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Core i7-14700Kがお得?同じZ790でも進化?発売記念イベントで語られた第14世代Coreのすべて
2023年10月24日 10:17
インテルの第14世代Coreプロセッサの発売記念イベントが21日に東京・秋葉原で開催された。会場はLIFORK AKIHABARA IIの1階イベントスペース。
イベントの主な内容は、17日に発売した第14世代Coreの購入者を対象とした抽選会と、マザーボードメーカーの担当者によるステージトーク。主催は旭エレクトロニクス株式会社、岡谷エレクトロニクス株式会社、テックウインド株式会社、菱洋エレクトロ株式会社。
抽選には第14世代/13世代Coreプロセッサの単品購入もしくは搭載PCの新品購入レシート持参で参加でき、Intel Coreロゴ入りのスピーカーやゲーミングキーボード、ヘッドセット、M.2 SSD、マウスパッドなどが当たった。イベント協力店舗を回って集めるスタンプラリーも実施しており、こちらでもSSDやリュックサックなどが当たる抽選に別途参加できた。
抽選会場で行なわれたステージトークでは、第14世代Coreの特徴について改めて紹介がなされた。また、ASRock、ASUS、GIGABYTE、MSIのマザーボードメーカー4社がそれぞれ登壇し、各社のZ790搭載マザーボードを紹介した。
第14世代は4コア増えたCore i7-14700Kが強い
インテルとマザーボードメーカー4社によるクロストークでは、まずインテル株式会社 技術本部長の安生健一朗氏が第14世代Coreプロセッサについて解説した。旧世代からのもっとも大きな違いとしてはCore i7でEコアを4基増やしていることについて言及。Core i7を選ぶ理由付けの強化を図ったと話した。
「14700KではEコアを増やしたことで、マルチスレッドの性能が向上しました。これによって、いくつかのクリエイティブアプリ使用時には14900Kに迫る性能を出しています」(安生氏)。
第12世代Coreから導入したハイブリッドアーキテクチャについても触れ、ゲーム動画配信を例に、マルチタスク時の性能の高さをアピールした。ハイブリッドアーキテクチャは、性能に特化したPコアと、効率に特化したEコア、その2つにタスクを振り分けるスレッド・ディレクターからなる仕組み。
今回の例ではPC1台で高負荷なゲームと配信ソフトを稼働させた際にフレームのドロップを生じさせない形でタスクの振り分けを行なっており、安生氏によれば「体験」という点においてユーザーからは高い評価を得ているという。
自作PCは楽しい世界
9月に発表し、10月に最初の認定カリキュラムを実施した「インテルPCマイスター」制度についても紹介された。ここでは制度の目的として「目的に合ったPCを選定する知識の習得」、「PCに関する知識の向上」、「PCショップにおけるサービスの平均化」の3点が挙げられている。
PCマイスター制度では「初級」、「中級」、「上級」、「TOP」の4段階で階級を設定しているが、TOPについては「インテルが特別に認定」となっており、試験などの形では取得できない。本イベントではTOPマイスターとして各マザーボードメーカーから原口氏、市川氏、渡辺氏、豊田氏が呼ばれている。
安生氏はPCマイスター制度を通して、自分だけの道具を使いこなす「かっこよさ」と、手を動かして組み上げる「楽しさ」を広めたいとの意向を表明している。
「良いと思ったものを自分で選べるかどうかが大事。すべて自由に、自分で性能を決められるところがカスタムPCのすごくいいところだなと思うのです」(安生氏)。
「私も自作PCはSocketが775になったあたりからやっていて、仕事を含めればウン万台は組んでいるのですが、それでもやはり組み立てること自体が楽しいですし、組み上げて電源を入れる瞬間にはエキサイティングさを感じます。その感覚はもっとたくさんの方に味わってほしい。初心者のうちは『壊してしまうのでは』というご心配もあるかと思うのですが、ぜひ恐れずに挑戦してほしいですね」(豊田氏)。
「PCって何台作っても面白いです。これまで何台組んだかに関係なく、時には苦戦もするし、組む順番を間違えたりもする。毎回うまくできるわけはないし、それも楽しみの一つなんです。これからカスタムPCを始める方は、見た目でも性能でも予算でも、気になったところから軽い気持ちで手を着けてほしいです。分からないことを分かるまでいろいろと調べるのも楽しいものですよ」(市川氏)。
