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シャープのマスク通販サイトへの殺到で同社IoT機器にも影響

シャープが生産するマスク「MA-1050」

 シャープは4月21日午前10時から、同社三重工場(多気)で生産した不織布マスク「MA-1050」の販売を開始したが、直後から販売サイトにつながらない状態となり、現時点でもその状況が続いている。販売サイトでは、「売り切れ」などの表示はしておらず、「ただ今、アクセスが集中しており、販売サイトにつながりにくい状態が続いております。お時間をおいて再度お試しください。ご迷惑をお掛けいたしますことをお詫び申し上げます」との表示が出ている。

現在、アクセス集中のお詫びが表示されている

 シャープでは、自社工場で生産しているマスクを、同社の100%子会社であるSHARP COCORO LIFEのECサイト「COCORO STORE」を通じて、本日午前10時から個人向けに販売を開始すると予告。この日は、1箱に50枚が入った3,000箱(15万枚)のマスクを販売する予定になっていた。当初から多くのアクセスが殺到するとみられていたが、予想を上回るアクセスがあった模様だ。

COCORO MEMBERS向けに前日からアクセス集中による影響を注意していた

 また、この影響で、午前中には同社ホームページにつながりにくい状況になったほか、COCORO STOREではマスク以外の商品も購入できない状況がいまでも続いている。

 さらに、同社のAIoT家電において、スマートフォンからの操作ができなくなるといった状態が発生した。エアコンでは、スマートフォンから操作を行なったり、ホットクックではレシピをスマートフォンにダウンロードして利用できたりするが、こうした機能が使えなくなった。だが、標準搭載のリモコンでの操作は可能になっている。ただし、すべてのAIoT家電が操作できない状態に陥ったわけではなく、そのまま問題なく利用できているというAIoTユーザーの声も聞かれている。

シャープのクラウドサービス「COCORO AIR」アプリを起動してもエラーが表示された

 シャープでは、本社がある大阪・堺のグリーンフロント堺にデータセンターを自前で持ち、さまざまなサービスを同データセンターから提供している。ECサイトにつながらないという状況や、AIoT家電への影響は、同データセンターとも関連がありそうだ。同社では、「データセンターの状況については、原因を究明中」としている。

データセンターがある大阪・堺のグリーンフロント堺

 COCORO MEMBERSのサイトでは、昨日(20日)時点で、「アクセス集中により、WEBページの表示が遅くなったり、正しく表示できないことがあります。」という注意ページを掲載しており、あわせてアクセス負荷軽減のための緊急対応として、一部の紹介用画像を非表示するなどの対策も行なっていたが、アクセスはその予想を遙かに超えたようだ。

21日午前10時からの販売開始を予定。クリックすれば販売サイトに移動するはずだった

 シャープでは当初、5月10日までは毎日午前10時頃に在庫を補充し、同サイトで毎日3,000箱ずつの販売を行なうことを発表しているが、現時点では、明日以降の販売方法については明らかにはしていない。

 シャープは日本政府からの要請を受け、2月28日に液晶パネルを生産する三重工場(多気)のクリーンルームで生産することを決定。設備を整えて、3月24日から生産を開始し、3月31日から日本政府向けに出荷を開始していた。今回、個人ユーザー向けの販売体制が整ったことで販売を開始した。

シャープの三重工場(多気)

 三重工場で生産した不織布マスクの下部には、「SHARP」のロゴが入っており、ロゴを外側にして装着するかたちになる。マスクにロゴが入っているのはめずらしい。本体サイズは、約95mm×175mm。本体およびフィルタ(不織布)にはポリプロピレン、耳ひも部は、ポリウレタンとポリエステル、ナイロン、ノーズフィッターはポリエチレンを使用している。

マスクには「SHARP」のロゴが入っている

 「立体三重構造で、花粉よりもさらに小さい生体ウイルスや微粒子からもしっかりガードし、風邪などのさいにも他人への感染を防止する。VFE試験やPFE試験でも、ウイルス飛沫や微粒子を99%以上カットする結果を確認している。高密度フィルタの採用により、PM2.5や花粉の対策としても利用できる」(同社)としている。

 50枚入りセットで価格は、2,980円(税別)。別途送料として、全国一律660円がかかる。支払いはクレジットカードのみで、注文翌日以降の同社営業日に発送。注文確定後、2~7日で届けるが、土曜、日曜、祝日は出荷を行なわないため、ゴールデンウイーク中の長期休暇中の注文のさいには、遅延する可能性があるという。配送は佐川急便が行なう。なお、配送は日本国内に限定している。

シャープのマスクを装着したところ

 同社では、当面の間、一定期間に購入できる数量を1人1箱(50枚入り)に限定する考えを示しており、現時点では、購入日を含めて3日間は再購入ができない。同一の購入者が、3日間以内に複数個を購入したと判断された場合には、注文をキャンセルする。この販売方式についても、現時点では変更などについては言及していない。

 同社によると、当初は1日に3,000箱(15万枚)を生産しているが、今後、生産能力を増強して、日産10,000箱(日産50万枚)に拡大する計画だ。

 シャープの戴正呉会長兼社長は、「シャープは、グローバル企業として、世のなかのためになることをしっかりと行ない、日頃の恩に報いたいという考えから、日本政府の要請を受けて、マスクの生産を開始した」と述べている。

 なお、同社では、日本でのマスク生産に続き、米国、欧州、インド、中国においてもマスクを生産する考えを明らかにしている。