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ソフトバンクら、「究極の二次電池」の早期実用化に向け前進

~リチウムイオンの数倍のエネルギー密度を実現したリチウム空気電池

実用的なリチウム空気電池は、電解液の量と面積容量の比によって、サイクル寿命が決定されるという

 国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)、およびソフトバンク株式会社は共同で2日、リチウム空気電池のサイクル寿命を決定する主要因を特定したと発表した。

 リチウム空気電池は、理論エネルギー密度が現状のリチウムイオン電池の数倍に達する「究極の二次電池」であり、軽く大容量を実現できることから、ドローンや電気自動車、家庭用蓄電システムなど幅広い分野での応用が期待されている。

 そのなかで、サイクル寿命(充電/放電繰り返し回数)を延ばすことが重要な課題ではあるが、従来は電極などの個別材料の評価が中心で、実際にリチウム空気電池を制作してサイクル寿命を評価した例はかぎられていた。

 さらに、正極活物質として利用する酸素や、副反応に伴って生成される気体といった、反応に関わる物質を定量的に測定する方法が限定されていたため、反応全体での反応物の収支がわからず、サイクル寿命に影響を与える支配因子が明らかになっていなかった。これが、実用化を進めるうえで大きな障壁となっていた。

 そこで、今回研究チームは、反応に使用する酸素や、充放電に伴って発生する気体および揮発性物質を定量的評価する手法を新規に開発。

今回開発した分析手法

 この手法を用いて、NIMS-SoftBank先端技術開発センターで開発した実用的なリチウム空気電池に対して適用したところ、電池のサイクル寿命は電解液量と面積容量の比で定義されるパラメータによって支配されることが明らかとなった。

 具体的には、電解液量を一定のまま面積容量を減らすと、サイクル寿命が延びるという。ただ、面積容量を減らすと電池のエネルギー密度は低下するため、実用においては「電解液料と面積容量の比」を意識した設計や材料評価が重要であるとした。

 今回の研究成果は、リチウム空気電池の実用化において重要な指針を与えるとしており、この知見を踏まえた上で早期実用化に繋げるとしている。