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GPT-3.5がTeamsに統合。Web会議の翻訳も議事録もAIにお任せ

GPT-3.5により英語が自動的に日本語に翻訳されている様子。Teams Premium契約者はすでに利用可能だ

 日本マイクロソフト株式会社は14日、「Microsoft 365 & Teams Day 2023 ~ハイブリッドワークの進化と“Do More with Less”とは~」と題した企業向けのイベントを開催。この中でMicrosoft社内におけるハイブリッドワークの進化と、Microsoft Teamsを含む、Microsoft 365の利活用について紹介がなされた。

 イベントの冒頭では、同社 クラウド&ソリューション 事業戦略統括本部 ビジネスマネージャー 兼 ワークスタイル変革推進リードの織田開智氏が、同社社内でのハイブリッドワークの実践について紹介。単純に従業員がテレワークできる環境を作っていくだけでなく、いかに生産性を向上させていくかに重視した取り組みを行なっているとした。

 その中で重要となるのがライフとワークのバランスだが、日本マイクロソフトが重視したのは「ワークライフチョイス」であるという。つまり二択やバランスではなく、社員の選択肢を増やして、その中から創造性を引き出すことに目指した。というのも、社員の主体性と創造性を引き出すことで企業の生産性向上につながるのだとしている。そうした多様な選択肢を提供する中で、ハイブリッドワークを実現したというわけだ。

織田開智氏
新しいワークスタイル
多様性のある働き方へ
ワークライフチョイス

 一方で、ハイブリッドワークでは社員同士のコミュニケーションが課題となっている。そこで個人の社歴/経歴/趣味など検索して社員同士のコミュニケーション活性化を図る「Buddy」プラットフォームの提供、Viva Engageを買う徴したバーチャルコミュニティづくり、リアルオフィスで展開するイベントなどを通して、社員同士のコミュニケーションの機会を増やし、生産性を向上させる取り組みを行なっている。

 また、同社ではオフィスとしては多様性のある共創の場作りを目指し、Teams Roomの導入や、多様な働き方の共有と発信を行なっている。さらに主体性向上の面では、Vivaを活用した学び合いの文化づくり、Azure、Dynamics、Teamsといった自社製品を活用しているという。

ハイブリッドワークにおける課題と解決
マイクロソフトにおけるハイブリッドワーク
共創の場作り
AIといった自社ソリューションを活用して生産性を向上

企業への展開は

 日本マイクロソフト自身はハイブリッドワークのモデルとなっているわけだが、他社へはどう働きかけていくのだろうか。実はコロナ禍でいったんは進んだリモートワークワークが、コロナ収束に向かう中で出社が増えており、ハイブリッドワーク化が進んでいるものの、理想と現実には大きなギャップがあるという。

 同社 モダンワークビジネス本部 本部長の山崎善寛氏によると、リモートワークをベースとした求人数は14%に留まっているが、リモートワークをベースとした求人への応募数は52%に達しているという。これはリモートワークを実践した社員自身が「生産性が高い」と考えている割合が87%に達しているのにもかかわらず、「チームが生産的であると確信を持っている」リーダーの割合が12%に留まっているからだ。

山崎善寛氏
ハイブリッドワークの定着とMicrosoft 365の進化
求人数と応募数のギャップ
リモートワークに対する見解の食い違い
ハイブリッドワーク時代のオフィスに求められる変化

 このためオフィスは単純に「仕事をする場」ではなく、「人と人の出会い」、「人とつながれる場」として提供できるのであれば、出社のモチベーションが上がり、オフィスに出社する機会も増えるのではないかとした。つまり、ハイブリッドワークを進める中で、オフィスの役割も変化すべきであるとした。

 また、こうしたハイブリッドワークの環境整備のみならず、組織全体の生産性を引き上げるものとしてAIの利活用を提唱。Bingのチャットを利用すれば容易に案内状を作成できるほか、Teams PremiumにもGPT-3.5を導入したことを紹介。このGPT-3.5を活用した機能の第1弾として、Teams会議中にリアルタイムに翻訳を行なうことで、異国間メンバーのWeb会議コミュニケーションがスムーズになるほか、将来的には会議の要点をAIを駆使して自動的にまとめる議事録の機能を実装すると発表した。

Bingのチャット
Windows 11にも統合されており、利用可能となっている
Teams PremiumではGPT-3.5が統合されており、将来的には議事録のようなものもAIで作成可能になるという

 イベントではこのほか、Microsoftのソリューションの活用方法や実際の導入事例の紹介がなされ、生産性向上とハイブリッドワーク両方を推進する方法について語られた。

シスコのTeams Room対応デバイス
セキュアなソリューション群