優れた結果を記録したという。

 また、TDP 28WのCore Ultra 165Hと比べた場合でも、TDP 15WのRyzen 7 PRO 8840Uでより高い性能を発揮できるとしており、電力効率の面でも競合より優れているとアピール。同社のテストでは、最も少ないバッテリ容量のシステムで、最も長い駆動時間を実現できたとしている。

 さらに、顔認識やテキスト画像生成など、AI処理性能についても、Core Ultraと比べて4~85%程度高い性能を発揮できると説明している。

Core Ultraと比べても、低消費電力でも高い性能を発揮できるとする
バッテリ容量が少ないシステムでも長時間駆動を実現
Ryzen 7 PRO 8840UとCore Ultra 7 155HとのAI性能の比較

 モバイルワークステーションなど向けとなるHSシリーズについても、Ryzen 9 PRO 8945HSとCore Ultra 9 185H(TDP 45W同士)との比較では、最大で23%高いスコアを記録。Topaz Labs Videoを用いたAI性能テストでは、最大50%高い性能を発揮できるという。

Ryzen 9 PRO 8945HSとCore Ultra 9 185Hとの比較

デスクトップ向け

Ryzen PRO 8000シリーズ

 デスクトップ向けのRyzen PRO 8000シリーズでは8つのSKUを用意。こちらはうち4つのSKUでRyzen AIを搭載している。

【表2】Ryzen PRO 8000シリーズのSKU
製品名コア/スレッドブーストクロックベースクロックキャッシュcTDPRyzen AI
Ryzen 7 PRO 8700G8/165.1GHz4.2GHz24MB45~65W
Ryzen 7 PRO 8700GE8/165.1GHz3.65GHz24MB35W
Ryzen 5 PRO 8600G6/125GHz4.35GHz22MB45~65W
Ryzen 5 PRO 8600GE6/125GHz3.9GHz22MB35W
Ryzen 5 PRO 8500G6/125GHz3.55GHz22MB45~65W-
Ryzen 5 PRO 8500GE6/125GHz3.4GHz22MB35W-
Ryzen 3 PRO 8300G4/84.9GHz3.45GHz12MB45~65W-
Ryzen 3 PRO 8300GE4/84.9GHz3.5GHz12MB35W-

 競合製品の第14世代Coreと比べて、全体的に高い性能を発揮できるとしており、Passmark 11で47%、3DMark Time Spyでは3倍のスコアを達成。Ryzen 7 PRO 8700GとCore i7-14700との比較では、Officeソフトを使いながらTeamsでWeb会議をした場合、1080pカメラ使用時には最大76%電力消費を抑えられるという。

Ryzen 7 PRO 8700GとCore i7-14700との比較