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Intel、16コア/24スレッドのゲーミング/モバイルWS向け第12世代Core HXプロセッサ

Intelが発表した第12世代Intel Core HXプロセッサ

 Intelは、5月10日~5月11日(現地時間、日本時間5月11日~5月12日)に同社のプライベートイベントとなる「Intel Vision」(インテル・ビジョン)をアメリカ合衆国テキサス州ダラスフォートワース空港近くの「Marriott Gaylord Texan & Convention Center」で開催する。

 それに先だってIntelは報道発表を行ない、同社のノートPC向けプロセッサの最新製品として「第12世代Intel Core HXプロセッサ」(以下Core HX)を発表した。Core HXは、1月に発表されたゲーミングノートPC向けの第12世代Core Hプロセッサの上位版となり、CPUコアが最大でPコアが8コア、Eコアが8コアとなり、従来のHシリーズのPコアが6コア、Eコアが8コアに比べてPコアが2コア増やされるのが最大の特徴となる。

デスクトップPC向けの16C/24Tのダイをモバイル向けに転用

今回発表されたCore HXはノートPC向けのCPUの中で最もハイエンドな製品となる

 今回IntelがVisionで発表した新しい製品が「第12世代Intel Core HXプロセッサ」(以下Core HX)となる。最大の特徴は、これまでデスクトップPCにのみ投入されてきたPコア8基+Eコア8基+GPU 32EUというダイを、ノートPC向けにも採用していることだ。

従来はデスクトップPC向けにだけ提供されたPコア(8)+Eコア(8)というダイをノートPC向けに投入

 Intelは開発コードネームAlder Lakeで知られる第12世代Coreプロセッサで、大きく分けて3つのダイを製造している。

【表1】第12世代Coreのダイバリエーション(筆者作成)
ダイCore SCore HX(55W)Core H(45W)Core P(28W)Core U(15W/9W)
8+8+32:8コア(Pコア)+8コア(Eコア)+GPU(32EU)---
6+8+96:6コア(Pコア)+8コア(Eコア)+GPU(96EU)---
2+8+96:2コア(Pコア)+8コア(Eコア)+GPU(96EU)----

 CPUのPコアとEコアがそれぞれ8基、GPUが32EUという「8+8+32」構成のダイがデスクトップPC向けのSプロセッサに、Pコアが6コアとEコアが8コア、GPUが96EUという「6+8+96」構成がノートPC向けのHプロセッサとPプロセッサに、Pコアが2コアとEコアが8コア、GPUが96EUという「2+8+96」構成がUプロセッサに投入されている。この構成はそれぞれ最大構成で、SKUによってはそれよりも少ない構成として提供されることもあり、その場合にはダイに実装されているCPUなりGPUなりが一部無効にされて出荷されることになる。

 今回のCore HXは、これまでデスクトップPC向けのSプロセッサにだけ利用されてきた「8+8+32」という構成のダイをモバイルに転用したものとなる。このため、ノートPC向けの第12世代Coreプロセッサとしては初めてPコアが8基となり、CPUは16コア(8コア+8コア)/24スレッド(Eコアは1コア1スレッドなので、Pコア16スレッド+Eコア8スレッドとなる)の構成をサポートするものとなる。

【表2】ノートPC向けの第12世代Core、Core HX、Core H、Core P、Core Uそれぞれの違い(筆者作成)
Core HXCore HCore PCore U(15W)Core U(9W)
TDP55W45W28W15W9W
パッケージBGA(45×37.5mm)BGA(50×25mm)BGA(50×25mm)BGA(50×25mm)HDI(28.5×19.1mm)
チップ構成2チップ1チップ1チップ1チップ1チップ
PCI Express(CPU側)/Gen 5x16----
PCI Express(CPU側)/Gen 4x42x4、x82x42x41x4

 パッケージに関してはデスクトップPC向けではLGAパッケージになっていたが、このCore HXでは45x37.5x2mmのBGAパッケージへと変更されている。

Core HXのブロックダイアグラム
PCI Express Gen 5に対応したノートPCを設計可能に

 第12世代CoreのほかのノートPC向けはPCHもパッケージ内に搭載されているSoCになっているが、今回発表されたCore HXはCPUとPCHの2チップ構成となる。このため、ほかのノートPC用の第12世代では実装されなかったPCI Express Gen 5が利用可能で、16レーン(1x16ないしは2x8)を単体GPU(dGPU)との接続に利用することができることも大きな特徴となっている(Core HではPCI Express Gen 4のx8を単体GPUとの接続に利用している)。

