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世界初のマイクロプロセッサ「Intel 4004」生誕50周年

 Intelによる世界初の商用マイクロプロセッサ「4004」が11月16日をもって生誕50周年を迎えた。Intelは50周年を祝うニュースリリースの中で、「この製品の登場はテクノロジーにおける偉大な節目となりました。このチップが、コンピューティングを本格的に発信させる原点になった」とパット・ゲルシンガー氏の言葉を引用した。

 4004の開発の経緯について、PC Watchで執筆している福田氏のコラムの方が詳しいので、ここではその詳細を割愛するが、1969年に日本計算機販売株式会社(当時の社名、1970年に社名をビジコン株式会社に変更)がIntelに、同社の試作用エンジニアリング電卓「ビジコン 141-PF」用の集積回路設計を依頼したことから始まる。

 原案では12個(ゴードン・ムーアのメッセージでは13個となっている)のカスタムチップを使用するものとなっていたが、当時のIntelの設計能力では12個すべてを設計することが難しかったため、逆に1つのプログラマブルなチップでソフトウェアによってフレキシブルに対応しようという逆転の発想で4004を含む4個のチップを提案し、設計/開発した。

 4004の設計には、フェデリコ・ファジン氏、スタンレー・メイザー氏、テッド・ホフ氏の3人が関わったのだが、上記の案を提案したのはテッド・ホフ氏で、ここに半導体の汎用プロセッサに対する先見の明があり、今日まで使われる汎用プロセッサの礎になったとされている。

フェデリコ・ファジン氏
スタンレー・メイザー氏
テッド・ホフ氏
パット・ゲルシンガー氏

 また、金属酸化膜半導体(MOS)とシリコンゲート技術(SGT)を単一チップに組み込んだ集積回路も、当時としては先進的であった。結果的にIntel 4004は約2,300トランジスタを集積、750kHzで動作する汎用プロセッサとなった。

プロセッサ進化の基本となる製造プロセスを継続的に改善

 16日に開かれたIntel 4004生誕50周年記念の記者会見では、インテル株式会社執行役員常務 第2技術本部 本部長 土岐英秋氏が、このIntel 4004を振り返るとともに、4004登場以降も以降、Intelはかの有名な「ムーアの法則」に則り、微細化などにより約2年で集積度を2倍向上させたプロセッサを相次ぎ投入、最新の第12世代Coreでも受け継がれていることを紹介。

4004を手にしている土岐英秋氏

 今後も、「Intel 7」、「Intel 4」、「Intel 3」、「Intel 20A」と2025年までのロードマップを明確にし、ムーアの法則を邁進させていくとしている。特にIntel 20Aでは、RibbonFETと呼ばれる全周ゲート型(GAA)トランジスター・アーキテクチャや、PowerViaと呼ばれるバックサイド電源供給ネットワークにより、革新的な半導体製品を消費者に提供できるとした。

 また、第2技術本部 部長 工学博の 安生健一朗氏は、改めて第12世代Coreの特徴ならびに性能についてアピールし、ゲーミング、マルチタスクに最適なプロセッサであることを強調した。