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分子研、世界最速の2量子ビットゲート実行に成功

世界最速2量子ビットゲートの概念図。光ピンセット(赤い光)によって捕捉された原子2個を特殊なレーザー光(青い光)で操作する

 自然科学研究機構分子科学研究所の周諭来大学院生、Sylvain de Leseleuc助教、大森賢治教授らの研究グループは9日、世界最速となる6.5nsで動作する2量子ビットゲートの実行に成功したことを発表した。

 量子ゲートとは、量子コンピューティングを構成する基本演算要素。従来の古典コンピュータにおけるANDやORなどの論理ゲートに対応するもので、1個の量子ビットの状態を操作する1量子ビットゲートと、2個の量子ビットの間に量子もつれを発生させる2量子ビットゲートがある。

 量子ゲートの計算精度は、外部環境や操作レーザーなどが及ぼすノイズにより容易に劣化する。量子コンピュータ/ハードウェア開発では、このノイズの影響を逃れるために高速なゲートの実現が求められてきた。

 同グループでは、ほぼ絶対零度に冷却したミクロン間隔の原子2個を超高速レーザーで操作する、全く新しい冷却原子型量子コンピュータを開発。この量子コンピュータで達成した6.5nsの量子ゲートは、ノイズの時間スケール(約1μs)よりも2桁以上速いため、ノイズの影響を無視できるという。

 同グループは、今回達成した世界最速の超高速ゲートが、冷却原子型量子コンピュータへの世界中の注目を大きく加速させるものになるだろうとしている。本成果はNature Photonics誌に掲載される。

量子ビットの概念図
量子ゲート操作とその実行結果