ニュース
Intel、16コア/24スレッドのゲーミング/モバイルWS向け第12世代Core HXプロセッサ
2022年5月11日 00:00
Intelは、5月10日~5月11日(現地時間、日本時間5月11日~5月12日)に同社のプライベートイベントとなる「Intel Vision」(インテル・ビジョン)をアメリカ合衆国テキサス州ダラスフォートワース空港近くの「Marriott Gaylord Texan & Convention Center」で開催する。
それに先だってIntelは報道発表を行ない、同社のノートPC向けプロセッサの最新製品として「第12世代Intel Core HXプロセッサ」(以下Core HX)を発表した。Core HXは、1月に発表されたゲーミングノートPC向けの第12世代Core Hプロセッサの上位版となり、CPUコアが最大でPコアが8コア、Eコアが8コアとなり、従来のHシリーズのPコアが6コア、Eコアが8コアに比べてPコアが2コア増やされるのが最大の特徴となる。
デスクトップPC向けの16C/24Tのダイをモバイル向けに転用
今回IntelがVisionで発表した新しい製品が「第12世代Intel Core HXプロセッサ」(以下Core HX)となる。最大の特徴は、これまでデスクトップPCにのみ投入されてきたPコア8基+Eコア8基+GPU 32EUというダイを、ノートPC向けにも採用していることだ。
Intelは開発コードネームAlder Lakeで知られる第12世代Coreプロセッサで、大きく分けて3つのダイを製造している。
ダイ | Core S | Core HX(55W) | Core H(45W) | Core P(28W) | Core U(15W/9W) |
---|---|---|---|---|---|
8+8+32:8コア(Pコア)+8コア(Eコア)+GPU(32EU) | ○ | ○ | - | - | - |
6+8+96:6コア(Pコア)+8コア(Eコア)+GPU(96EU) | - | - | ○ | ○ | - |
2+8+96:2コア(Pコア)+8コア(Eコア)+GPU(96EU) | - | - | - | - | ○ |
CPUのPコアとEコアがそれぞれ8基、GPUが32EUという「8+8+32」構成のダイがデスクトップPC向けのSプロセッサに、Pコアが6コアとEコアが8コア、GPUが96EUという「6+8+96」構成がノートPC向けのHプロセッサとPプロセッサに、Pコアが2コアとEコアが8コア、GPUが96EUという「2+8+96」構成がUプロセッサに投入されている。この構成はそれぞれ最大構成で、SKUによってはそれよりも少ない構成として提供されることもあり、その場合にはダイに実装されているCPUなりGPUなりが一部無効にされて出荷されることになる。
今回のCore HXは、これまでデスクトップPC向けのSプロセッサにだけ利用されてきた「8+8+32」という構成のダイをモバイルに転用したものとなる。このため、ノートPC向けの第12世代Coreプロセッサとしては初めてPコアが8基となり、CPUは16コア(8コア+8コア)/24スレッド(Eコアは1コア1スレッドなので、Pコア16スレッド+Eコア8スレッドとなる)の構成をサポートするものとなる。
Core HX | Core H | Core P | Core U(15W) | Core U(9W) | |
---|---|---|---|---|---|
TDP | 55W | 45W | 28W | 15W | 9W |
パッケージ | BGA(45×37.5mm) | BGA(50×25mm) | BGA(50×25mm) | BGA(50×25mm) | HDI(28.5×19.1mm) |
チップ構成 | 2チップ | 1チップ | 1チップ | 1チップ | 1チップ |
PCI Express(CPU側)/Gen 5 | x16 | - | - | - | - |
PCI Express(CPU側)/Gen 4 | x4 | 2x4、x8 | 2x4 | 2x4 | 1x4 |
パッケージに関してはデスクトップPC向けではLGAパッケージになっていたが、このCore HXでは45x37.5x2mmのBGAパッケージへと変更されている。
第12世代CoreのほかのノートPC向けはPCHもパッケージ内に搭載されているSoCになっているが、今回発表されたCore HXはCPUとPCHの2チップ構成となる。このため、ほかのノートPC用の第12世代では実装されなかったPCI Express Gen 5が利用可能で、16レーン(1x16ないしは2x8)を単体GPU(dGPU)との接続に利用することができることも大きな特徴となっている(Core HではPCI Express Gen 4のx8を単体GPUとの接続に利用している)。
