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AIアシスタント「PLEN Cube」、ビジネス版とデベロッパー版の予約受付開始
~「変なホテル」や「ウィズダムアカデミー」など12社での実証実験を開始
2019年8月2日 12:22
2019年7月31日、AIアシスタント「PLEN Cube」の報道関係者向けの発表・体験会および、予約者向けのファンミーティングが開催された。ここでは、発表・体験会の様子をレポートする。
PLEN Cubeは、ロボットベンチャーPLEN Robotics株式会社が開発している手のひらサイズのAIアシスタントである。PLEN Cubeは、一辺7.4cmの立方体型をしており、顔認識、音声認識、カメラ、スピーカー、マイクなどを搭載した小型ロボットでもある。PLEN Cubeは、2017年2月にKickstarterでのクラウドファンディングを、2017年4月にMakuakeでのクラウドファンディングを開始し、どちらも目標を大きく上回る金額を達成した。
当初は、2017年末に量産が開始される予定だったが、PLEN Cubeに採用予定だったIntelがIoT向けマイコンボード「Joule」の製造を中止したため、ほかのCPUへの変更を余儀なくされ、開発が遅れることとなった。このあたりの経緯については、2017年8月に行なわれた「PLEN Cube Fan Meeting #3」のレポートでふれているので、そちらもご覧いただきたい。
今回予約した人には2019年9月17日から発送が開始される
発表・体験会では、まず、PLEN Robotics株式会社代表取締役社長の赤澤夏郎氏がPLEN Cubeの概要について説明を行なった。赤澤氏は、最初にクラウドファンディングで投資してくれた方に対し、出荷が予定より遅くなったことについて詫び、本日から量産品の予約受付を開始したことを発表した。
これから予約をした人に対しては、2019年9月17日からPLEN Cubeの発送が行なわれる予定とのことだ。もちろん、KickstarterやMakuakeで支援した人に対しても、順次製品が送付される。
今回発表されたPLEN Cubeは、開発者向けのデベロッパー版と、ビジネス(BtoB)向けのビジネス版の2モデルがある。デベロッパー版は液晶やバッテリが搭載されたフル機能モデルであるのに対し、ビジネス版では液晶とバッテリが省かれているが、基本的な機能は変わらない。
PLEN Cubeには、サーボモーターが搭載されており、頭部を回転させたり、傾けたり、上下に動かすことが可能だ。税別価格はデベロッパー版が98,500円、ビジネス版が81,000円で、さらに毎月クラウドサービス利用料金(デベロッパー版が800円、ビジネス版が3,800円または15,800円)が必要になる。
赤澤氏は当初、PLEN Cubeのコンセプトを考えたときには、コンシューマ向けを意識していたが、コンセプトを発表した段階から、企業からの引き合いが多いことがわかり、個人向けに販売するモデルへの1つのステップとして、今回のビジネス版とデベロッパー版を位置づけていると語った。
そして、将来、ひとりひとりの個人にPLEN Cubeを持っていただくことが目標というのは変わらないが、そのために、まずは、人手不足やサービス業界の自動化の遅れといった社会課題を解決するビジネス版PLEN Cubeの導入が早道であると考えている。
PLEN Robiticsは、ビジネス版PLEN Cubeのソリューションとして、当初は入退館AI化プランと注文・決済AI化プランの2つを提供する予定であり、すでにハウステンボスの「変なホテル」や学びと体験のアフタースクール「ウィズダムアカデミー」、コワーキングスペース&ファブラボ「おおたfab」など、12社でPLEN Cubeの実証実験が行なわれているとのことだ。
ゲストとして、ウィズダムアカデミー代表取締役の鈴木良和氏が登場し、PLEN Cube導入について、次のように語った。
われわれは、ドアのセキュリティに気を使っており、今までは暗証番号でドアの開閉を行なっていたが、PLEN Cubeの顔認証にすることで、仮に暗証番号が漏れてしまっても、問題はなくなる。今は、顔認証の対象となっているのはスタッフのみだが、今後はお子さまの顔認証も行なっていきたいと考えている。お子さまの入退室管理にも使えるので期待している。さらに、スタッフの勤怠管理も可能になるので、そうした汎用性が決めてとなって、PLEN Cubeを導入した。
発表会でのデモ
発表会では、顔認証と音声認識を使って好きな飲み物を注文するデモや顔認証でドアを開け、出退勤管理を行なうデモが行なわれた。PLEN Cubeの顔認証の精度は、99%以上であり、現時点でトップレベルであるとのことだ。
また、PLEN Cubeの呼びかけに使うトリガーワード(ウェイクワード)は「ひらけごま」固定だが、会話で使う言語は日本語と英語を設定によって変更できるようになっている。
PLEN Cubeの機能をカスタマイズ・開発できる3種類のSDKを提供
続いて、ソフトウェアエンジニアのフランシスカさんが、PLEN Cubeの機能をフルに活用・カスタマイズするためのSDKについて説明を行なった。PLEN Cubeは通常、音声コマンドを使うか、Webアプリを使うかの2通りの使い方がある。PLEN Cubeでは、「Scenario SDK」、「User Application SDK」、「Full Customize SDK」の3種類のSDKが提供され、それぞれ開発できる範囲が異なる。
Scenario SDKは、ブロック式のビジュアル・プログラミングツールであり、プログラミングの経験があまりない人でも独自シナリオの作成が可能だ。また、独自の動きを作るツールも付属する。Scenario SDKでは、音声認識、音声合成、動作、ディスプレイ、IR、カメラ、人感センサー、加速度センサー、ネットワーク通信などを制御でき、カスタムトリガーを自由に設定できるため、たとえば、人感センサーに反応があったら、なにかアクションを起こすこともできる。
User Application SDKは、ROSベースであり、PythonやC/C++などを用いた本格的な開発が可能。PLEN Cube本体へのSSHアクセスやカスタム音声コマンド、Dialogflowとの連携によるカスタム会話も利用できる。User Application SDKを使えば、カスタムファンクションワードを定義して、アクションを実行することや、オリジナルの会話シナリオを作成することも可能だ。
もっとも高機能なFull Customize SDKは、User Application SDKの機能に加えて、公式アプリケーションの改変も行なえる。価格はScenario SDKが148,500円、User Appliation SDKが598,500円、Full Customize SDKが2,098,500円である(すべて税別。それぞれデベロッパー版のPLEN Cube本体が1台付属する)。