 一方で、TDPは第12世代Core Hの45Wから55Wに引き上げられており、より強力な冷却装置などを採用することで、より高性能を実現することが可能になっている。

オーバークロック機能も拡張

 メモリやCPUコアのオーバークロック機能も強化されており、これまでデスクトップPC版だけで利用可能だった「Intel Dynamic Memory Boost」機能が利用できるようになったり、Eコアのオーバークロックが可能になっている。また、Intel公式のオーバークロックツールである「Intel Extreme Tuning Utility」における機能向上なども行なわれている。

AMDのRyzen 9-6800HXやApple M1 Maxを超える性能を発揮するCore HX

シングルスレッドとマルチスレッドのCPU性能

 IntelはこのCore HXを、モバイルワークステーションやゲーミングノートPC向けとして提供し、NVIDIAやAMDが提供している強力な単体GPUと組み合わせて販売されるようなハイエンドゲーミングノートPC用のCPUと位置づけている。性能は現在市場に投入されているAMDの最もハイエンドなモデル(Ryzen 9-6900HX)と比較しても上回っており、AppleのM1 Maxも上回るというベンチマーク結果を公開している。

3DとCorssMarkの結果
Autodeskアプリでの比較
ワークステーションアプリでのベンチマーク
ゲームでのフレームレート
Eコアを効率よく使うとマルチタスクの性能が向上する

 Core HXの最上位モデルとなるCore i9-12900HXは、昨年(2021年)モデルの最上位モデルであるCore i9-11980HKと比較してシングルスレッドで17%、マルチスレッドで64%と、1世代での性能強化としてはかなり大きな性能向上を見せている。3Dレンダリング(Blender)では昨年モデルに比較して81%高速で、CrossMarkでは33%高速となっている。

 Intelによれば、Core HXにはCore i9、Core i7、Core i5の3つのブランドの製品が用意されており、以下のような7つのSKUが用意される。

SKU構成
【表3】Core HXのSKU(Intel社の資料より筆者作成)
プロセッサ・ナンバーCPUコア数CPUスレッド数L3キャッシュ最大ターボ時周波数(Pコア)最大ターボ時周波数(Eコア)ベース周波数(Pコア)ベース周波数(Eコア)GPU EU数最大GPU周波数プロセッサーベースパワーマックスターボパワーvPro対応ECC対応オーバークロック機能
Core i9-12950HX16(8P+8E)24T30MB5GHz3.6GHz2.3GHz1.7GHz321.55GHz55W157Wフルメモリ/限定CPU OC
Core i9-12900HX16(8P+8E)24T30MB5GHz3.6GHz2.3GHz1.7GHz321.55GHz55W157Wフルメモリ/限定なしCPU OC
Core i7-12850HX16(8P+8E)24T25MB4.8GHz3.4GHz2.1GHz1.5GHz321.45GHz55W157Wフルメモリ/限定CPU OC
Core i7-12800HX16(8P+8E)24T25MB4.8GHz3.4GHz2.1GHz1.5GHz321.45GHz55W157Wフルメモリ/限定なしCPU OC
Core i7-12650HX14(6P+8E)20T24MB4.7GHz3.3GHz2GHz1.5GHz321.45GHz55W157Wフルメモリ/限定CPU OC
Core i5-12600HX12(4P+8E)16T18MB4.6GHz3.3GHz2.5GHz1.8GHz321.35GHz55W157Wフルメモリ/限定CPU OC
Core i5-12450HX8(4P+4E)12T12MB4.4GHz3.1GHz2.4GHz1.8GHz161.30GHz55W157Wフルメモリ/限定CPU OC
ASUS、Dell、GIGABYTE、HP、Lenovo、MSIなどのOEMメーカーから順次発表予定

 このCore HXは既に10モデルのモバイルワークステーション、ゲーミングノートPCで採用が決まっており、ASUS、Dell、GIGABYTE、HP、Lenovo、MSIなどのOEMメーカーから順次発表される予定になっているとIntelでは説明している。