一方で、TDPは第12世代Core Hの45Wから55Wに引き上げられており、より強力な冷却装置などを採用することで、より高性能を実現することが可能になっている。
メモリやCPUコアのオーバークロック機能も強化されており、これまでデスクトップPC版だけで利用可能だった「Intel Dynamic Memory Boost」機能が利用できるようになったり、Eコアのオーバークロックが可能になっている。また、Intel公式のオーバークロックツールである「Intel Extreme Tuning Utility」における機能向上なども行なわれている。
AMDのRyzen 9-6800HXやApple M1 Maxを超える性能を発揮するCore HX
IntelはこのCore HXを、モバイルワークステーションやゲーミングノートPC向けとして提供し、NVIDIAやAMDが提供している強力な単体GPUと組み合わせて販売されるようなハイエンドゲーミングノートPC用のCPUと位置づけている。性能は現在市場に投入されているAMDの最もハイエンドなモデル(Ryzen 9-6900HX)と比較しても上回っており、AppleのM1 Maxも上回るというベンチマーク結果を公開している。
Core HXの最上位モデルとなるCore i9-12900HXは、昨年(2021年)モデルの最上位モデルであるCore i9-11980HKと比較してシングルスレッドで17%、マルチスレッドで64%と、1世代での性能強化としてはかなり大きな性能向上を見せている。3Dレンダリング(Blender)では昨年モデルに比較して81%高速で、CrossMarkでは33%高速となっている。
Intelによれば、Core HXにはCore i9、Core i7、Core i5の3つのブランドの製品が用意されており、以下のような7つのSKUが用意される。
プロセッサ・ナンバー | CPUコア数 | CPUスレッド数 | L3キャッシュ | 最大ターボ時周波数(Pコア) | 最大ターボ時周波数(Eコア) | ベース周波数(Pコア) | ベース周波数(Eコア) | GPU EU数 | 最大GPU周波数 | プロセッサーベースパワー | マックスターボパワー | vPro対応 | ECC対応 | オーバークロック機能 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Core i9-12950HX | 16(8P+8E) | 24T | 30MB | 5GHz | 3.6GHz | 2.3GHz | 1.7GHz | 32 | 1.55GHz | 55W | 157W | ○ | ○ | フルメモリ/限定CPU OC |
Core i9-12900HX | 16(8P+8E) | 24T | 30MB | 5GHz | 3.6GHz | 2.3GHz | 1.7GHz | 32 | 1.55GHz | 55W | 157W | - | - | フルメモリ/限定なしCPU OC |
Core i7-12850HX | 16(8P+8E) | 24T | 25MB | 4.8GHz | 3.4GHz | 2.1GHz | 1.5GHz | 32 | 1.45GHz | 55W | 157W | ○ | ○ | フルメモリ/限定CPU OC |
Core i7-12800HX | 16(8P+8E) | 24T | 25MB | 4.8GHz | 3.4GHz | 2.1GHz | 1.5GHz | 32 | 1.45GHz | 55W | 157W | - | - | フルメモリ/限定なしCPU OC |
Core i7-12650HX | 14(6P+8E) | 20T | 24MB | 4.7GHz | 3.3GHz | 2GHz | 1.5GHz | 32 | 1.45GHz | 55W | 157W | - | - | フルメモリ/限定CPU OC |
Core i5-12600HX | 12(4P+8E) | 16T | 18MB | 4.6GHz | 3.3GHz | 2.5GHz | 1.8GHz | 32 | 1.35GHz | 55W | 157W | ○ | ○ | フルメモリ/限定CPU OC |
Core i5-12450HX | 8(4P+4E) | 12T | 12MB | 4.4GHz | 3.1GHz | 2.4GHz | 1.8GHz | 16 | 1.30GHz | 55W | 157W | - | - | フルメモリ/限定CPU OC |
このCore HXは既に10モデルのモバイルワークステーション、ゲーミングノートPCで採用が決まっており、ASUS、Dell、GIGABYTE、HP、Lenovo、MSIなどのOEMメーカーから順次発表される予定になっているとIntelでは説明している。