ニュース

Wi-Fi6対応でHDMI搭載の新型Chromebookを6月出荷開始。NECのGIGAスクール向けの取り組み

 NECは25日、同社が提供する教育クラウドサービス「OPE(Open Platform for Education)」の強化や学習者用端末の拡充など、GIGAスクール構想向けの取り組みに関する説明会を開催した。

 NECはかねてよりICT教育に取り組んでおり、現在では同社のOPEとChromebook/Windows搭載学習者用端末が、全国の約5,000校に採用されており、OPEのアカウント数は約150万IDに達するとする。

 今回NECは、OPEを文部科学省が推進している「学習eポータル」へと準拠。学習eポータルとは、学校の臨時休校や緊急時などでも学習を保障したり、教師が学習の進捗の把握などをしたりするためのオンラインシステムMEXCBTへの入り口となるもので、児童生徒が学習eポータルを通じてデジタル教科書などを利用できるようにする仕組みとなる。

 NECは自社のOPEの学習eポータルとしての機能強化を図り、マルチOSへの対応や、校務支援システムとの連携、株式会社日教販などが提供するデジタル教科書やデジタル教材への対応、Edtechサービスとの連携、学習履歴を活用するダッシュボードサービスの提供を順次進めていく。

 また、OPEにおける協働学習のための新サービスとして、授業のグループディスカッションをAIで分析し、簡単に振り返りを行なえる機能の提供も来年度に向けて進める。

NEC 第一官公ソリューション事業部 部長 田畑太嗣氏

 説明会に登壇したNEC 第一官公ソリューション事業部 部長 田畑太嗣氏は、生徒各自が行なうグループディスカッションを教師がすべて把握するのは難しく、AIが発話量やキーワードの使用回数などを分析するこうした機能は、教育現場の負荷軽減など大きな恩恵があるとする。

 さらに、おもに高校生向けのオンライン進路相談プラットフォームも用意し、さまざまな職業の面談者との面談をオンラインで予約して行なえるようにするといった、進路活動を実際的に助力するサービスも提供予定。

 OPEでは将来的に生徒1人1人の学習分析を可能にする個別学習や、リーダーシップを発揮または建設的意見の提出など、協働的な学習について見える化できるように開発を進めているという。教師はダッシュボードから個別の生徒だけでなく、クラスの学力の推移など、さまざまな要素を簡単に把握可能になるとする。

 今回NECは、ソフトウェア面だけでなく、学習者用端末といったハードウェア面での刷新も図っており、6月に新端末の「NEC Chromebook Y3」を、8月にはWindows機の「VersaPro E タイプVR」を提供する。それぞれデジタイザペンやWi-Fi 6への対応、HDMIポートの搭載といった強化がなされている。なお、NECによれば、学校に導入される端末はChromebookのほうが圧倒的に多い状況という。

 このほか、Wi-Fi 6対応のアクセスポイントを6月より出荷。広帯域を配備して、ネットワークの通信速度の安定化を図れるとする。

 田畑氏は、GIGAスクール構想における1人1台体制はまだスタートラインに立ったばかりだとし、今後も学習に向けた環境整備に尽力していくとした。