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Qualcomm、ロスレスでCD品質のオーディオをBluetoothで再生可能にするIC

Qualcommが試作したレファレンスデザインのワイヤレスイヤフォンとSnapdragon 8 Gen 1を搭載したスマートフォン

 Qualcommは、2月28日(現地時間)より始まったMWC 2022に出展し、同社の新しい5G向けモデムや昨年(2021年)の12月に行なったSnapdragon Tech Summitで発表した新製品を搭載した最終製品などを展示している。その中で、ワイヤレスイヤフォン/ヘッドフォンメーカー向けに提供しているコントローラICの新製品として、「Qualcomm S5 Sound Platform(QCC517x)」および「Qualcomm S3 Sound Platform(QCC307x)」を発表した。

 両製品ともに、16bit/44.1kHzでCD品質のオーディオをBluetooth無線で伝送することが可能になっており、同社が昨年の9月に発表したロスレス向けのコーデックとなるaptX Adaptiveのロスレスモード(aptX Lossless)に対応しており、対応しているSnapdragon 8 Gen 1を搭載したスマートフォンと組み合わせることで、ロスレスCD品質のオーディオ再生がワイヤレスイヤフォン/ヘッドフォンで可能になる。

 同社が会場で行なったデモでは、約1Mbpsのビットレートで、ロスレスで再生できる様子が確認できた。

1Mbpsを超えるビットレートでロスレスCD品質の音楽再生がワイヤレスで可能に

ロスレスでCD品質のオーディオ再生を可能にするQualcomm S5/S3 Sound Platform

 Qualcomm S5 Sound Platform (QCC517x)およびQualcomm S3 Sound Platform (QCC307x)はいずれもワイヤレスイヤフォン/ヘッドフォン向けのコントローラICになる。両製品ともにイヤフォン/ヘッドフォン側に内蔵され、オーディオのデコードやDA変換などを行なうためのICとなる。QualcommはこうしたBluetoothオーディオ向け製品を、以前同社が買収したCSRの製品をベースに発展させてきており、CSRが持っていたaptXと呼ばれるコーデックをサポートしている。今回発表されたS5とS3の違いは、S5が上位製品と言う位置づけになり、プログラマブルになっていることが最大の違いとなる。

Qualcomm S5/S3 Sound Platformの機能
演算性能は2倍になり、メモリの最適化によりA1に3倍のメモリを使えるように
20%省電力になり、25%低レイテンシに

 今回のS5およびS3では従来製品に比べて演算性能が2倍に強化しながら20%消費電力が下がっており、より小型のワイヤレスヘッドフォンなどを設計、製造することが可能になる。また、Bluetooth 5.3で定義されているLE Audioにも対応している。

16bit/44kHzのCD音質をロスレスでワイヤレス転送が可能に。あるいはハイレゾ24bit/96kHz、HDの24bit/48kHzにも対応
ワイヤレスイヤフォン用としては初めてロスレスに対応

 最大の特徴は昨年の9月にQualcommが発表したいわゆる「aptX Lossless」と呼ばれるBluetoothオーディオ(いわゆるSBC)上でもロスレスにオーディオデータを送信することを可能にしたコーデックをサポートしていることだ。実際にはaptX Losslessという名称のコーデックはなくて、以前からQualcommが提供してきた「aptX Adaptive」の機能拡張としてロスレス機能を追加したものをaptX Losslessと呼んでいるものとなる。

 これにより、ユーザーがロスレスでCDク品質の音源を再生したときなどには、ワイヤレスの状況に応じてビットレートが上げられる状態にあるときなどにビットレートを引き上げて再生品質を改善、ないしは音源をスケールアップするなどして再生品質を引き上げる仕組みになっている。また、ロスレスではない場合には、24bit/96Hzのいわゆるハイレゾモードで再生することも可能だ。

第3世代のQualcomm Adaptive Active Noise Cancellation(ANC)
ゲーミングモード

 このほかにも、より強化された第3世代のQualcomm Adaptive Active Noise Cancellation(ANC)によりノイズキャンセリング機能を標準でサポートしており、ゲーミングモードと呼ばれる低レイテンシ(68ms、従来世代と比較して25%さらに低レイテンシになっている)などの機能も搭載されている。

 なお、対応するコーデックはaptX系のコーデックと、AACなどで、LDACに関しては標準ではサポートされていないが、顧客の要望があれば対応可能だとQualcommの担当者は説明した。

実機で1Mbps近くのビットレートを確認、ロスレスモードで音質も向上している

再生開始当初はビットレートが436bpsでロスレスモードにはなっていない
再生が安定してくると、ビットレートは1Mbps近くになり、ロスレスが有効になった。

 QualcommブースではこのQualcomm S5 Sound PlatformないしはQualcomm S3 Sound Platformを利用したデモが行なわれており、ワイヤレスイヤフォンにこれらのチップを搭載し、Snapdragon 8 Gen 1を搭載したスマートフォンと接続して1Mbps近いビットレートが安定して出ていることが確認できた。また、コードデックは前述の通りaptX Adaptiveで、ロスレスモードで動作していることが確認できた。

 なお、この機能を利用する場合には、ソースとなるデバイス側(具体的にはスマートフォン側)もaptX Losslessに対応している必要がある。Qualcommによれば、現状対応しているのは同じICがデバイス側にも搭載されるか、スマートフォンならSoCレベルでこの機能に対応しているSnapdragon 8 Gen 1を搭載している必要がある。

 通例で行けば、日本でもQualcommの新しいSoCを搭載したモデルは通信キャリアが発売するスマートフォンの夏モデルあたりで登場することになるので、それ以降に対応することができるということになる(ただし、今のところ搭載製品はまだ発売されていない)。