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富士通、スパコン「富岳」を利用しがんの浸潤や転移との関連を予測する計算を1日以内で実現
2020年11月10日 17:25
株式会社富士通研究所は、東京医科歯科大学と共同で、富士通のスーパーコンピュータ「富岳」を利用し、発がんに関連している可能性の高い遺伝子間の影響関係を表すネットワークの推定、および同研究所のAI技術「Deep Tensor」を用いたがんの浸潤や転移との関連を予測する計算を1日以内で実現した。
この研究は、文部科学省が推進する「富岳」成果創出加速プログラムの一部で、「大規模データ解析と人工知能技術によるがんの起源と多様性の解明」をテーマに実施しているもの。がん細胞やがんに関係する遺伝子などの間の膨大なメカニズムをAIと「富岳」を用いて解析し、新たながんの治療法の確立に結びつく知見を引き出すことを目的としている。
従来、遺伝子データからがんの病態に関連する可能性の高い遺伝子の動作を表すネットワーク構造を抽出しがんの病態を予測する計算は、大学などが利用できるスーパーコンピュータでは独占的に利用しても算出に数か月を要し、かつ独占的に利用することが非現実的なために不可能だった。
大学などが使用可能なスパコンよりもはるかに高性能な「富岳」を計算プロセスに対応させ、加えて高いメモリ性能を最大限に引き出す同研究所のソフトウェア高速化技術を組み合わせることで、AI技術「Deep Tensor」の処理速度も向上させた。
これにより、発がんに関連する可能性の高い遺伝子間の影響関係を表すネットワークの推定とがんの浸潤や転移との関連の予測の計算を、「富岳」を用いて1日以内で完了させることに成功した。
今後の展望として、今回実現した「富岳」による高速シーケンス解析および説明可能なAI「Deep Tensor」を用いたネットワーク解析を近年発見されたノンコーディングRNAと呼ばれる膨大な遺伝子情報を含めた観測データにも適用し、その解析結果を説明可能なAIにより人が理解可能な形に翻訳することで、世界最先端のがん研究の成果を創出していくとしている。