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センサー搭載メガネで心と体をケア。新「JINS MEME」登場

 株式会社ジンズは、「ココロとカラダのセルフケアメガネ」として、デザインなどを一新した「JINS MEME」(ジンズミーム)を、10月14日から発売する。価格は1万9,800円。

 特許取得済みの同社独⾃の3点式眼電位センサーと、3軸加速度センサーおよび3軸ジャイロセンサーを組み合わせた6軸モーションセンサーをメガネに搭載。まばたきや視線移動、身体の傾きなどを捉えて分析し、心の状態や、身体の状態をスマホアプリに表示する。

 ジンズホールディングス 代表取締役CEOの田中仁氏は、「JINS MEMEによって、心と身体の内面を可視化できるようになった。初号機は、ハードウェアの制約から耳のところに基板や電池が入り、大きくて重く、かけ心地が悪いという課題があった。また、データをソリューションや体験に繋げることができなかったという反省もあった。

 新たに市場投入するJINS MEMEによって、こうした課題を解決し、無理なく人々の生活に根づいて、生活を変えることができる最高のユーザー体験をもたらすことができる。かけ続けられる軽さ、生活にフィットするデザインを実現し、テック好きでなくても、誰もがかけられるようになった。新たな挑戦の製品である」と位置付けた。

 同社では、2015年11⽉に、世界初の⾃分を⾒ることができるメガネとしてJINS MEMEを発売。2019年に完売していた。今回発表した製品は、その次世代機に位置付けられるもので、デザインやアプリ機能、価格体系を一新した。

 従来モデルでは、ノーズパッドまわりとテンプルエンドに分散させて格納していた2つのセンサーとバッテリを、「JINS MEME CORE」として、約6gに⼩型化、軽量化することでノーズパッドまわりに集約して搭載。軽量化やかけ⼼地の向上とともに、通常のメガネと遜⾊がないデザイン性を実現した。

JINS MEMEの中央部にJINS MEME COREを搭載している

 3点式眼電位センサーでは、眼球の⾓膜側が、正の電位を帯びていることを利用。正の電位を持つ眼球の⾓膜側が、視線や瞬きの際に動くことで、周辺の⽪膚の電位に変化が⽣じることを計測。まばたきの強さと速度、まばたきの間隔、視線移動の速さから脳の状態を分析して、専⽤アプリに、「MIND(ココロ)」と「BRAIN(集中)」を可視化して表示する。

 また、6軸モーションセンサーは、3軸加速度センサーと、3軸ジャイロセンサーで構成され、体のバランスを司る体軸線上に位置する頭部の体軸変化を正確に捕捉。移動や回転の速度から歩行中であることを認識。歩いている時の速さや強さ、偏り、体の傾きなどを測定して、状況を可視化する。

3点式眼電位センサー
6軸モーションセンサー

 アクティブモードで最⼤約24 時間、ジャイロセンサー使⽤時は約11時間、スリープモードでは約2週間の使用が可能。メガネの重量はレンズなしで約20~21g、サングラスはレンズ込みで25~26g。Micro USB端⼦を搭載している。専用アプリの「JINS MEME App」とは、Bluetooth Low Energy で接続。JINS MEME COREには、24時間分のデータを蓄積できるという。

JINS MEMEの仕組み

 専⽤アプリ「JINS MEME App」では、現在の姿勢の良し悪しを4段階でリアルタイムに評価。良い姿勢の時間の割合や時間帯別の姿勢スコア、歩行数や座り時間などの運動量も表示する。

 また、独⾃のアルゴリズムにより、現状の作業にどれだけ熱中しているかを判定する没⼊度のほか、気持ちの乱れや、平静を保っていることを判定する安定度、やる気の⾼さや気持ちの持続⼒を判定するバイタリティもスコア化する。

 さらに、時間帯別の集中度と、トータルの集中時間を集計し、0〜100ポイントのスコアで表⽰。ZONE(深い集中)、軽集中、集中外の3段階で判定する。

3段階の集中度として表示

 一方で、心や身体を、より良い状態へ導くソリューションも提供する。

 カラダを整えるストレッチやヨガのオリジナル動画コンテンツは30種類以上を用意。時間帯や測定結果に応じてコンテンツを提案。所要時間は20秒〜3分程度で、仕事の合間や朝の限られた時間などに気軽に取り組める。

 在宅勤務などで、PCの前で作業をしている際にも、姿勢が悪いことを検知して、「姿勢が悪くなっています」と通知。「姿勢が悪い状態が10分間続いています。カラダをほぐすメンテナンスでリフレッシュしましょう」と呼びかける。

アプリに姿勢が悪いことを表示
緊張状態が続いていることを通知し、リフレッシュを促す

 瞑想によるコンテンツでは、画⾯に映し出される映像や⾳声を通じて、乱れた心を整えたり、リラックスしたりでき、作業効率の⾼い状態に導くという。瞑想に取り組んだ結果は3段階で評価。成果が⼀⽬で分かるようになっている。

カラダを整えるストレッチやヨガのオリジナル動画コンテンツ
作業にどれだけ熱中しているかを判定する

 さらに、集中⼒が求められる作業時に役⽴つFOCUS機能を⽤意。「経費精算を終わらせる」といったように、決めたタスクと、時間と場所を⼊⼒。集中⼒をアップするBGM を選んで作業をスタートすると、その結果が3段階の集中度として表示される。

