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AMD、性能と電力効率を改善したビジネスAI PC向け「Ryzen PRO 8040/8000」シリーズ
2024年4月16日 22:00
AMDは、Zen 4 CPUとNPUを内蔵したビジネスPC向けの新型プロセッサとして、モバイル向けの「Ryzen PRO 8040」シリーズおよびデスクトップ向けの「Ryzen PRO 8000」シリーズを発表した。Lenovo、HPをはじめ、各社より搭載製品が順次投入される見込み。
モバイル向け、デスクトップ向けのどちらについても、最新のZen 4アーキテクチャを採用。処理性能と電力効率をともに高めている。一部SKUを除き、NPUを内蔵することでRyzen AIにも対応し、AI処理のアクセラレーションも受けられる。同社ではこのようなクライアント製品だけでなく、エッジ、データセンターに至るまで、幅広い製品ポートフォリオによってAIの活用を後押ししていくとしている。
また、ビジネス利用を想定したRyzen PROシリーズでは、高度なセキュリティ機能、管理機能、企業利用に向けた可用性や安定性も特徴としている。最新世代では、デスクトップ向けCPUでも新たにMicrosoft Plutonが統合されたほか、クラウドベースのリモート管理がサポートされ、ハイブリッドワークにおいてデスクトップPCの活用がしやすくなるとしている。
そのほか、最新の無線技術であるWi-Fi 7、Bluetooth 5.4を素早く採用したり、信頼性テストを実施したりするなど、パートナー企業との協業についてもアピールしている。
モバイル向け
モバイル向けのRyzen PRO 8040シリーズでは8つのSKUを用意。うち、cTDPが15~28WのUシリーズから3つ、20~28Wまたは35~54WのHSシリーズから5つが展開される。なお、Ryzen 5 PRO 8540Uのみ、Ryzen AIが非搭載となる。
製品名 | コア/スレッド | ブーストクロック | ベースクロック | キャッシュ | cTDP | Ryzen AI |
---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 9 PRO 8945HS | 8/16 | 5.2GHz | 4GHz | 24MB | 35~54W | ○ |
Ryzen 7 PRO 8845HS | 8/16 | 5.1GHz | 3.8GHz | 24MB | 35~54W | ○ |
Ryzen 7 PRO 8840HS | 8/16 | 5.1GHz | 3.3GHz | 24MB | 20~28W | ○ |
Ryzen 7 PRO 8840U | 8/16 | 5.1GHz | 3.3GHz | 24MB | 15~28W | ○ |
Ryzen 5 PRO 8645HS | 6/12 | 5GHz | 4.3GHz | 22MB | 35~54W | ○ |
Ryzen 5 PRO 8640HS | 6/12 | 4.9GHz | 3.5GHz | 22MB | 20~28W | ○ |
Ryzen 5 PRO 8540U | 6/12 | 4.9GHz | 3.2GHz | 22MB | 15~28W | - |
軽量薄型ノートなど向けとなるUシリーズでは、競合のCore Ultra U/Hシリーズと比べてさまざまなベンチマークにおいて高い性能を発揮できると説明。Ryzen 7 PRO 8840U(TDP 15W)とCore Ultra 7 165U(TDP 15W)との比較では、システム性能の面では、Geekbench v6 Multi-Coreで19%、3DMark Night Raidで54%高いスコアを記録し、Microsoft Officeの性能についても相乗平均で70%優れた結果を記録したという。
また、TDP 28WのCore Ultra 165Hと比べた場合でも、TDP 15WのRyzen 7 PRO 8840Uでより高い性能を発揮できるとしており、電力効率の面でも競合より優れているとアピール。同社のテストでは、最も少ないバッテリ容量のシステムで、最も長い駆動時間を実現できたとしている。
さらに、顔認識やテキスト画像生成など、AI処理性能についても、Core Ultraと比べて4~85%程度高い性能を発揮できると説明している。
モバイルワークステーションなど向けとなるHSシリーズについても、Ryzen 9 PRO 8945HSとCore Ultra 9 185H(TDP 45W同士)との比較では、最大で23%高いスコアを記録。Topaz Labs Videoを用いたAI性能テストでは、最大50%高い性能を発揮できるという。
デスクトップ向け
デスクトップ向けのRyzen PRO 8000シリーズでは8つのSKUを用意。こちらはうち4つのSKUでRyzen AIを搭載している。
製品名 | コア/スレッド | ブーストクロック | ベースクロック | キャッシュ | cTDP | Ryzen AI |
---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen 7 PRO 8700G | 8/16 | 5.1GHz | 4.2GHz | 24MB | 45~65W | ○ |
Ryzen 7 PRO 8700GE | 8/16 | 5.1GHz | 3.65GHz | 24MB | 35W | ○ |
Ryzen 5 PRO 8600G | 6/12 | 5GHz | 4.35GHz | 22MB | 45~65W | ○ |
Ryzen 5 PRO 8600GE | 6/12 | 5GHz | 3.9GHz | 22MB | 35W | ○ |
Ryzen 5 PRO 8500G | 6/12 | 5GHz | 3.55GHz | 22MB | 45~65W | - |
Ryzen 5 PRO 8500GE | 6/12 | 5GHz | 3.4GHz | 22MB | 35W | - |
Ryzen 3 PRO 8300G | 4/8 | 4.9GHz | 3.45GHz | 12MB | 45~65W | - |
Ryzen 3 PRO 8300GE | 4/8 | 4.9GHz | 3.5GHz | 12MB | 35W | - |
競合製品の第14世代Coreと比べて、全体的に高い性能を発揮できるとしており、Passmark 11で47%、3DMark Time Spyでは3倍のスコアを達成。Ryzen 7 PRO 8700GとCore i7-14700との比較では、Officeソフトを使いながらTeamsでWeb会議をした場合、1080pカメラ使用時には最大76%電力消費を抑えられるという。