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激安マイニング用カードでゲーム環境を構築!

投げ売り状態だがまだ使える?
マイニング専用として売られているカードの中でも、とくに注目を集めているのがRX 470を搭載したもの。Sapphireデザインの結構よいクーラーが装着されている。一部のパーツショップや中古ショップで販売されている。ただし、基本的にはバルク品で保証がない点には注意してほしい。人気が高く、売り切れている場合も多い

 仮想通貨マイニングの残り香、Radeon RX 470を搭載したマイニング専用ビデオカードの中古品が激安で出回っている。映像出力のない“わけあり品”だが、これをゲームで使う場合、簡単なのはマルチGPUの“2枚目”として利用すること。RX 470のマイニング専用カードなら、RX 480や580と組み合わせられる。ただしマルチGPUが効かないゲームがある以上、効果には限界がある。

 そこでオススメしたいのは、CPU内蔵GPUと組み合わせ、ゲームのレンダリングだけマイニング専用カード側で実行するというノートPCのような運用だ。これなら数千円の出費で現行ミドルレンジGPUのやや下程度のパワーが手に入る。Intel製CPUならHaswell以降のCPU(AMDはRyzen Gで成功報告あり)と内蔵GPU出力を備えたマザー、そしてWindows 10(Fall Creators Update以降)の三つが必須となる。

 マイニング専用カードを普通に装着したらRadeon用ドライバを導入するのだが、マイニング特化のvBIOSが入っているためデバイス認識で失敗することが多い。多くの場合カード上のスイッチ切り換えで突破できるが、なかには通常版のvBIOSをネット上で探してカードに書き込む(失敗は使用不可能になる)必要があるという事例も報告されている。(TEXT:加藤勝明)

映像出力は一切ない設計
マイニング専用なので映像出力は一切持たない。回路がつながっていないHDMI端子に自分で部材をハンダ付けして復活させることもできるが、道具も技術もそれなりに求められる
動くスイッチ設定を探す

 カード後部にはvBIOS切り換え用スイッチが2個あった。4通りの組み合わせの中から、ドライバがちゃんと入る組み合わせがあればラッキー。なければ地力でvBIOSを書き込むしかない。今回は写真のスイッチ位置で動作した

UEFIの設定を変更する

 カード装着前にマザーのBIOS設定を開き、最初に初期化するGPUを「PCIe」から「iGFX」(iGPUと表記されることも多い)に切り換える。画面出力は基本的にCPU内蔵GPUから行なうためだ

Radeonのドライバを導入

 BIOS設定変更後にカードを装着し、Radeonドライバを通常の手順で導入する。対応ハードがないなどの理由で完遂できない場合はvBIOSのスイッチを変更し、再起動してから再挑戦しよう

デバイスマネージャーで確認

 vBIOSさえ解決できれば、あとは普通のRadeonと変わらない。デバイスマネージャーを見て、Microsoft標準ドライバでなくGPU型番が出ていることが確認できれば大方成功だ

ゲームで有効にするには

 マイニング専用カードにドライバを入れただけの状態でゲームを起動しても、ゲームのレンダリング処理はCPU内蔵のGPUで実行されてしまう。だがWindows 10 Fall Creators Update以降に搭載された機能を使うことで、マイニング専用カード上でレンダリングを実行できる。

 まずは[設定]→[システム]→[ディスプレイ]内にある「グラフィックの設定」を開き、マイニング専用カード側でレンダリングさせたいゲームの実行ファイル(exe)を一つ一つ登録しよう。そしてオプションで「高パフォーマンス」を選択すればよい。内蔵GPUでは重くて仕方がないゲームも、マイニング専用カードを使って快適に遊ぶことができる。RX 470なので性能面はソコソコだが、フルHD程度で「Apex Legends」クラスのゲームなら快適だ。

 ただしどんなゲームでも効果が得られるわけではない。とくにOpenGLベースのゲーム(Minecraftなど)では正しく機能しない。また、ゲームのランチャとゲーム本体が別プログラムになっている場合は、本体側のexeファイルを登録しないと効果が得られないという落とし穴もあるので注意したい。

①映像出力のないGPUを利用する
Windows 10(1709)以降のシステムには、「設定」→「システム」→「ディスプレイ」と進むと下のほうに「グラフィックの設定」が出現する。まずはここを開こう
②ゲーム本体を登録する
ここで[参照]ボタンをクリックし、マイニング専用カード側でレンダリングさせたいゲームの“実行ファイル本体”を一つ一つ登録する。Windowsストアで購入したゲームでなければ「クラシックアプリ」のままでOKだ
③使うGPUを切り換える
登録したゲームの[オプション]ボタンをクリック。「高パフォーマンスGPU」がマイニング用カードのRX 470になっているので、下の選択肢から「高パフォーマンス」を指定して「保存」する

内蔵GPU経由でパフォーマンスに影響はある?

CPU内蔵のGPU経由でレンダリング結果を出力する場合、ときどきフレームの描画が飛ばされる(missed frame)ことがある。ただ「OCAT」のようなツールで数値にして初めて認識できるレベルなので、フレームレートの出やすいゲームなら通常の状態との差異はほぼ分からないだろう。

【検証環境】CPU:Intel Core i9-9900K(3.6GHz)、マザーボード:GIGA-BYTE Z390 AORUS MASTER (rev. 1.0)(Intel Z390)、メモリ:G.Skill F4-3200C14D-16GTZR(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2 ※PC4-21300で動作)、システムSSD:Western Digital WD Black NVMe WDS100T2X0C[M.2(PCI Express 3.0 x4)、1TB]、データSSD:Micron Crucial MX300 CT1050MX300SSD4/JP[M.2(Serial ATA 3.0)、1.05TB]、電源:SilverStone Strider Platinum ST85F-PT(850W、80PLUS Platinum)、OS:Windows 10 Pro 64bit版

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