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ゲーミングPC市場に注力する日本HP。ビジネスPCではコラボ機能強化
2022年1月21日 06:05
株式会社日本HPは20日、報道関係者向け事業説明会を開催。2021年の業績の振り返りや、2022年の事業戦略について説明を行なった。
説明会冒頭では、2021年11月1日に同社代表取締役 社長執行役員に就任した岡戸伸樹氏が登壇。新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、2022年はハイブリッドワークやDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速する、変化の1年になるとした。
そのうえで、こういう時だからこそ大胆な施策を打ち、果敢にチャレンジしていきたいと述べ、社長就任については、これを第2の創業だと思って、新しい日本HPを作り上げていきたいと意気込みを語った。
PCは今後必需品に。継続的な市場成長を見込む
2021年のグローバルでの業績は、PC事業やプリント事業において売上が2桁の成長を記録し、全体でも売上が前年比12.1%増の約7.3兆円となった。利益についても前年比42%増の約6,600億円と大幅な成長を記録。ゲーミング分野など5つの分野が成長を牽引した形で、2022年も引き続き注力していく。
売上の7割を占めるというPC事業の見通しについては、今後数年間は3%程度の安定成長を続け、2024年には市場規模が64兆円に達すると見込んでいる。コロナ禍を経てPCが必需品となり、普及率が伸びるだけでなく、使用頻度の増加による買い換えサイクルの加速や、Windows 11の登場などが影響していくとみている。
また日本市場についても注力しており、ニーズを理解してベストな体験を提供することで、今後も成長していきたいとした。
【お詫びと訂正】初出時に2021年のグローバル業績の利益を「約5,500億円」としておりましたが、正しくは「約6,600億円」となります。お詫びして訂正させていただきます。
国内ではゲーミングPC市場が成長。周辺機器も含めポートフォリオ拡充
国内での事業展開については、PCとプリント事業を中心に説明が行なわれた。
ゲーミングPC市場については大きく成長を続けており、直近2年間で84%拡大したという。ライフスタイルの一部にもなっており、プレイ時間についても増加傾向にあり、かつ76%のユーザーは今後も継続的に同等の時間をゲームに費やしたいと答えているという。
また、コミュニケーションツールとしても活用されており、特に若年層においては過半数が友人を作るためのよい方法であると認識しているという。こういったことからゲーミングPCは、美しい映像体験が提供できるハイエンドなものとしてだけなく、人と人とをつなぐツールとしても重要な役割を果たしていくとした。
同社では、2021年に新たなゲーミングブランドとしてカジュアル寄りの「VICTUS」を追加。プロゲーマーも利用するハイエンドなOMENと合わせて、幅広いプレイヤー層をカバーする。加えて、KingstonのゲーミングブランドHyper Xを買収するなど、強化を進めている。
今後もPCおよび周辺機器などのゲーミングポートフォリオを拡充し、PCゲーミング市場に対して注力していくとした。
働き方の変化に向けたハイブリッドワークへの取り組みとしては、コラボレーションの品質を高める「HP Presence」、デバイスがどこにあっても生産性を維持し効率的に管理するソリューション、生産性を維持しながら安全を確保するエンドポイントセキュリティの3つに注力していく。
中でもHP Presenceについては、オフィス向けのWeb会議用機器や、PCに組み込むミーティング用機能など、コラボレーション作業をエンドツーエンドでサポートするソリューションとなる。
今後投入する次世代のEliteBookシリーズやワークステーションPCには、HP Presenceの機能が備わる予定。ユーザーの姿や声をしっかりと届けるためのコンポーネントやソフトウェアをPCに組み込むもので、より高解像度なカメラを採用したり、カメラやマイクの自動調整、AIを活用した音質改善、ノイズキャンセリング機能などを提供する。
デジタルプレス事業については、印刷DXによりデジタル化を推進する成長軸と、印刷物を通じた体験向上や持続可能社会への貢献による付加価値軸の2つの軸を中心として事業を展開していく。
前者では新製品の投入に加え、初期費用を抑えられる認定中古機の販売を開始。後者では、デジタル印刷を活用した多品種/メガロット対応を進める。また、MRを活用しリモートでのトラブルシューティング効率を改善するHP xRServicesについても、5月より提供を開始する予定。
3Dプリンティング事業では、Jet Fusionシリーズが様々な領域で採用。さらに、造形後のパーツ取り出しを自動化するAutomatic Unpacking Stationを追加するなど、生産性の向上を図っている。
そのほか、同社のサステナビリティに対する取り組みも紹介。気候変動対策、人権、デジタルエクイティ(デジタル社会における公平性)を3つの柱に掲げて進めている。
具体的な内容として、エネルギー効率の高い製品設計や再生プラスチックなどの採用、社員1人1人が自分らしさを発揮できる職場環境や企業文化の構築、プログラミング体験会やゲームとPCを活用した子ども向けプログラムの実施などが紹介された。