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東北大、カーボンナノチューブを超える高耐久の電気二重層キャパシタ

グラフェンメソスポンジシートの作製手順

 東北大学多元物質科学研究所とTOCキャパシタ株式会社らの研究グループは2月7日、単層カーボンナノチューブを上回る高温/高電耐性を持つ、グラフェンメソスポンジを用いた電気二重層キャパシタを開発したと発表した。

 電気二重層キャパシタ(Electric double-layer capacitor : EDLC)は、蓄電デバイスの一種で、エネルギー密度はリチウムイオン電池の約10分の1ながら、充放電速度はその約10倍以上あるため、高出力用途に使われている。

 電気二重層キャパシタの電極には、比表面積と静電容量で優れる活性炭が使用されるが、グラフェンの端(エッジ)を含んでいるため劣化しやすく、作動電圧を約2.7~2.8V以上にできない。そのため、数百Vの出力を得るために、100個以上の単セルを直列接続しなければならず、モジュールが大型化してしまうといった問題がある。

 一方でその代替となるカーボン材料の開発も行なわれているが、カーボンナノチューブにもある程度のエッジが存在し、チューブ同士が物理的に接触している箇所では抵抗が高いため、4.0V以上での劣化の原因となっていた。

 同研究グループでは、エッジの量がきわめて少ないグラフェンが3次元的に共有結合された構造を持つ「グラフェンメソスポンジ(GMS)」の自立シート電極を作成。直径5~7nmのアルミナ(Al2O3)ナノ粒子を化学気相蒸着(CVD)法でグラフェンで被膜したあとに、発生した大量のエッジを鋳造除去し、さらに1,800℃で熱処理することで、グラフェン同士が融合しエッジが消滅。高品質なグラフェンからなる多孔性カーボンが得られた。

 今回開発された材料を用いた電気二重層キャパシタでは、60℃の高温で3.5Vの高電圧を700時間以上印加してもまったく劣化せず、室温で最大4.4Vまで昇圧できた。これにより、単層カーボンナノチューブを上回る耐性を得ることができ、製造コストの抑制も可能になる。

 高電圧キャパシタモジュールの小型化も可能なため、電気二重層キャパシタの用途拡大が期待できるとしている。