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Samsung、SIMフリー版「Galaxy S23 Ultra」がついに国内販売へ

サムスン電子のGalaxy S23 Ultra 1TB(SIMフリー版)

 韓国サムスン電子の日本法人となるサムスン電子ジャパン株式会社(以下サムスン電子)は6月20日午前10時に報道発表を行ない、同社のフラグシップスマートフォンとしては初めての国内向けSIMフリー版となる「Galaxy S23 Ultra 1TB」の販売を、同社オンラインショップにて7月6日午前10時から開始すると明らかにした。

 サムスン電子のスマートフォンは、国内においてはほぼ通信キャリア経由限定で展開されてきた。2022年にメインストリーム市場向け「Galaxy M23 5G」のSIMフリー版を同社の流通チャネル経由で発売していたものの、Galaxy S23シリーズなどのフラグシップ製品に関しては通信キャリアでの取り扱いに留まっていた。そうした中で、今回のGalaxy S23 Ultra 1TBは国内向けフラグシップスマートフォン製品としては同社初のSIMフリー版の投入となる。

 基本的なスペックは、2023年2月にサムスン電子がグローバルに行なった発表会「Unpacked 2023」で発表されたGalaxy S23 Ultraの1TBモデルと同様。国内通信キャリアから販売されているNTTドコモ版(SC-52D)、au版(SGC20)とは、ストレージ容量(1TBのみ)、カラー展開(クリームのみ)および背面のロゴマークなどの違いがある。

変わりゆく日本のスマホ市場。フラグシップのSIMフリー版がついに国内展開へ

NTTドコモ版(SC-52D、右)とSIMフリー版(左)の設定画面の違い。SIMフリー版には「ドコモのサービス/クラウド」がないことが分かる

 サムスン電子は、グローバルにトップシェアのスマートフォンベンダーで、同社のGalaxyシリーズは、Android OSを採用したスマートフォンとして販売されている。日本でもそれは同様で、国内ではNTTドコモから2010年に発売されたFOMA(第3世代移動通信システム)向けの「SC-02B」というモデルが、グローバルの初代「Galaxy S」として販売されているモデルに該当する。

 そこから、Galaxy SシリーズやGalaxy Noteシリーズなどのサムスン電子のグローバルモデルが、日本の市場ニーズにあわせて、国内の通信キャリア向けに最適化されて展開されて来たのがこれまでの歴史だった。たとえば、おサイフケータイの名称で知られるFeliCaの機能などが挙げられる。

 しかし、近年では日本のスマートフォン市場環境も大きく変わっている。特に総務省が打ち出した通信と端末の分離政策により、国内の通信キャリアの販売方法も変化してきており、従来のようにインセンティブ(販売報奨金)を効かせて端末を安く売るという販売方法が難しくなった。現在ではSIMフリー版と呼ばれるような通信キャリアを通さないモデルも、スマートフォンベンダー自身の流通チャネル経由で販売されるようになってきている。

 Appleは以前から自社のリテールショップ(Apple Store)やオンラインストアにおいてスマートフォンを販売してきたが、近年ではソニーも自社の流通網(ソニーストア、オンラインとリアルストア)でXperiaシリーズのSIMフリー版を販売するようになっている。当初は型落ちモデルだったが、現在では通信キャリアにやや遅れるタイミングで投入している。

 サムスン電子もそうした市場環境に対応した販売網の整備をこれまで行なってきた。2022年にはメインストリーム向けのGalaxy M23 5Gを、同社の旗艦リテールショップとなる「Galaxy Harajuku」や、Amazon、一部家電量販店のオンラインショップなどを通じて発売した。Galaxy M23 5GはSoCにSnapdragon 750G、メインメモリ6GB、ストレージ128GBを搭載して4万975円と、これまで国内の通信キャリア経由で販売されてきたフラグシップモデルとは異なる、バリュー向けの製品として販売された。

 しかし、そうした製品を販売後、サムスン電子には国内でもフラグシップのSIMフリー版を販売してほしいという声が多数寄せられるようになったそうで、これまでも販売が検討されてきたという。そして、2023年の2月28日に国内の公式通販サイトになる「Samsungオンラインショップ」が開設されたことで、SIMフリー版の発売の機運も高まり、今回実際に国内展開に至ったのだ。

最初のフラグシップSIMフリー版はGalaxy S23 Ultraの1TBモデル

Galaxy S23 Ultra 1TB(SIMフリー版)

 今回、サムスン電子が7月3日から同社の公式通販ストアで発売すると明らかにしたのは「Galaxy S23 Ultra 1TB」となる。Galaxy S23 Ultraは、同社が2月のUnpacked 2023において公開した「Galaxy S23シリーズ」の3製品(Galaxy S23、S23+、S23 Ultra)のうち、最もハイエンドの製品となる。

 ほかの2つのモデルに比較して、同社がSペンと呼ぶ、ワコムEMR技術を応用したスタイラスペンに唯一対応しているほか、カメラに関しても10倍望遠のレンズを含む4眼構成になっているなど、「フラグシップの中のフラグシップ」と言える製品になっている。なお、Galaxy S23シリーズの発表時の詳細などに関しては以下の記事をご参照いただきたい。

背面カメラは4眼仕様で、光学10倍ズームレンズを備えていることが特徴
上部
底部
左側面
右側面
SIMカードスロット(Nano SIMカード)
Sペンは本体に内蔵できる

