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NEC PC、“Project炎神”ゲーミングPC第1弾「LAVIE GX」。早期購入でPC-98ゲーム利用権も
2022年7月5日 12:11
NECパーソナルコンピュータ株式会社(NEC PC)は、これまで社内で“Project炎神”のコードネームで開発を続けてきたゲーミングデスクトップPC「LAVIE GX」を7月14日に発売する。価格はオープンプライス。
オンラインゲームの広がりを見据えたゲーミングPCで、家庭用ゲーム機と同じ感覚で操作できる「Xbox ワイヤレスコントローラー + USB-Cケーブル」と、ボイスチャット用ヘッドセットが付属する。キーボードとマウスは有線タイプ。購入特典として、数百タイトルがプレイできるMicrosoftのサブスクリプション「Xbox Game Pass Ultimate」の3カ月無償利用権が付属する。
また、PC-9801 40周年に合わせ、10月末までにLAVIE GXを購入すると、PC-9801用など約1,000タイトルのレトロゲームを取り揃える「プロジェクトEGG」で使える3千円相当のポイントをプレゼント。加えて、8月28日まで先着購入者500名には、カプコンのアクションRPG「モンスターハンターライズ デラックスキット」(ゲーム本編)をプレゼントする。
ゲームに関する質問を24時間365日電話で問い合わせサポート可能な「LAVIEゲーミングサポート」の1年間利用権も付属。このサポートデスクはゲーミングに熟知した技術者が対応し、ゲームを快適にプレイできる環境設定をアドバイスする。なお、サポートは対応可能なタイトルにおける画質や操作変更の設定などのみで、攻略などについてはアドバイスできない。
これらの取り組みにより、これからPCゲームを始めたいエントリーユーザー向けに展開する。ターゲットは「元ゲーマーパパ」、およびゲーム実況を見て、ゲームに興味を持ち始めた「Z世代」としており、「何を買ったらいいかわからない」、「どのゲームを遊べばいいかわからない」、「高額などで失敗したくないと思っている」ゲーマー向け向けに包括的なソリューションを提供する。
デザイン面では「和モダン」テイストをモチーフとし、和柄五崩し柄で、ホワイトLEDバーを採用したシックな設計となっている。仕様面では、第12世代Coreをベースに、店頭モデルでは上位にGeForce RTX 3060を、下位モデルではRadeon RX 6400を搭載。性能を持続させるため、エアフローを重視した設計となっている。
店頭向け上位モデル「GX750/EAB」は、CPUにCore i7-12700F、メモリ16GB、ストレージに1TB SSD、ビデオカードにGeForce RTX 3060(12GB)、OSにWindows 11 Homeなどを搭載し、実売予想価格は30万2,280円前後の見込み。
下位モデル「GX550/EAB」は、CPUにCore i5-12400F、メモリ16GB、ストレージに512GB SSD、ビデオカードにRadeon RX 6400(4GB)、OSにWindows 11 Homeなどを搭載し、実売予想価格は21万9,780円前後の見込み。
直販の「LAVIE Direct GX」カスタマイズメニューとしては、メモリ8GB/32GB、SSD 256GB、1TB/2TB HDD、無線LANの有無、光学ドライブ、Windows 11 Pro、Officeの有無や保証期間などを選択できる。
インターフェイスは、USB 3.0 Type-C、USB 3.1、USB 3.0、USB 2.0×4、DisplayPort(GeForceは3基、Radeonは1基)、HDMI出力、2.5Gigabit Ethernet。Wi-Fi 6、音声入出力などを備える。
本体サイズは170×308.6×370mm(幅×奥行き×高さ)、重量は上位が約6.5kg、下位が約5.8kg。
24年ぶりにゲーミングPCに“再参入”
発表会は、PC-98の起動音「ピポッ」からスタートする演出となった、冒頭では同社 執行役員 河島良輔氏が挨拶。2019年にゲーミングPCプロジェクト「Project炎神(Engine)」がスタートしてから3年近く経過し、一部熱心な方からは「どうなっているの」といった声を頂いたという。実は、同社が2021年のCESで発表した「LAVIE MINI」もProject炎神の一部であったと述べ、「この3年間何もしなかったわけではない」という。今回のLAVIE GXは、時代のニーズなどを鑑みて新たな施策として再スタートを切った形だ。