「私の場合、自作を始めたのはスペックが必要だったからでした。でも今は、見た目にこだわるために自作をやっています。好きな見た目にできるのもカスタムPCの魅力だと思いますし、まずは『好きな見た目のPC』を目指してカスタムPCに触れてみてはいかがでしょうか」(渡辺氏)。
「カスタムPCってお金もかかりますし、初めてだとどのようにやったらいいか分からないと思うのですが、もしちょっとでも『やってみたい』と思ったら、まずやってみてほしいですね。もしどうしても分からないことがあったら、写真を撮ってSNSで助けを求めれば、上級者の方々がこぞって助けにきてくれると思うので、たぶん大丈夫です。カスタムPCの一番のメリットは自分でオーダーメイドのPCを作れることだと思うので、そこから『PC』のより深いところを知ってくれたらうれしいです」(原口氏)。
ASRock
ASRockのステージでは、「Z790 NOVA WiFi」、「同Lightning WiFi」、「同Riptide WiFi」(国内未発売)を紹介。主な特徴としては、86℃の環境で22年動作する(理論値)という高耐久コンデンサやサーバーグレードの低損失PCB基板をアピールした。
ステージに登壇した原口有司氏は、同社のマザーボード開発チーム(Nick Shih氏とChris Lee氏)が話したというZ790マザーの開発エピソードを披露。Z790チップセットのマザーボードを設計するにあたってはメモリアサインやマザーボードの配線を見直し、再設計したと話した。「NOVA」の基板については、OC環境用の「AQUA」シリーズでも使用していた低損失PCBを採用しているという。
「空冷用でも水冷用でも、それぞれの冷却環境に最適化した方が当然いいので、そうした方向性をもってチューニングしたのがZ790世代のゲーミングマザーボードです。NickとChrisが言うには、メモリ性能を最大限まで引き出す『3つの鍵』があるそうで、ASRockのZ790については、この『3つの鍵』と低損失PCBが性能の要となっています」(原口氏)。
ASUS
ASUSの市川彰吾氏は、「Z790 Refresh」のゲーミングマザー7製品について解説した。中でも「ROG MAXIMUS Z790 APEX ENCORE」についてはOC性能に言及し、Core-14900Kの6GHz(Thermal Velocity Boost適用時)からおよそ9GHzまでのオーバークロックが可能な点をアピールした。
ROG STRIXシリーズでは、国内発売の要望が多かったという「STRIX-E II」を紹介。STRIXシリーズとしては唯一Gen 5のM.2に対応するほか、合計23(うち背面は12)のUSBポート備えるモデルとなる。
「推し機能」としては、マザー付属無線アンテナの「Q-ANTENNA」と、ユーティリティアプリ「Armoury Crate」の「Direction Finder」機能を挙げた。
Q-ANTENNAは、アンテナのコネクタを磁石とラッチでマザーに固定することでケーブルのねじれを防ぐ新機構。「Direction Finder」は、接続したアンテナの向きによって変化するWi-Fiの信号強度を可視化できる。
GIGABYTE
バックプレートやPCB、CPU固定金具までホワイトカラーに仕上げた「Z790 AORUS PRO X」と「B760M AORUS ELITE X AX」(11月発売予定)を紹介したGIGABYTEのステージでは、渡辺隆之氏が登壇。同じくホワイトカラーのPCケースや液晶パネル内蔵ケースとの組み合わせを提案した。ここまで徹底したカラーリングは初の試みだという。
機能としてはケース内向けのUSB Type-C端子を備えることで、ケース外からの配線を引き込むことなくケース内液晶パネルへの出力/給電が行なえる点をアピールしていた。このほか性能面ではWi-Fi 7やGen 5 M.2への対応、大型ビデオカード向けスロット背面に補強用のバックプレートを設置していることなどを紹介した。
MSI
「MEG Z790 GODLIKE MAX」をはじめとした6製品について紹介したMSIのステージでは、豊田実幸氏が登壇。最上位機種で26+2フェーズ、下位機種でも16+1+1フェーズの電源回路を搭載することで、全モデルにおいてCore i9-14900Kの安定動作に対応すると話した。
また安全性/信頼性に関連した要素としては、大電流に対応したソリッドピン設計、過電流保護機能、過渡電圧抑制装置、銅プレーン層にアースを取ることで電磁干渉を抑制する構造などを挙げており、OCを視野に入れた運用にも堪える性能を強調している。
このほか本イベントでは、生成AI用途にArcを用いる提案や、クリエイター支援プロジェクト「Blue Carpet Project」などの試みを紹介していた。