 なお、国内通信キャリアが取り扱うGalaxy S23 Ultraのうち、ストレージが512GB以上のモデルは、NTTドコモ版で512GB/ファントムブラック、au版で512GB/ファントムブラック、1TB/ファントムブラックがそれぞれオンライン販売されている。一方、今回サムスン電子が自社の公式通販サイトで発売するSIMフリー版はストレージが1TBで、カラーがクリームとなり、いずれも国内の通信キャリア2社では取り扱いのない組み合わせとなる。

【表1】Galaxy S23 Ultra(512GB以上のモデル)の販売状況
ストレージ容量NTTドコモ版au版サムスン電子(SIMフリー版)
512GBファントムブラックファントムブラック-
1TB-ファントムブラッククリーム
左がSIMフリー版、右がNTTドコモ版。違いはFeliCaのマークとドコモのロゴがSIMフリー版にはない
FeliCa(おサイフケータイ機能)には対応している(出典:Galaxy S23 Ultra 1TB、サムスン電子ジャパン)
アプリの一覧、通信キャリアアプリは導入されていない

 通信キャリア2社のモデルとの大きな違いは2つある。1つは背面のロゴに両社のロゴや製品名などが入っておらず、FeliCaロゴも入っていない点。なお、FeliCa自体には対応しており、おサイフケータイの機能も有している。もう1つは、通信キャリアが独自に導入している自社アプリが導入されていない点。設定を確認するとNTTドコモ版にはある「ドコモのサービス/クラウド」などがないことが確認できた。

Wi-Fi 6Eに対応しており、バッファローのWi-Fi 6E(6GHz)のアクセスポイントに接続した時には5GHzのWi-Fiで接続した場合よりも高性能で干渉に強い(出典:Galaxy S23 Ultra 1TB、サムスン電子ジャパン)
テザリング機能もWi-Fi 6Eに対応しており、6GHzでテザリングが可能になっている。これを利用するとWi-Fi 6Eに対応したPCと安定したテザリングを利用することができる。

 それ以外のスペックは既に販売されている通信キャリア2社のモデルと同等で、Nano SIMカードとeSIMのデュアルSIM、Wi-Fi 6Eなどを装備。そして4世代OSアップデート、5年間のセキュリティアップデート保証などスマートフォンのトップベンダーらしい対応が用意されているのもうれしいところだ。サムスン電子が発表したスペックなどは以下の通りだ。

【表2】Galaxy S23 Ultra 1TB(SIMフリー版)のスペック(サムスン電子の資料などより筆者作成)
Galaxy S23 Ultra(SIMフリー版)
SoCSnapdragon 8 Gen 2 for Galaxy
メモリ12GB
ストレージ1TB
ディスプレイ6.8型1,440×3,088ドット(Dynamic AMOLED)
ペンSペン(本体に収納可能)
カメラ(背面)広角(26mm)/約2億画素、超広角(13mm)/約1,200万画素、望遠(光学3倍/78mm)/約1,000万画素、望遠(光学10倍/260mm)/約1,000万画素
カメラ(前面)広角/約1,200万画素
生体認証指紋認証(ディスプレイ内蔵)、顔認証
無線機能Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3、NFC
SIMカードnanoSIM+eSIM
バッテリ5,000mAh
カラークリーム
OSOneUI(Android 13)
サイズ約78×163×8.9mm、234g

7月6日発売で価格は25万3,440円。1万7千円分のクーポンがもらえるキャンペーンなども開催

7月6日午前10時から販売開始(出典:Galaxy S23 Ultra 1TB、サムスン電子ジャパン)

 サムスン電子によれば、7月6日午前10時より発売予定で、価格は25万3,440円。販路はSamsungオンラインショップ限定になる。あわせて、6月20日~7月31日までのキャンペーン期間中に購入したユーザーには、Samsungオンラインショップで使える1万7,000円分のクーポンも配布される。

販売開始時のキャンペーン(出典:Galaxy S23 Ultra 1TB、サムスン電子ジャパン)
通信キャリア経由の大容量モデルに関しても差額相当を還元するキャンペーンが行なわれる(出典:Galaxy S23 Ultra 1TB、サムスン電子ジャパン)

 また、既にNTTドコモ、auから販売されているストレージ512GB以上の大容量モデルに関してもキャンペーンが計画されており、NTTドコモの512GBモデルを購入したユーザーには256GBモデルとの差額、auの512GB/1TBモデルを購入したユーザーにはそれぞれ256GB/512GBモデルとの差額相当を還元するキャンペーンが行なわれる。いずれも購入後に応募する必要があるが、より大容量のモデルを安価に購入することができるのは、これから通信キャリアのモデルを購入しようと考えているユーザーにはうれしいだろう。

GalaxyCareに対応(出典:Galaxy S23 Ultra 1TB、サムスン電子ジャパン)

 なお、通信キャリアなどでは独自の保証オプションが用意されているが、本製品ではそうした通信キャリアの保証オプションは契約できない。そこで、サムスン電子が独自に「Galaxy Care」という追加保証サービスを用意しており、Galaxy S23 Ultra 1TBにも提供される予定だ。2年保証で、画面割れや水没などのアクシデントに対して、1年に1度まで新品同様製品交換サービス(別途自己負担あり)が利用できる。記事執筆時点ではその価格は明らかになっていないが、今後発表される予定だとサムスン電子では説明している。