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競合より高性能で低電力なMediaTekの5G SoC「Dimensity」

Dimensityシリーズ

 MediaTekは21日(日本時間)、5G対応SoC「Dimensity」に関する国内記者向けの説明会を開催した。

 Dimensityシリーズは、5Gをサポートした同社のフラグシップSoCとして、2019年11月に発表した「Dimensity 1000」からスタートしている。big側のCPUコアにCortex-A77を4基、LITTLE側のCPUコアにCortex-A55を4基搭載するほか、9基のMali-G77 GPU、独自のAIプロセッサ「APU 3.0」を備えるのが特徴となっている。

 2020年5月8日に発表した「Dimensity 1000+」では、この1000をベースに、顧客のニーズに応え、リフレッシュレート144HzディスプレイやHDR10+への対応が図られているものとなっている。なお、1000も並行して供給される見込みだが、実際の搭載デバイスとしては1000+のほうが多くなるだろうとしている。

Dimensity 1000+のプロセッサ構成
Dimensity 1000+の特徴

 一方、2020年1月7日に発表した「Dimensity 800」、および5月18日に発表した「Dimensity 820」は、ミドルレンジ向けの5Gモデム統合SoCとなる。CPUはCortex-A76と、1世代前のハイエンドSoCに匹敵するコアとなっている。一方GPUはMali-G57となっており、800は4基、820は5基。この点もDimensity 1000シリーズと差別化が図られている。

Dimensity 800/820のCPUコア構成
800と820の違い

 Dimensity共通の特徴としては、APU 3.0のAI処理性能が他社をリードしているほか、5Gの2CC CAのサポートによるカバーエリアの30%改善とレイテンシ低減が挙げられる。また、「5G UltraSave」と呼ばれるモデムデザインにより、待機時/動作時ともに競合より消費電力を48%抑えられるという。

Dimensity 1000+のAPU 3.0は競合より優れたAI性能を示す
5Gモデムの特徴
2CC CAのサポートにより、信号が弱い環境下でレイテンシが短いという
待機電力や動作電力の実測値
待機時と動作時ともに競合より48%低消費電力だという

 気になるDimensity搭載デバイスの国内投入だが、これはパートナーに委ねられているためMediaTek側では把握していないとのことだ。ただ、京セラの「BASIO4」、「S6」、およびSamsungの「A41」といった国内キャリアのスマートフォンで採用実績があるため、そう遠くない未来にお目にかかれることに期待したい。

タブレットやスマートスピーカーなどで存在感があるMediaTek
半導体メーカーとしてもかなりの存在感を示すようになったMediaTek
国内キャリアでのMediaTek SoC採用例