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東北大、大容量化が可能なカルシウムイオン電池電解質を開発

 東北大学材料科学高等研究所、および東北大学金属材料研究所は6日、水素クラスタを採用したカルシウムイオン電池用の電解質を開発し、室温での安定動作を実証したと発表した。

 現在の二次電池はリチウムイオンが主流だが、電池容量がすでに理論的な限界に近づいているほか、リチウムやコバルトなどの希少金属を用いているため、資源確保やコストなどの観点から課題が指摘されている。

 一方で、カルシウムは地殻中に5番目に多く存在する豊富な元素で、その金属電極は低い酸化還元電位を併せ持つため、資源性と電池容量の観点から、次世代蓄電デバイスに用いる元素として有望視され、カルシウムイオン電池が期待されている。

 カルシウムイオン電池の実用化におけるボトルネックは電解質で、高い伝導率と高い電気化学的安定性を満たす必要があり、弱配位性アニオンの適用や、フッ素を含まない電解質といった要素が求められている。

 今回の研究では、水素クラスターを用いたカルシウム電解質を新たに合成。固体電解質と液体電解液のそれぞれの可能性を検討したところ、優れた電気化学特性を示した。じっさいにカルシウム金属負極と硫黄正極を用いたカルシウム金属-硫黄蓄電池を作製し、充放電特性を調べたところ、室温において安定に動作したという。

室温において安定した充放電特性が得られたという

 今後はこの電解質を適用することで、さまざまな電極材料を用いたカルシウムイオン電池の開発が広がると期待されるほか、水素クラスタを有する多様な錯体水素化物の系統的な研究が望まれるとしている。