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山梨大、ビッグデータ活用で大地震時の被害状況を把握するAI技術を開発

2016年熊本地震の被災地域データにAI技術を適用した調査結果(左)と現地調査(右)

 国立大学法人山梨大学は8月23日、人工衛星からの撮影画像と都市構造物のデジタルデータを解析し、大地震時の住宅倒壊状況を自動的に把握するAI技術を開発したと発表した。

 従来、大地震の被害状況の把握には多くの人手と時間を要して確認・収集が行なわれているほか、人工衛星から撮影された画像による解析も進んでいるという。しかし、前者は調査の際に被災するリスク、後者は画像の解像度が低く、住宅の被害状況まで把握することができないといった課題がそれぞれ存在した。

 同大大学院総合研究部の宮本崇准教授らが開発し、今回発表された技術では、人工衛星から撮影された地震前後の画像を比較する「3D convolution」を導入し、AIで地震による建物の倒壊を高精度に検知することに成功した。

 また、衛星写真以外に、デジタル都市データから地震時の建物被害と関連の深い建物の築年代と建築材料の情報をそれぞれ抽出することで、更に倒壊した建物の検知精度を高めた。

 この技術は、地域ごとの被害情報を地震後数時間以内に把握することが可能で、人手と調査時間を削減することで、被災地の人命救助や災害復興の迅速化に繋がることが期待されるという。また、災害前後の画像を比較する手法やデジタル都市データを統合分析する手法は、洪水害や土砂災害など、様々な自然災害にも適用できるとしている。