ニュース

東芝、量子コンピュータの高速/高精度化実現する可変結合器

超伝導量子ビット間可変結合器「ダブルトランズモンカプラ」の回路図

 東芝株式会社は16日、量子ビット間を結ぶ可変結合器の新構造「ダブルトランズモンカプラ」を考案したと発表した。超伝導量子コンピュータの高速化や精度向上に寄与できるとしている。

 超伝導量子コンピュータは、2量子ビットゲートの量子ビット間の強い結合が比較的実現しやすいことから、実用化が有望視されているが、性能向上にはこれらの量子ゲート操作の高速化や高精度化が必要となる。可変結合器は、こういった量子ビットをつなぎ、量子ビット間の結合強度を調整できるデバイス。

 計算に用いる量子ビットは安定性や構造の単純さから「周波数固定トランズモン量子ビット」がよい。また、2つの量子ビットの周波数はエラー抑制などの点から互いに大きく異なる方が望ましいとされる。しかし、これまでの可変結合器では、こういった量子ビットの結合の完全なオフと、高速な2量子ビットゲート操作を両立できなかった。

 今回同社が考案したダブルトランズモンカプラでは、回路上に設けたループ内の磁束を外部磁場で調整することで、周波数が互いに大きく異なる両側の量子ビット間の結合強度を数10MHzまで高めたり、厳密にゼロにすることが可能となった。これにより、24nsの短いゲート時間で精度99.99%のゲート操作が実現でき、超伝導量子コンピュータの高性能化が見込めるという。

 同社では、ダブルトランズモンカプラの試作と実証実験を2022年度中に開始する予定で、研究開発を進めながら世界最高レベルの性能の量子コンピュータの実現を目指すとしている。

「ダブルトランズモンカプラ」における結合強度の磁束依存性
超伝導量子コンピュータの概念図