集中力が求められるシーンに活用するFOCUS機能

 このほかにも、お気に⼊りのコンテンツを「マイルーティン」などに登録できるほか、計測結果を蓄積するレポート機能、ランニング時の体の歪みを測定できる機能、運転中の眠気を測定してアラートを出す機能などを用意。JINS MEMEで測定したすべての情報も⼀覧表示できる。毎朝、偉人の名言を表示するといったコンテンツなども用意するという。

 「運転中の眠気検知では、大規模なフィールド実験のデータをもとに、アルゴリズムを作り直して第2世代としてリリースし、その技術を活用している。70~80%の一致性が見られ、精度を1.5倍に高めている」(ジンズ MEME事業部スペシャリストの菰田泰生氏)という。

 同社では、18人の外部モニターを対象に、1週間の事前検証を行なった結果、88.9%の利用者が自分の身体の状態を知ることはいいことだと回答。約半分の人が、自分が想定していたよりも身体の状態がよくないことが分かったという。また、55.5%がJINS MEMEを習慣化できそうだと回答したという。

 JINS MEMEは、メガネタイプが4型(ウエリントン、スクエア、オーバル、ボストン)8種、サングラスタイプで2型4種を用意。価格はいずれも1万9,800円。メガネは度付きレンズ代込みだが、サングラスは度付きレンズ代は別。JINSの約100店舗での展示販売のほか、JINSオンラインショップでも購入できる。店舗には、MEMEアンバサダーを配置して、使用方法などを説明する。

メガネタイプ(ウエリントン)
サングラスタイプ
JINS MEMEを充電しているところ

 また、Amazon.co.jp限定で、度なしブルーライトカットレンズ付きの「JINS MEME+JINS SCREEN Kit」を販売する。4型4種が用意され、価格は2万3,100円。

 専用アプリは1年間無料。2年目以降は年間5,000円、または月額500円で利用できる。iOS版の提供はすでに開始。Android 版は11⽉から提供する予定だ。

 なお、中国市場において、⼦ども向けにJINS MEMEを発売することも発表。受験を控えた10〜12歳の⼦どもたちの学習成果を向上させる製品として提案するという。

 さらに、JINS MEME を活⽤したサービスを提供するため、新しい開発と挑戦に挑むプロジェクト「JINS MEME LAB」を始動したことも発表した。プロジェクト第1弾として、アバター動画が作れるiOS専⽤のリアルタイムAR合成スマートフォンアプリ「VTUNER」(ヴイチューナー)を、2021年11⽉下旬にローンチする予定。

 さらに第2弾として、「JINS MEME CONTROLLER」の開発に着手。JINS MEMEで取得する頭の動きやまばたきのデータを活⽤して、PCやスマートフォンなどのデバイスを操作する研究開発を進めていることを明らかにした。⼿動によるPCやスマホ操作が困難な人が、特別な専⽤装置を使わずに⽂字⼊⼒が可能になることを目指す。

 JINSは今年(2021年)20周年を迎えている。

 田中社長は、「Magnify Lifeをビジョンに掲げ、アイデアを通じて、人々の人生を豊かにしたいと考えている。ビジネスモデル、製品、サービスのすべてにおいて、眼鏡業界の常識を疑い、これまでに数々の変革を起してきた。それを可能にしたのは、産学連携で得た知見を世の中に、新たな価値として還元してきたことであり、それを加速するために業界では世界初となる研究開発部門を設けている。また、10年以上前から、テクノロジーの可能性に着目し、投資を行ない、2007年からは、世界初となるメガネのオンライン販売を開始した」と振り返る。

 その上で、「コロナ禍において、世界が変わり、価値観も変わり、社会課題も表面化している。個人単位での変革が必要な時代になってきた。社会がデジタルシフトし、新たな生活様式の中で健康意識が高まり、リモートワークにより、働き方も多様化し、オンとオフの境界がなくなってきている。

 自分で管理するセルフマネジメントが大切な時代になっている。JINS MEME は、5年以上前から開発に着手してきた。ウェアラブルデバイスは可能性があると言われてきたが、テクノロジーの進化だけでなく、人々の生活に浸透することが大切である。

 JINS MEMEは、新型コロナによって、これからの時代に必要な製品になったのではないか。いまの自分を客観的に見るだけでなく、心や身体のメンテナンスにもつなげていくことができる。人々の心身を健康に保ち、社会生活を持続可能にする役割を担っていることを強く認識して、サービスを発展させたい」と述べた。

 会見では、JINS MEMEのCMに登場するサカナクションの山口一郎氏が参加。「歌詞を書くときにはPCを使っているが、そのときに、自分の姿勢が悪いことや、集中しているつもりでもそうでないことを、敏感にJINS MEMEが反応してくれる。お母さんに、姿勢悪いわよ、集中した方がいいわよ、と言われているようである。

 制作しているときには孤独だが、寄り添ってくれる仲間という感じもする。メガネにそんなことを感じたのは初めてのこと。制作の際には、JINS MEMEを使用しており、心のこと、身体のことが分かり、自分では無意識だった部分を刺激してくれる。サウナ対応のJINS MEMEが欲しい」などと語った。

ジンズホールディングス 代表取締役CEOの田中仁氏(左)、サカナクションの山口一郎氏
JINS MEMEをかけたサカナクションの山口一郎氏