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東北大と住友化学、リチウムイオンバッテリの劣化回避につながる機構を解明

高純度アルミ箔を使った負極のイメージ図

 東北大学金属材料研究所および住友化学株式会社は、アルミ負極のもつ充放電時の体積膨縮を抑える新たな機構を解明した。

 リチウムイオン2次電池は、正極、負極、電解質、セパレータのおもに4つのパーツで構成されており、正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充放電が行なわれる。負極は、充電時に正極から移動してきたリチウムイオンを取り込む役割をもち、現在はおもに炭素系材料が用いられる。

 スズ、アルミなどの金属系材料やシリコンなどを負極に使用した場合、炭素系材料に比べて数倍のエネルギーが蓄えられるため、新たな材料として期待されている。しかし、充放電時に数倍の膨縮をしてしまうため、内部の電極構造が崩れやすく、劣化が進みやすい問題があった。

 今回研究グループでは、高純度アルミ箔の硬さを最適化することで、体積膨縮の制御が可能となることを明らかにした。加えて従来の負極では、リチウムイオンを蓄える炭素系材料部分と電流を集めつつ基材の機能も果たす銅箔を積層した構造である必要があったものが、高純度アルミ箔では単体で両立できることを突き止めた。

 高純度アルミ箔の硬さを最適化すると、箔全面でリチウムイオンが受け入れられ、アルミとリチウムの金属間化合物が均一に形成される。金属間化合物は比率が1:1でない場合でも形成される特性があるため、表面と箔深部で濃度勾配ができる。これにより、深部のアルミが一様に押し上げられ、厚み方向にのみ体積膨張し、充電される。底部は電流を集める層として機能する。

 放電時は表面からリチウムイオンが放出されるが、そのさいに次の充電時に効率的にリチウムイオンが受け入れられるような、多くの孔が開いた構造が形成される。底部は電極構造を維持し、銅箔の代替部分となるため、高純度アルミのみで一体型負極として利用できるようになる。

 一体型アルミ負極が実現されれば、従来のリチウムイオン2次電池と比べて製造工程を大幅に簡素化できるため、環境負荷の低減だけでなく、高容量化や軽量化、低価格化などが期待できるという。また、次世代電池とされる全固体電池にも適用できる可能性があるとしている。