イベントレポート

LTE対応の家の「カギ」や匂いの出るVR HMDなど、日本のスタートアップがCESで新製品展示イベント

 日本発のスタートアップ各社がCES 2018 Startup Japan Loungeを開催、CES2018の開幕に先立ち、新たに発表するプロダクト・サービスをお披露目した。tsumugの主催によるもので、他に、以下の7社が製品等のプレゼンテーションを披露した。


    Arblet
    BRAIN MAGIC
    DouZen
    no new folk studio
    PLEN Robotics
    Scentee
    VAQSO

 tsumugは2017年11月にT!NK コネクテッド・ロックを発売済みで、日本の市場では近くアパマンの賃貸物件に採用が開始される。単体でLTE通信するはじめての「カギ」だ。錠前に設置できるシリンダー形状でライフスタイルにかかわるサービス連動ができるのを特徴としている。別形態としては、merchariなど自転車のカギのような製品も提供している。

 今回は、T!NK Developer Version Kitとして、開発者に使ってもらうバージョンを新発表した。室内機と室外機でなるTiNKが提供され、tsmug Tech Day 1st.を福岡で開催、イベントに集まった参加者に配布する予定だという。

 さらに、今回は、TiNK drapeを発表した。これは木材で作ったカバーで、木目調のデザインが特徴だ。

木を素材にしたT!NK。木目があたたかな雰囲気

 ArbletはArm、Orb、Letをつないだ造語による社名だ。同社は、遺伝子由来の特徴とその人の行動はバイタルに現れるとし、逆にバイタルを知ればいろいろなことがわかるという。これまでの活動量計に比べ、とれるデータが圧倒的に多いという腕時計タイプのデバイスを披露、センサーの量を増やすことでさまざまな種類のバイタルをとれるようにしているという。

 さらにデバイスで収集したデータを解析するためのツール等も提供し、研究者と普通の人が今よりもずっと近い関係になれるとアピールする。今後は、生体情報を解析するデータサイエンティストのコミュニティを作り、解析結果を他の人のために役立てられるプラットフォームを築いていくとした。

Arbletの腕時計タイプのデバイス。多くのバイタル情報を取得するセンサーを内蔵

 BRAIN MAGICは、手のひらサイズのコントローラデバイスを作っている会社で、過酷なデザイナー作業を少しでも軽減するためにと、コンピュータでの作業の最適化を狙ってに生まれた。1つのHIDデバイスに、ジョイスティック、ダイヤル、ボタンの機能を実装し、倒し、まわし、押すを1つのデバイスで実現する。

 DouZenのHale Orbはソニーのクリエを商品企画したメンバーが創業したスタートアップで次世代UIを作ってきた実績を持つ。当初はソフトウェアに注力していたが、2年前くらいからハードウェアにもかかわるようになり、家庭でのスマホレスの家族間コミュニケーションを実現するデバイスを作ろうとしてきた。家の中でカンタンには片付けられないものをめざしているという。

 SNSに代表されるいろんなサービスに家族のコンテンツが集まっている中で、母親が子どもの様子をひとつのアカウントで把握できるようなハード、ソフト、サービスが統合されたUXを実現する。

DouZenのHale Orb。現在はリモコンにすぎないが、将来的には家庭電化製品とも直結して制御できるようになるともいう

 nnf studio(no new folk studio)は、日常を表現にすることをめざすスタートアップだ。orpheというシューズを2016年に発売した。この製品は約100個のLEDを装着した靴そのもので、実装された9軸センサーによってさまざまな光の演出を彩り、アーティストのステージ活動などで使われてきた。

 今年からは、AI for All shoesを目標にし、ORPHE TRACKと称するシューログプラットフォームを打ち出した。これは、靴による活動を記録し、すべての靴を進化させるプラットフォームとして、STMicroの最新MCUを搭載したライターよりひとまわり大きなデバイスを開発した。このデバイスを靴の底にはめこむことで、小さな靴のなかでAIが動く環境を完成させた。これがORPHE coreだ。

 靴そのものにデバイスを埋め込むのではなく、あえてべつべつにすることで、これまでこの分野に参入したくても参入できなかった靴メーカーに売り込みたいとする。Gaitビジュアライザーによって、クツの動きを分析、可視化し、テレビドラマの陸王で有名になったミッドフット着地などの習得にも役立つという。

nnf studio(no new folk studio)のシューズに埋め込むシューログ用デバイス ORPHE core

 プレンロボティクスは、ロボットを作っている大阪の企業で、パーソナルアシスタントロボットとしてPLEN Cubeを紹介した。これは、音声認識機能で人をアシストするデバイスで、操作から手を解放、目の機能のサポートすることで、あらゆるビジュアルコミュニケーションのサポートを実現する。

 これまでのロボットのようなキャラクタライズされたデザインでは汎用的に使えないが、PLEN Cubeなら用途を選ばないため特にB2B市場に売り込みたいとし、この形状をデファクトにしたいという。

パーソナルアシスタントロボットPLEN Cube。スマートスピーカーのようだが首を振るジェスチャーができ写真や動画も撮れる

 一方、Scentee Machinaは、ルームディフューザーにAIを入れた製品だ。香りを拡散させるディフューザーを男性の目線で作ったらどうなるかを実践する製品で、ユーザーの好みをどんどん学習していく。スマホでセッティングができ、アロマではなく香水のイメージを訴求する。また、香りが出るときに光も同時に発光するなどの工夫がこらされている。

 アプリからは減っていく香り剤の量を把握してオーダーされ、なくなる前に香料が届くなど、オートサブスクリプションサービスとの連携も特徴だ。22種類の香りを開発済みだが、今回のCESでは北米用に14種類の香りでビジネスをスタートし、香り業界のダイソンを目指すという。

4連で香りを切り替えられるScentee Machina

 VAQSO VRも香りのソリューションだが、こちらは匂いがでるVRヘッドセットだ。去年の1月にサンフランシスコで起業した企業で、においシートが装置の中に入っていて、それを既存のVRヘッドセットにドッキングさせて使う。

 これによって、白黒映画がカラーになったときと同じように、匂いでVRの世界を変えることをもくろむ。シューティングゲームなら火薬や燃える匂いがするなどピンポイントで匂いが変わる。弱い香りだが確実に、そして場面転換とともにすぐ臭いが消えるのが特長だ。

 匂いは原始的なものだが、それが入るとVR世界は画期的に体感的なものとなるとしている。

香りをVRに取り込むVAQSO VR。女の子の香りなどといったものも用意されていた