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JINS、心理状態分析や居眠り検知ができるセンサー搭載メガネ

「JINS MEME ES」

 株式会社ジェイアイエヌは、センシングアイウェア「JINS MEME ES」および「JINS MEME MT」を11月5日より発売する。税別価格はそれぞれ39,000円、19,000円。

 JINS MEME ESはウェリントンタイプの、JINS MEME MTはスポーツサングラスタイプのデザインを採用したアイウェア。JINS MEME ESは度付きレンズに、JINS MEME MTはクリアレンズに搭載できる。

 ともに2014年5月に発表された製品で、3軸加速度/3軸ジャイロの6軸センサーを搭載し、身体の動きをトラッキングできる。

 JINS MEME ESでは、6軸センサーに加えて、角膜の動きによって眼球周辺皮膚の電位に生じた変化を検知する3点式眼電位センサーを搭載。身体の動きに加えて、瞬きや視線移動を検出できるという。

 製品デザインは、Audiや日産などでカーデザインを手がけた、プロダクトデザイナーの和田智氏が監修。「美しい普通」をコンセプトとした、シンプルなデザインとなっている。

 スマートフォンとの接続はBluetooth LEで、内蔵バッテリの充電は搭載するMicro USB端子から行なう。

 バッテリ連続時間は、共にリアルタイムモード時で12時間、スタンダードモード時で24時間。重量はESが約36g、MTが約45g。

株式会社ジェイアイエヌ代表取締役社長 田中仁氏

 都内で開催された製品発表会では、ジェイアイエヌ代表取締役社長の田中仁氏が登壇し、「以前メガネの国内市場を1兆円規模にするという目標を掲げたが、本製品はそのためのキラープロダクトの1つになる」と述べた。

 販売は全国のJINSショップのうちの38店舗と、JINS MEMEオンラインショップにて行なわれる。またJINSショップ原宿店を「JINS MEME Flagship Store 原宿」として改装することが発表され、同店ではアプリ開発者や研究者に対する案内などサポートを行なう「DEVEROPER'S STAND」が併設される。

 製品の発売と同時に、iOS 8.1搭載デバイス向けに3つのアプリケーションが無料で公開される。

 「JINS MEME App」は、JINS MEME ES用のアプリで、各センサーで計測された目や身体の動きの情報を元に、東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太氏の監修に基づき、「アタマ年齢」と「カラダ年齢を」表示するというもの。

 カラダ年齢は、頭の動きから活動量、姿勢、安定性を測定して算出されるもの。歩行時の動きや着席時の姿勢を可視化した総合指数で、姿勢が悪い状態などに年齢が上昇していくという。

 アタマ年齢は、目の動きから集中、活力、落ち着きの3要素を計測して算出されるもので、メンタルの活性度を示す総合指数。生産性が高い状態などでは若い年齢に、逆の場合では年齢が上昇していくという。

 発表会に登壇した川島氏は「集中や落ち着きなど、心理現象や生理状態というのは目に反映される」と述べ、JINS MEME ES搭載の眼電位センサーにより目の動きを捉えることで、「心の動き」を捉えることができるとした。

東北大学加齢医学研究所所長 川島隆太氏
「カラダ年齢」を活動量、姿勢、安定性から算出
「アタマ年齢」を集中、活力、落ち着き具合から算出
株式会社ジェイアイエヌ JINS MEMEグループ開発担当 井上一鷹氏
装着して1日過ごしたというデモ。出勤時、駅からオフィスまで徒歩で移動中。姿勢が良く若い年齢の判定
企画書制作中。集中度が高い状態
社内調整系の会議が連続し、一転して疲労状態となり高年齢の判定
会議後に残業でアプリ開発のためデータ処理を行なっている様子。姿勢が悪く、会議の疲れを引きずったままのため高年齢の判定
同僚との食事と歓談でアタマ年齢がやや若返り
1日のデータを見返すことで、疲労した会議のあと直ぐに残業をするとパフォーマンスが出ないので非効率だったという分析ができる
JINS MEME Appでは、ただデータを収集するだけでなく、分析結果からアドバイスも与えてくれる

 2つめの「JINS MEME RUN」は、JINS MEME MT用のアプリで、6軸センサーによってランニングフォームをリアルタイムに可視化するというもの。フォームの乱れをチェックすることで、より理想的なランニングを実現するという。

リアルタイムでフォームを検知
姿勢がぶれた状態
姿勢やペースなどが乱れると通知してくれる
ランニング後にも記録を閲覧できる
1kmごとの表
グラフ表示も可能

 3つめの「JINS MEME DRIVE」は、JINS MEME ES用アプリで、瞬きの頻度などから眠気を算出する独自のアルゴリズムにより、運転中の眠気を検知するというもの。3段階の眠気レベル判定で、居眠り運転の防止をサポートする。鴻池運輸と協力し、長距離ドライバーを対象とした実証実験を行なうなど、アルゴリズムの精緻化を進めているという。

「JINS MEME DRIVE」。瞬きの頻度などから眠気を算出する独自のアルゴリズムを開発
スマートフォンのGPSを利用して走行履歴から見返すこともできる
「JINS MEME CORE TRAINING」は現在開発中。開発には、サッカー日本代表の長友佑都選手のトレーナーでもある木場克己氏も協力

 2016年1月にはJINS MEME MT用のアプリ「JINS MEME CORE TRAINING」も公開予定。運動能力の向上にとって重要な、体幹のレベルを測定し、トレーニングをサポートするというもので、JINS MEME RUNとも連動し、ユーザーの課題に合わせたトレーニングメニューを提案する機能も備えるという。

 なお、各アプリのAndroid版については、2016年1月に公開予定。

JINS MEME ES装着時
JINS MEME ES装着時側面
JINS MEME MT
「JINS MEME MT」を装着時。掛けているのはプロダクトデザイナーの和田智氏
なお、和田氏によると、JINS MEME ESはウェリントンタイプのデザインだが、リムを交換出来るように設計してあるとのことで、異なるデザインのモデルの登場にも期待できる
発表会には為末大さんも登場。精神の状態も把握できるという点から、プロスポーツ選手が行なう「ルーティン」の効果などが科学的に分析できるかもしれないと述べていた

(佐藤 岳大)