PCなどテレワーク関連機器の売上が急拡大中。売れ筋商品の傾向を探ってみた

1月20日～26日までの販売実績を100として算出したグラフ。データはBCNの集計を利用

　新型コロナウイルスの影響で、テレワークを採用する企業が増加している。それにあわせて、量販店店頭においてもテレワーク関連商品の売れ行きが拡大していることがわかった。

　全国の家電量販店やECサイトのPOSデータを集計しているBCNによると、在宅勤務が増加した2月後半以降、ヘッドセットやWebカメラなど、テレワークに利用される商品群の売れ行きがいい。

　BCNの集計では、Windows 7の延長サポート(EOS)が終了した直後の1月20日～26日までの販売実績を100とした場合、最新週となる3月9日～15日には、ヘッドセットの販売指数が136.1に拡大。Webカメラは309.2にまで増加した。ヘッドセットは1.3倍、Webカメラは3倍という売れ行きだ。

　BCNのデータでは、市場全体の販売実績は、最新週では111.8となっており、テレワーク関連商品はそれを大きく上回る実績となっていることがわかる。

　2月19日から業界に先駆けてテレワークコーナーを設置している東京・池袋のビックカメラ池袋本店パソコン館では、「ヘッドセットは、USB接続タイプの製品が売れており、実売価格で1,500円前後の商品が人気。Webカメラは、本体に内蔵されているカメラよりも画素数が高い300～500万画素の商品が売れている」とする。

　また、液晶ディスプレイは、セカンドディスプレイとしての需要が顕在化しており、販売が増加。これも、テレワーク関連商品の一角を構成している。2月24日～3月１日の集計では138.4、3月2日～８日は157.2、3月9日～15日が147.7と好調だ。とくに、17型未満の低価格帯の商品と、23～25型未満および25～29型未満の大画面ディスプレイの伸び率が高く、家庭内での作業環境を整えようとする動きが見られる。

　さらに、インクジェットプリンタは、2月24日～3月1日の週の集計から販売指数が増加。最新週では124.1と市場全体を上回っている。家庭内で仕事をするさいにプリンタが必要になったというニーズが顕在化しているようだ。

　だが、その一方で、テレワーク関連商品とは言え、あまり伸びを見せていない商品もある。たとえば、スピーカーは最新週では111.1となり、平均的な売れ行きだ。また、BCNでは集計の対象外となっている「のぞき見防止フィルタ」も、「いまはそれほど売れていない」(ビックカメラ池袋本店パソコン館)という。

　家庭内でテレワークを行なうさいに、スピーカーで音を出すのがはばかれること、のぞき見防止フィルタは、現在のテレワークの形態が家庭内での利用が多く、東京オリンピック開催時に想定されるようなカフェをはじめとする公共施設での利用が少ないのが理由だと言えよう。

　一方で、BCNの調査では、ポータブルSSDの売れ行きは、販売指数では下回っているが、前年比では大きく上回っている状況にある。家庭内で仕事をするさいに、データの保存にポータブルSSDを利用する例が出ているようだ。

　ノートPCも売れ行きもいい。画面サイズが13型以下のモバイルノートも、最新週で177.6となり、想定されたWindows 7のEOS後の落ち込みを感じさせない状況になっている。

　だが、ヘッドセットやWebカメラなどは、一部で品薄状況が生まれているようだ。これらは、中国やアジアで生産される部品が多用される商品であり、それが品薄の原因となっているようだ。「ヘッドセットなどは、商品が安定的に入荷すれば、販売台数はもっと伸びていただろう」(ビックカメラ池袋本店パソコン館)との指摘もある。

　今後、新型コロナウイルスの蔓延が長引けば、テレワークを導入する企業が増加することになり、テレワーク関連商品の売れ行きが増加する可能性もありそうだ。

　以下に、BCNの集計から、2020年2月16日～3月15日の1カ月間のテレワーク関連商品の売れ筋上位5製品を示した。

　なお、今回の集計においては、ヘッドセットでは、おもに音楽用途や外出先で聞く製品を除くため、接続方式において、Bluetooth、Lightning、Micro USB対応の製品を除外して集計。スピーカーも、同様の理由から、ネックスピーカーおよびワイヤレス接続の製品を除外している。