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NEC、被災状況の把握を迅速に行なえる技術。LLMと画像分析を活用

 NECは、災害発生時の被災状況の把握に、大規模言語モデル(LLM)と画像分析の両方を活用することで、即時かつ的確に被災状況と場所を把握できる技術を開発したと発表した。2025年度中の実用化を目指す。

 自治体などへ提供される被災現場の画像(スマートフォン、ドライブレコーダー、街頭カメラなど)には、詳細な被災状況や場所の情報が含まれているため、活用が期待されている。ただ、その画像数は膨大なため、被災状況の把握に必要な画像を素早く的確に絞り込めず、避難誘導や救助活動の初動を迅速に行なうための活用が困難だった。

 今回NECはLLMによる言葉の意味解釈と、画像分析による画像の類似性判定を活用することで、膨大な現場画像の中から、利用者の意図に合う画像を絞り込めるようにした。

 具体的には、従来の画像認識技術はあらかじめ学習した対象物しか認識できず、災害の種類、規模、被災地域、事態の進行状況によって多様化する利用者の意図に応じることが困難だったが、LLMを活用することでフリーワードで現場画像を絞り込めるようにしたほか、言葉では表現が難しい場面でも、探したい場面を画像で指定することで類似した画像に絞り込めるようになった。

 また、現場画像から道路、建物、信号機などの領域を自動抽出し、地図データの地理情報と合わせて活用し、地図のレイアウト状況と照合することで場所を推定する技術も適用。世界最高水準の照合精度を達成し、現場画像から場所を推定できるようにしたとしている。