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Windows 11は10と同じWindows Updateポリシーを利用可能

Windows 11が動作するデバイス(提供:Microsoft)

 MicrosoftがWindows 10の次期バージョンとなるWindows 11を発表した。その概要に関しては別記事「Windows 11発表。年内提供予定でWindows 10からは無償アップグレード」に詳しくまとまっているのでそちらを参照していただくとして、本記事ではMicrosoftが行なった「商用Windows 11に関する説明会」で説明された内容について説明していきたい。

 Windows 11では、Windows Update for Business(企業/学校ユーザー向けのWindows Update)を、Windows 10とほぼ同じポリシーで運用できるため、既にWindows 10を運用している企業ユーザー、学校ユーザーへの影響は非常に小さいと言える。

 また、今年の後半にリリースされるWindows 10の機能アップデート(21H2)へアップデートした後で、Windows 11へのアップグレードも可能になるなど、アップグレードにも柔軟に対応する計画であることを明らかにした。

Windows 10と同様のポリシーで利用可能

Microsoft Microsoft 365マーケティング部長 ワングイ・マッケルヴィ氏

 Microsoft Microsoft 365マーケティング部長 ワングイ・マッケルヴィ氏は「我々はWindows 11をハイブリッドワークのデバイスと位置づけている。CEOが強調しているように、今後はハイブリッドワークが当たり前の働き方になっていく」と述べ、商用ユーザーにとってのWindows 11は、従来の働き方(オフィスにいって働く働き方)と、リモートワーク/テレワークと呼ばれる新しい働き方の両方に対応したOSになるのだと強調した。

 実際、Windows 11にはそうした機能が多数搭載されている。その代表はもはやコラボレーションツールの代名詞と言ってよいTeamsのOSへの統合だ。これまでMicrosoftはTeamsを、Microsoft 365の一部として提供してきており、Microsoft 365の契約ユーザーがOfficeのデスクトップアプリケーションをインストールする時に同時にインストールされる形になっていた。

 Windows 11ではOfficeのデスクトップアプリケーションをインストールしなくても最初からTeamsが利用できるようになる。

Windows 11ではTeamsがWindowsに統合されている(提供:Microsoft)

 企業ユーザーにとって気になるアップグレードのプロセスやデバイスの管理などに関しては、従来のWindows 10とほぼ同じになる。Windows 11でのWindows Update for Business(商用ユーザー向けのWindows Update)のアップグレードのやり方(例えばすぐ導入する、半年は導入を延期するなど)は基本的にWindows 10と同じサイクルが採用される。

 つまり、現在企業の情報部門などが設定しているWindows Update for BusinessのポリシーはそのままWindows 11へと持ち越すことが可能だ。

 そのほかにもMicrosoft Endpoint Manager、Windows Autopilot(WindowsのアクティベーションやOfficeデスクトップアプリケーションの導入を自動化する仕組み)、さらにはWindows Insiderなどに関しても基本的にはWindows 10と同様のポリシーで運用できる。この点は商用ユーザーにとっては一安心というところではないだろうか。

 マッケルヴィ氏によれば「企業や教育ユーザーは、基本的には全てのWindows 10からWindows 11へアップグレード可能だ。ただし、Windows 10は1909かそれ以上のバージョンで実行されている必要がある」と述べており、Windows 11に備えるならWindows 10はバージョン1909に最低でもアップデートしておく必要がある。

TPM 2.0などハードウェア要件に注意

Windows 11のデスクトップ(提供:Microsoft)

 Windows 11へのアップグレードも、企業ユーザーは柔軟に行なうことができる。それ以前の段階としては、アップグレードのターゲットとなるハードウェアが、必要最低要件を満たす必要がある

  • CPU:1GHz/2コア以上の64ビット・プロセッサ
  • メモリ:4GB
  • ストレージ:64GB
  • ファームウエア:UEFI/セキュアブート対応
  • TPM:TPM 2.0
  • GPU:DirectX 12以上
  • ディスプレイ:9型以上

 これらの条件を満たしているPCの場合、Windows 11へのアップグレードが可能になる。注意したいのはCPUの64bit対応、UEFIとセキュアブート、そしてTPM 2.0に対応したTPMが必要になる点だ。

 というのも、Windows 11ではコア分離(Core isolation)と呼ばれる、Hyper-Vの機能を利用してOSとアプリケーションのメモリ空間を分離する機能、BitLockerによるストレージの暗号化などハードウェアを利用するセキュリティ機能が標準でオンになっている。

 これらの機能はWindows 10はオプション(機能はあるが標準では有効になっていない)になっていたが、Windows 11ではセキュリティを強化する意味もあって、これらの機能が標準でオンになるのだ。

 このため、コア分離なら64bitプロセッサやVTのような仮想化技術への対応が必須になるし、BitLockerならTPM 2.0が必要になるため、こうした要件になっていると考えることができる。

 なお、前述の通りWindows 10ではBitLockerへの対応は必須ではないので、そもそもTPMをオフにしている企業なども少なくないと考えられる。

 現代のCPU(IntelのCoreプロセッサやAMDのRyzenなど)は、CPUにTPM 2.0のコントローラを内蔵している製品がほとんどだ。IntelのプロセッサであればPTT(Platform Turst Technology)、AMDのプロセッサであればfTPMという名前だが、自作PCのマザーボードではこれがUEFIファームウェアのレベルで無効にされている場合がある。Windows 11へのアップグレード検証ツールで、TPMがなくてWindows 11へのアップデートができないという判定をされたユーザーで、割と最近(ここ5年ぐらい)のCPUを利用しているのであれば、PTTやfTPMが無効になっていないか確認したいところだ。

Microsoft Windows プログラム管理 スティーブ・ディスペンサ氏

 Microsoft Windows プログラム管理 スティーブ・ディスペンサ氏は「Windows 11へのアップグレードが提供された後、Microsoft Endpoint Managerを利用してWindows 10とWindows 11の両方を走らせることができる。さらには今後Windows 11のハイブリッドワーク向け機能の一部を取り込んでリリースされるWindows 10 21H2へまずアップグレードし、その後しかるべき段階でWindows 11へアップデートという形も可能だ。このあたりは顧客の都合により決定することができる」と述べ、企業がWindows 11へのアップグレードをより柔軟な形で行なうことができると説明した。

 また、この発言からも、少なくとも商用向けWindowsには、Windows 11の一部機能を搭載したWindows 10 21H2が提供される計画で、Windows 11に行くのか、Windows 10のままその最新版の21H2にアップデートするという選択肢が用意されていることがわかったことになる。