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マイクロソフト、Copilotを活用した生成AI機能を一挙紹介

 日本マイクロソフト株式会社は13日、同社の年次イベント「Microsoft Ignite Japan」を実施した。基調講演では、同社代表取締役 社長の津坂美樹氏や同社執行役員 常務 クラウド&AIソリューション事業本部長の岡嵜禎氏などが登壇し、生成AI機能「Microsoft Copilot」を活用した同社の最新機能が紹介された。

日本マイクロソフト株式会社 代表取締役 社長 津坂美樹氏
執行役員 常務 クラウド&AIソリューション事業本部長 岡嵜禎氏
Microsoft Copilot

Copilot for Microsoft 365

Copilot for Microsoft 365

 Copilot for Microsoft 365は、WordやExcelなどのMicrosoft 365アプリケーションに実装された生成AI機能。講演では同機能でのCopilotを活用したデモとして、Wordでの社史作成や、Outlookでのメール作成およびカレンダーの調節機能、WhiteboardとTeamsの連携機能などが紹介された。

 Copilot in Outlookではユーザーの書いたような文章でメールを作成する「Sound like me」機能、Copilot in Whiteboardでは会議の意見やアイデアをWhiteboardと連動し生産性を向上させる方法がデモで説明された。

Copilot in Word
Copilot in Outlook
Copilot in Whiteboard

Microsoft Copilot Studio

Microsoft Copilot Studio

 Microsoft Copilot Studioは、ユーザー独自のカスタムCopilotをローコードで開発できる総合プラットフォーム。1,100を超える組み込み済みプラグインやコネクタを活用して、ユーザー自身が持っているデータやアプリと接続したカスタムCopilotを作成できる。

Microsoft Copilot StudioでのカスタムCopilotの作成デモ

Azure AI

Azure AI

 Azure AIは、自然言語処理や画像生成、コード生成などが可能なAIサービス群。講演では、同サービス群の中心となるAzure OpenAI ServiceにおけるGPT-4 TurboやDALL-E 3などの対応や、ベクトルデータベースやベクトル検索エンジンなどを提供する新サービス「Azure AI Search」が紹介された。

 また、さまざまな大規模言語モデル(LLM)をユーザーのユースケースにあわせて提供する「Model Catalog」や、LLMをAPIエンドポイントとして提供し、ユーザーの自社アプリなどに組み込むことを可能とする「Model as a Service」についても説明された。

Azure OpenAI Service
Azure AI Search
Model Catalog
Model as a Service

Azure AI Studio、Microsoft Fabric

 講演では、AIアプリの開発プラットフォームとして、Azure AI StudioとMicrosoft Fabricの2つが紹介された。

 Azure AI Studioは、生成AIアプリやカスタムCopilotを開発するための総合プラットフォーム。設計から運用までのすべてをサポートすることを特徴としており、LLMの変更や更新された際のアプリの挙動を担保するために、モデルの結果を評価したりテストしたりする機能を搭載する。

 カスタムCopilotの開発については、Microsoft Copilot Studioの利用もできるが、Azure AI Studioはプロコードで開発したい場合に向いており、同社はユーザーのユースケースにあわせてどちらかを選択してほしいと述べている。

Azure AI Studio
カスタムCopilotの開発について

 正式サービスを開始されたMicrosoft Fabricは、データの移動から分析、可視化といったビジネスインテリジェンスのすべてを一貫して行なえる企業向けの統合プラットフォーム。生成AIを活用したいがデータが散在している場合に、同プラットフォームを利用することで、データを仮想統合して生成AIに適用することができるという。同プラットフォームでは、ミラーリング機能が新機能として追加された。

Microsoft Fabric

AIインフラストラクチャー

Azure CobaltとAzure Maia

 AIのインフラ技術に関しては、Azure CobaltとAzure Maiaが紹介された。Azure Cobaltは、同社がクラウドサービス用に独自設計した初のCPUで、Azure MaiaはLLMのトレーニングや推論に最適化されたチップとなる。

 AIインフラに関しては、生成AIのサポートによる、Azureの設計や運用、トラブルシュートを最適化するMicrosoft Copilot for Azureも紹介された。

 同社は今後、独自のCPUやチップを開発しながら、NVIDIAやAMDとも戦略的な協業を続けていき、ユーザーにとってよりよいAIインフラを提供していきたいとした。

Microsoft Copilot for Azure

生成AIにおけるセキュリティ面について

Azure AI Content Safety

 生成AIを活用するうえでのセキュリティに関する機能としては、Azure AI Content Safetyや、Copyright Commitmentが紹介された。

 Azure AI Content Safetyは、プロンプトインジェクションやジェイルブレイクといったLLM利用に重大なリスクをもたらす攻撃を検出し、より円滑かつ安全な生成AIの利用を提供する機能。Azure OpenAI Serviceではビルトインセーフシステムとして稼働しているほか、オープンソースのLLMでも利用することができる。

 著作権に関するCopyright Commitmentについてもアップデートが行なわれており、これまではCopilotを活用した生成物のみをサポートしていたが、Azure OpenAI Serviceを活用したコンテンツに関しても対応するようになった。

Copyright Commitment