GPSが使えない屋内でも位置推定できるシステム。東京都市大が開発

屋内での無線LAN電波の受信状況例。これを分析することで、屋内でも現在位置を推定できるという

　東京都市大学 メディア情報学部 情報システム学科の横井利彰教授は、既存の無線LAN基地局とスマートフォンのみで、GPSの電波信号強度が弱い屋内でも位置推定が可能になるシステムを開発した。

　GPSは人工衛星からの電波を受信して位置を測定するシステムだが、ビルや地下、エレベーターなどの屋内では信号強度が弱く位置推定の精度が低下するという課題がある。屋内で正確な位置情報が測定できるようになることは、災害時の救助活動や高齢者の見守り、ロボットの自律走行などの観点で期待されている。

　今回開発されたシステムは、建物内に既に設置されている無線LAN基地局とスマートフォンのみを使用し、無線LANの受信信号の識別名や周波数帯、強度、基地局との位置関係などを記録し分析することで、GPSの電波が届きにくい屋内でも現在位置を推定できるというもの。

　同システムは、金属板で覆われており電磁的にほぼ遮蔽された環境であるエレベーター内でも位置推定が可能であるほか、既存の無線LAN基地局を使用するために追加のコストがほぼ不要で、スマートフォン単体での導入が可能だという。

ビル内の無線LANの基地局配置例

ビル内での受信電波の発信源と電波強度を可視化した例