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懐かしの歴代AMD CPUがずらり。創立50周年記念イベント開催
2019年5月2日 06:00
日本AMD株式会社は令和元年初日となる5月1日、東京・秋葉原の運通会館において、AMD創立50周年記念イベントを開催した。
イベントは3部構成となっており、各回の内容も微妙に異なるのだが、各回の入場者数は50人限定の入れ替え制であった。11時より整理券を配布し、3回とも満席となった。
人気プロeスポーツチームの「SCARZ」と「父ノ背中」を招いだイベントのため、ファンの若者が多かっただけでなく、なかには熊本や大阪、名古屋といった遠方から来たという来場者もおり、イベントの人気が伺えた。
Mod PCや新製品紹介、AMDの歴史対談など
イベントの冒頭では日本AMDの佐藤義明氏よりオープニングセレモニーが行なわれた。「AMDは1969年5月1日に創業してから50周年が経ち、半世紀にわたって半導体を提供してきた。このあいだに多くの半導体企業が消滅したり買収されたりしたが、AMDは今なお生き続けており、世界で唯一(x86の)CPUと(ディスクリートの)GPUの両方を手がけている企業である。今回のイベントを通じて、PCゲームの面白さやAMDの深いところを知っていただきたい」などと語った。
第1部では、日本を代表するMod PC作成者である高橋敏也氏と森田健介氏が登壇し、Mod PCの魅力について語った。高橋氏は、「最初は購入したPCにビデオカードといったパーツを入れて改造することからはじめればいい。そこに面白さを感じたら、次は加工しやすいダンボールを使ったMod PCに挑戦するといい(ただし火事には気をつけて)。今は芸術的なMod PCを作成する海外のModderなどもおり、そこにもPCの面白さを感じてもらいたい」などとアドバイス。
今回のイベントのために森田氏が1カ月かけて作成したというショートケーキ型のPCは、Ryzen ThreadripperやRadeon VIIといったAMD最上位パーツで構成されているだけでなく、本格水冷を取り入れ、PCとして使ったさいにちゃんと性能が出ることを想定していることなどが紹介された。「最初は既存のゲーム機にPCを入れることからはじめたが、Mod PCが楽しくなってくると、100円ショップでぶらぶらして入れ物を見つけたさいも、PCが入るかどうか考えるようになってくる。そこから深みにハマっていった」といったエピソードも披露した。
第2部では、パートナーメーカーのセッションとなった。ASRockの原口有司氏は、最近投入した「B450 Steel Legend」と「DeskMini A300」について紹介。いずれも日本の声を反映した日本市場のための製品であるとし、ことDeskMini A300は価格コムの売れ筋ランキングで1位をキープし、Ryzen APUの売上を牽引していることなどについてアピールした。
ASUSの市川彰吾氏は、AMDとAMD CEOのLisa Suが同年齢であるといったエピソードや、ASUSも2019年で30周年を迎えることを紹介。AMDとの緊密なパートナーシップのもと、ROGのCrosshairシリーズや、デュアルGPUのARESシリーズをリリースできたことなどを紹介した。
MSIの新宅洪一氏もAMDとの協業の歴史について紹介。なかでもRyzen発売時に投入した「B350 TOMAHAWK」はスマッシュヒットとなったことを挙げた。「このマザーボードを使うユーザーはトマホーカーと呼ばれたが、ユーザーがマザーボードの名前で呼ばれるのははじめてではないか」などと笑いを誘った。
第3部では、佐藤氏と上記5名のゲストによる台本なしのトークセッションが行なわれた。
「緑の会社(NVIDIA)が“謎の”企業扱いなら、AMDはもっと謎でしょう。とは言え皆さんがたとえPCでIntelを使っていても、PlayStation 4やXbox Oneのなかの半導体はじつはAMDで、知らないうちにAMDユーザーだったということもあるんです」と語るのはAMD佐藤氏。「CPUの最大手はIntelで、GPUの最大手はNVIDIA。AMDは両方手がけているが、ライバル企業は両方とも強敵ですね」。
