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中古パーツも活用!フォートナイトもVALORANTも遊べちゃう3万円自作プラン
2020年10月10日 09:50
予算3万円でPCの自作は可能なのか? しかも3万円台ではなく、3万円以内という条件で。ミドルレンジのCPUを買うだけで大半が吹き飛ぶ厳しい予算だが、やりようはある。
とはいえ、すべてのパーツを最安クラスにすればよいという話ではない。CPUはCeleronやAthlonなど2コアの低価格モデル、SSDも120GBなど小容量にすると、Webブラウザやビジネスソフト程度のアプリならなんとかこなせるが、そこが限界。やっぱりちょっとはゲームを遊べる性能を持ち、将来的にCPUをアップグレードできたり、ビデオカードを追加できたりと自作ならではの自由度は残しておきたいもの。そんなよくばりな要望でも、中古を活用したり、コスパの高いパーツをうまく組み合わせれば達成は不可能ではない。
もちろん、パーツは基本的にコストを最重視して選択していくことになるが、組み合わせには注意点がある。CPUの世代によっては、CPUソケットが共通でも動作しないマザーボードがあるためだ。安さだけではなく、組み合わせるパーツも重要だ。その辺りも含めて、まずはパーツ選びのポイントを紹介、そして性能チェックへと移っていこう。この予算でも、VALORANTなど軽めの人気ゲームを十分遊べるPCに仕上げられるのだ。(TEXT:芹澤正芳)
【CPU】中古の活用でワンランク上へ
PCの心臓部と言えるCPUには予算中最大の1万円を割り振りたい。ビデオカードを別途購入する余裕はないだけに、内蔵GPUの性能が高いもの、ある程度の性能を確保するために4コア以上、という条件になるとおのずとRyzen 3000Gシリーズに絞られる。
しかし、最安値のRyzen 3 3200Gでも、実売価格は1万3,000円前後で予算オーバー。Athlon 3000Gなら予算内だが、CPU性能も内蔵GPU性能もガクンと下がる。そこで中古の出番だ。CPUは中古を取り扱っているショップも多く、状態のよいものを1万円前後で購入できる。ただ、CPUクーラーが付属しているかは必ず確認しておこう。
製品名 | コア/スレッド | 定格/最大 | 内蔵GPU | 実売価格 | 中古価格 |
---|---|---|---|---|---|
Ryzen 3 3200G | 4/4 | 3.6GHz/4GHz | Radeon Vega 8 | 13,000円前後 | 10,000円前後 |
Athlon 3000G | 2/4 | 3.5GHz/- | Radeon Vega 3 | 8,000円前後 | 6,000円前後 |
【検証環境】CPU:AMD Ryzen 3 3200G(4コア4スレッド)、Athlon 3000G(2コア4スレッド)、マザーボード:ASRock A320M-HDV R4.0(AMD A320)、メモリ:CFD販売 CFD Panram W4U2666PS-4GC19(PC4-21300 DDR4 SDRAM 4GB×2)、グラフィックス機能:各CPU内蔵、SSD:Micron Crucial BX500 CT240BX500SSD1JP(Serial ATA 3.0、240GB)、OS:Windows 10 Pro 64bit版
【マザーボード】3200GならA320で決まり
CPUに1万円も予算を投入すると、そのほかのバランスを考え、マザーボードに割り当て可能なのは6,000円前後。Ryzen対応のマザーボードは中古でも価格がそれほど安くないので、買うなら新品を選びたいところ。そして、Ryzen 3 3200Gに対応となると、A320チップセット搭載マザーに絞られる。
A320の新品で6,000円以内となれば、ASRockの「A320M-HDV R4.0」で決まりだ。一つ注意したいのは、UEFIのバージョン。A320M-HDV R4.0がRyzen 3 3200Gに対応するのは、「P2.30」以降。ASRockによると現在出荷されているものは対応済みとのことだが、購入時には確認しておきたい。UEFIがRyzen 3 3200Gに対応していなければ、そもそも起動できないためだ。
【メモリ】安さ重視ならDDR4-2666
全体の予算配分から考えると、メモリに割り振れるのは4,000円が限界なので、容量は必然的に4GBが2枚の8GB構成になる。速度もDDR4-2666でないと予算内に収めるのは厳しい。もちろん、予算に余裕があるならメモリは高クロックのものを選びたい。CPUの内蔵GPUは、ビデオメモリにメインメモリの一部を使用するため、メモリが高速なほどGPU性能も伸びるからだ。実際にゲーム系のベンチマークでもRyzen 3 3200Gにおいて、DDR4-2666とDDR4-3200では5%から10%程度の性能差が出る。
ちなみに、対応するメモリのクロックはマザーボードによって大きく異なる。今回選んだASRockのA320M-HDV R4.0がサポートするのは、DDR4-3200まで。ハイエンドマザーでは、もっと上のクロックまでサポートされていることも多い。マザーのWebサイトで対応メモリを確認しておくとよいだろう。
規格 | 容量 | 実売価格 |
---|---|---|
DDR4-2666 | 4GB×2 | 4,000円前後 |
8GB×2 | 6,000円前後 | |
DDR4-3200 | 4GB×2 | 5,000円前後 |
8GB×2 | 7,000円前後 |
【検証環境】CPU:AMD Ryzen 3 3200G(4コア4スレッド)、マザーボード:ASRock A320M-HDV R4.0(AMD A320)、メモリ:センチュリーマイクロ CD8G-D4U3200H(PC4-25600 SDRAM 8GB ※動作クロックを変更して使用)×2、グラフィックス機能:CPU内蔵 、SSD:Micron Crucial BX500 CT240BX500SSD1JP(Serial ATA 3.0、240GB)、OS:Windows 10 Pro 64bit版
【SSD】GB単価からSerial ATAの240GBが狙い目
ストレージの予算も4,000円を上限とした。最安値ならSerial ATA接続の120GBクラスだが、最近のゲームは容量が大きいので、すぐ容量不足になる上にGB単価が割高。240GBクラスならGB単価が下がり、予算内ですむので今回のプランではベターだ。
容量 | 実売価格 | GB単価 |
---|---|---|
480GB | 6,000円前後 | 12.5円 |
240GB | 4,000円前後 | 16.7円 |
120GB | 3,000円前後 | 25.0円 |
【PCケース】電源付きで安くする
残すはPCケースと電源だが、3万円以内を目指すと予算の残りは6,000円。それぞれ用意するのは厳しいので、電源付きのPCケースを狙う。スリム型なら6,000円を切るものも。将来ビデオカードを増設したいなら、300W以上の電源を備えているものを選ぼう。
コイツが3万円で組んだ使えるマシン!