「ゲーミングPCとしての取り組みは、NEC PCは後発となるが、No.1の国産ブランドとして何ができるか考えた。1つ目はゲーミングPCの裾野の拡大で、“PCゲームはやってみたいが難しい、とっつきにくい”と考えているエントリーユーザーにアプローチしていきたいとする。2つ目はUX Transformationと題し、これまでコンソールゲームに慣れ親しんできたユーザーを囲むための施策。そして3つ目はエコシステムの展開と拡充で、Intelやカプコン、D4エンタープライズといった企業との連携を通し、業界全体の発展につなげていくこと」だという。
「NEC PCというと“ゲーミングPC初参入”と思われるかもしれないが、我々のPC-98シリーズは言わばゲーミングPCであったと認識している。この思い入れの強いPC-98シリーズ40周年を節目に“再参入”を表明したい」と語った。
ゲストとして招かれた日本マイクロソフト株式会社 コンシューマー事業本部 Xbox戦略本部 本部長の及部高宏氏は、「Microsoftのゲームと言うと、Xboxを始めとしたゲームコンソールのイメージもあると思うが、実はFlight Simulatorも生誕40周年を迎えているほか、エイジオブエンパイアといったPC向けゲームタイトルも注力している。また、Xbox Game Passなどのサブスクリプションサービスでは、クラウドを利用してPCでXboxのタイトルをプレイできるようにするといった取り組みなどもあり、ゲーミングの裾野を広げる活動を続けている。
今回、NEC PCのLAVIE GXも、PCゲームにおける裾野を広げる役割を担うということで、Microsoftの取り組みとコンセプトが合致している。そのため、買ったその日からゲーム数百タイトルがプレイできるXbox Game Pass Ultimateの3カ月利用権を提供したり、Xboxコントローラを添付するといったコラボの取り組みに至った」と語った。
インテル株式会社 第二技術本部 部長 工学博士の安城健一朗氏は、「動画制作やCG制作だけでなく、高フレームレートかつ高画質でゲームをプレイしたいといった、高度なPCの使い方を求めるニーズが広がっている。第12世代Coreプロセッサはこのニーズに応える製品としてリリースしており、LAVIE GXに搭載されたことを嬉しく思う。
また、インテルもゲーム市場を広げていきたいと考えており、ソフトウェアメーカーといった企業とのパートナーシップこそ重要だと考えている。今回のコラボも、こうした戦略的なパートナーシップの結果であり、より多くのユーザーに新しい体験をお届けしたい」と説明した。
キャンペーンでコラボを提供している株式会社カプコン CS第二開発統括 編成部 運営室『モンスターハンターライズ:サンブレイク』の砂野元気氏は、「カプコンもPCのプラットフォームを活用してワールドワイドで数百を超えるゲームタイトルを展開しており、PC版の売上が3割を超えるにまで至っている。
その中で、PCゲームに興味はあるが、動作できるかどうか不安を抱えているユーザーへの答えとして、動作確認済みPCのプログラムを展開し、ホームページで告知するなどの活動に取り組んでいる。また、Steam版ゲームとしては国内初となる、ゲームダウンロードコード入りカードを、コンビニや家電量販店などで販売開始し、注目を集めている。
このようにPCタイトルに注力している中で、LAVIE GXとのコラボに至ったことを嬉しく思う。今後も業界を巻き込んで、PCゲーム市場の拡大に向け邁進していきたい」と語った。
最後にD4エンタープライズ 代表取締役の鈴木直人氏は、「我々は日本のゲームを大切な資産だと感じている。レトロゲームは、フロッピーディスク(FD)といった古いメディアの故障などによって喪失してしまうことも多い。
そこでアスキーの西和彦さんやビル・ゲイツさんの協力を得て、エミュレータを介しても合法的にレトロゲームをプレイできる仕組みを用意した。それがProject EGGの始まりである。近年は、レトロゲームをプレイしたいユーザーが増えているだけでなく、ドット絵が再び若者を中心に人気が高まっている。LAVIE GXとともにこうしたニーズに応えられるのではないかと考え、コラボに至った」と説明し、説明会をくくった。
質疑応答では、「上位モデルで30万円という価格は、競合他社に対して高いのではないか」という質問が飛び出し、これに対し河島氏は「昨今の情勢を考慮した価格付けである」と答えた。また、「型番的にPC-GXから始まっているが、これはPC-FX(NECホームエレクトロニクスから発売された家庭用ゲーム機)を意識しているものなのか」という質問に対し、「偶然である」との回答があった。
また、PCエンジン(これもハドソンとNECホームエレクトロニクスが共同開発したゲーム機)を彷彿とさせる“Project炎神”は製品名にならないのはなぜか、という質問に対し「Project炎神はあくまでもPCエンジンのオマージュとして名付けられた社内の呼び方であり、製品名にするつもりはなかった」と答えた。
【7月20日訂正】記事初出時、電源をATX12VOとしておりましたが、これは誤りです。お詫びして訂正します。