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Intel、次世代のMeteor LakeにVPUを統合予定。第13世代CoreでLE Audio対応も

IntelのVPUロードマップ、Meteor LakeではVPUがプロセッサに統合される

 Intelは、イスラエル ハイファ市内にある同社のIDC(Israel Design Center)において、9月12日(現地時間)から記者説明会を開催し、同社が第13世代Core(開発コードネーム:Raptor Lake)などに合わせて提供する計画の周辺技術などに関して説明した。

Meteor LakeではMovidius由来のVPUをプロセッサに内蔵し、画像認識時のCPU/GPU負荷を下げることが可能に

Intel モバイル製品マーケティング 上席部長 ダン・ロジャース氏

 Intel モバイル製品マーケティング 上席部長 ダン・ロジャース氏は、同社のPCにおけるAI戦略のアップデートを行なった。既にIntelは第10世代CoreからGNA(Gaussian & Neural Accelerator)というアクセラレータを搭載しており、主に音声のノイズ削減などに利用されている。IntelはそうしたGNAの開発キットとしてOpenVINOを提供しており、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)はOpenVINOを利用することで、CPUに負荷をかけることなくノイズ削減を実現している。実際、PCメーカーがビデオ会議ソフトでの音声のノイズ削減を実現する時などにも利用されているように、実はPCでもAI推論の利用は見えないところで進んでいるのだ。

 こうしたIntelのAI戦略は、第13世代Core(Raptor Lake)やその後継となるMeteor Lakeにおいてさらに拡張される。「第13世代Coreでは既に提供しているKeem Bayとの組み合わせで、VPUの採用をOEMメーカーに採用を呼びかけていき、いくつかのパートナーとは共同開発を行なう。さらにMeteor Lakeではプロセッサに統合し、さらに広範囲な採用を想定している」と述べ、以前買収したMovidius由来のVPUをプロセッサに統合する計画を明らかにした。

Keem Bayのデモ。GPUだけで画像認識をしているときにはGPUに20%の負荷がかかっている
VPUで画像認識すると、GPUの負荷が下がって、VPUの負荷があがるが、VPUはGPUに比べて圧倒的に低消費電力なので、システム全体の消費電力が下がる

 展示会場ではMovidiusのVPUとしては第3世代となるKeem Bayの展示が行なわれ、画像認識を行なう時にGPUの負荷をオフロードできる様子が公開された。元々IoT向けとして開発されたVPUなので、処理を非常に低い消費電力でできるように設計されており、第11世代Coreとの組み合わせたシステムで、GPUが行なっていた画像認識の処理をKeem BayにオフロードすることでGPUの負荷を下げる様子を公開した。

第13世代CoreでBluetooth LE Audioに対応するとIntelが明らかに、その実働デモも行なわれる

Bluetooth LE Audioに対応したノートPC

 Bluetoothの規格策定を行なう業界団体Bluetooth SIGは、次世代のBluetoothを利用したワイヤレスオーディオの規格としてBluetooth LE Audio(以下LE Audio)を既に発表している。その技術的な概要や詳細に関しては僚誌AV Watchの記事が詳しいので、そちらをご参照いただきたい。

 簡単にいってしまうと、新しいコーデックを採用すること、より低遅延、低消費電力かつ高音質になっている。また、LE Audioでは補聴機器の機能も盛り込まれており、そうした機器をBluetoothで実現することも可能になり、複数のスピーカーなどに向けてブロードキャストする機能拡張も行なわれている。実際の展示会場では、複数スピーカーへのブロードキャスト、さらに補聴機器としてのデモなどが行なわれた。

LE Audioでは補聴機器の機能なども追加されている
ブロードキャスト機能
会場ではLE Audioのデモが行なわれた

 IntelはそうしたLE Audioに第13世代Coreで対応すると明らかにした。Intelは同社のプラットホーム向けに無線モジュールを、PCメーカーなどに提供している。第13世代Coreで対応するという発表は、同社の無線モジュールがLE Audioに対応するという意味だと考えることができる(現時点ではどのモジュールで対応するかなどの詳細は明らかにはされていない)。

 また、IntelはWi-Fiを利用して人間の動きを検知する「Wi-FI Proximity Sensing」のデモも行なった。Wi-FI Proximity Sensingは簡単に言えば、人間が動くことで発生するWi-Fiの電波の変動をシステムが検知し、それによってユーザーがいなくなった、あるいはユーザーがPCの前に座ったなどを検知することを可能にする仕組みだ。

 実際にデモPCで、筆者も試してみたが、PCに近づくとデスクトップPCがスタンバイから復帰し、そして離れるとPCがスタンバイモードに入る様子が確認できた。

Wi-FI Proximity Sensing
Wi-FI Proximity Sensingに対応したWi-Fiモジュール
人が離れると画面が消えてスリープモードへ移行する

 このほか、IntelはEvoブランドのPC向けに提供していたWi-Fi機能の拡張ツール「Intel Connectivity Performance Suite」の最新版となる2.0を第13世代Core向けに提供し、従来の2つのWi-Fiを束ねて利用する機能に加えて、ワイヤレスWANの回線も束ねて高速に通信する機能を追加する計画だと明らかにした。

Intel Connectivity Performance Suite 2.0