最終的に完成したのがこのPC。内部の狭いスリム型だが、5インチと2.5インチシャドーベイは取り外しが可能なので、ケーブルの取り回しがしやすく、意外とパーツの組み込みはラクだった。電源が最初からPCケースに取り付けられているのも組み立ての負担を減らしてくれる。
5インチベイや3.5インチシャドーも備わっているので、光学ドライブや3.5インチのHDDを追加でき、Low Profileサイズのビデオカードなら搭載可能と拡張性もある程度確保されている。ケースファンは備わっていないが、天板と底面に8cm角ファンを1基ずつ増設が可能だ。安定性を重視するなら、追加するのもアリだろう。
予算3万円の低価格PCだが、思いのほか“普通のPC”に仕上がった。自作の入門機としては悪くないのではないだろうか。
カテゴリー | メーカー名・製品名 | 実売価格 |
---|---|---|
CPU | AMD Ryzen 3 3200G(4コア4スレッド)※中古 | 10,000円前後 |
マザーボード | ASRock A320M-HDV R4.0(AMD A320) | 6,000円前後 |
メモリ | CFD販売 CFD Panram W4U2666PS-4GC19(PC4-21300 DDR4 SDRAM 4GB×2) | 4,000円前後 |
グラフィックス機能 | CPU内蔵 | - |
ストレージ | Micron Crucial BX500 CT240BX500SSD1JP(Serial ATA 3.0、240GB) | 4,000円前後 |
PCケース | 恵安 KX-M01(microATX) | 6,000円前後 |
電源ユニット | ケース付属(300W) | - |
合計 | 30,000円前後 |
【検証環境】アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:OCCT 5.5.4のPOWER SUPPLYテストを10分間実行したときの最大値
3万円PCの実力チェック
ここからは、ベンチマークソフトや実ゲームを使って実際の性能を見ていく。CPUのRyzen 3 3200Gは4コア4スレッド。p.51で紹介しているCINEBENCH R20のスコアから、Haswell世代のCore i5クラスの性能を持っているのが分かる。Webサイトや動画を見たりと一般的な使い方であれば十分快適だ。さらに、内蔵GPUはRadeon Vega 8を搭載しているので、ゲームもそれなりに遊べることが期待できる。
まずは、軽めのゲームから。基本無料で遊べる人気FPSの「VALORANT」はフルHDなら最高画質でも平均60fpsオーバー。快適にプレイできる。同じく人気FPSのレインボーシックス シージは画質最高でもプレイできるレベル。画質を中設定にまで落とせば、平均60fpsをわずかに割るレベル。軽めのゲームなら、このPCでも存分に遊べる。
次はちょっと重めのゲーム。フォートナイトは画質を中設定まで落とせば約60fpsまで平均を伸ばせる。Apex LegendsはフルHDだと各種画質設定を最低まで落としても平均37fps。プレイできなくはないが、カクつくシーンも見られる。プレイするなら、解像度を落とす必要があるだろう。
注意したいのは今回SSDは240GBしかないこと。複数のゲームを同時進行でプレイしたいなら、ストレージは増設したい。
【検証環境】VALORANT:射撃場で一定のコースを移動する際のフレームレートを「CapFrameX」で計測、レインボーシックス シージ:内蔵ベンチマーク機能で測定、フォートナイト:ソロプレイのリプレイデータを再生した際のフレームレートを「CapFrameX」で計測、Apex Legends:トレーニングで一定のコースを移動する際のフレームレートを「CapFrameX」で計測
DOS/V POWER REPORT 2020年秋号では「大満足自作プラン」と題し、3万円・5万円・7万円・10万円の予算で作れる自作PCを紹介した特集を掲載している。2020年秋号ではこのほか、巻頭企画「価格据え置き 性能2倍!? GeForce RTX 30シリーズ」、第2特集「徹底ベンチで見えた! 最新SSD事情」などを掲載。さらに声優の小岩井ことりさんの32コアモンスターPC自作にも密着取材を敢行! PC自作初心者から上級者までマストバイの1冊です。