高橋氏は「でもAMDは新しい技術をとにかく取り入れるのが好きで、1GHzのコンシューマ向けプロセッサを最初に出荷したのも、64bitを取り入れたのも、真のクアッドコアを最初に出したのもAMD」と続ける。佐藤氏は「今はグローバルでみると、今のところAMDが40%程度のシェアを持っている国もある。50周年にかけてシェア50%まで引き上げていきたい」と意気込みを語った。
一時期は製品の性能が振るわず苦しんAMDだが、「AMDは(ドラゴンボールの)サイヤ人みたいに、死に際から帰ってくると強くなる。夏にはRyzen 3000シリーズを投入するという噂があるみたいだし、ものすごく変化が早いけど、この業界は進歩が止まると死ぬ」などと高橋氏は続けた。
先述のとおり、eスポーツチームのファンも詰めかけたイベントとなっていたわけだが、高橋氏は「プロのeスポーツチームはPCパーツメーカーのスポンサーで稼いでいる一面もある。最初はPCパーツに興味を持っていもらうだけでいい。でも応援しているチームや選手があるのなら、PCパーツを購入すれば皆さんと協力して応援できる」とくくった。
イベントではAMD 50周年を記念したLisa Su CEOサイン入りの特別パッケージの「Ryzen 7 2700X Gold Edition」が発表されたほか、プレゼントキャンペーンや、ゴールデンウィーク中の各店舗の特売情報なども紹介された。また、会場の後ろのコーナーでは歴代CPUが一斉展示された。
Apex Legendsの50キルチャレンジ
イベントでは3回にわたり、プロeスポーツチームのSCARZと父ノ背中による、FPSバトルロワイヤル「Apex Legends」を使ったエキシビジョンマッチ「50キルチャレンジ」が行なわれた。
このマッチのルールは簡単で、1部に1ラウンドずつバトルロワイヤルを行ない、合計両チームの合計キル数が50に達せば、同時に行なわれたイベントのライブストリーミングの視聴者プレゼント当選者数が2倍になるというもの。
SCARZチームはSeeKer選手をはじめ、ストリーマーのyuccoさんとみったんさんが参加。いずれもApex Legends専門というわけではないのだが、ゲーム経験は豊富だ。一方、父ノ背中からはあどみん選手、あびつん選手、はつめ選手が参加。なかでもあびつん選手はApex Legendsをかなりやりこんでおり、イベントでは「1ラウンドで20キル目指す」と公言した。
実際に同氏はプレイでも圧倒的な強さを見せ、全選手内トップの計19キルを達成。エイミングの正確さや動きのスムーズさもさることながら、的確な撤退するタイミングの判断、敵が攻撃してくる位置や逃げていく道の“読み”などで試合を牽制し、第1ラウンドと第3ラウンドで見事にチームをチャンピョンに導いた。
第1ラウンドは所属チームに分かれて対戦するかたちだったが、先述のとおり父ノ背中チームが圧倒。ただし、ゲーム内であまりプレイヤーに遭遇することができず、キル数は合計11にとどまった。
第2ラウンドは男女に分かれて戦うかたちとなったが、ゲーム内で妙に強いプレイヤーに遭遇し、両チームともに成績を上げることができなかった。
第3ラウンドはSeeKer氏が別のイベントに出場するため脱退し、代わりにMCの鈴木咲さんが参加。また、あびつん選手とSeeKer選手(代打・鈴木さん)がチームを交代することになり、各々のチームが別のゲームに参加するかたちをとった。ここであびつん選手が本領を発揮し、的確な指示で美しいチームプレイを決め、見事チャンピョンに輝く。あびつん選手は後に「yuccoさんとみったんさんが指示どおりに動いてくれてうまく連携できた」と振り返る。
一方のあどみん選手・はつめ選手・MC鈴木さんのチームは、MC鈴木さんが不慣れだったのにもかかわらず合計12キルを決めた。あどみん選手のほうがダメージ量が高かったが、「美味しいところをはつめ選手に持っていかれた」と振り返ると、会場は笑いの渦に巻き込まれた。
イベントを通してのキル数は44キルと50キル未達だったが、2ラウンド目のハプニングもあり、AMDの佐藤氏は「第3ラウンドはあと5キル決めてくれればいい」とハードルを下げた。これにより目標は達成となり、見事視聴者プレゼントの当選者数は2倍となった。