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クラウドへのデータを物理輸送する「Azure Data Box」
~日本マイクロソフトが第1四半期中にサービス提供へ
2019年1月15日 15:24
日本マイクロソフト株式会社は15日、都内でプレスラウンドテーブルを開催し、同社の下期(2019年1月~6月期)に向けた取り組みを発表した。発表会では、同社代表取締役 社長の平野拓也氏が説明にあたった。
2018年8月にも同社は新年度の経営方針説明会を開催しており、会社の全体的な方向性としての変化はない。同社は「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」というミッションを掲げているが、これを踏襲し、インダストリーイノベーション、ワークスタイルイノベーション、ライフスタイルイノベーションを推進していく。
具体的には、ITの最新化(モダナイゼーション)を推進することにより、異業種間の連携、AIの活用、ミレニアル世代やファーストラインワーカーにおけるITの利用、モダンデバイスの普及などを支援していくとした。
そのモダナイゼーションのなかで欠くことができないピースが、2019年~2020年にサポート終了(EOS:End of Support)が決まっているWindows Server 2008やWindows 7、Office 2010といった古い製品の、最新環境への移行だ。EOSとなる製品は、製品の更新や修正が行なわれないため、セキュリティ脅威に対して脆弱となり、社会の変化に対応できなくなる。
物流により大容量データをWindows Server 2008からAzureへ移行
まず、2020年1月14日にサポートが終了するWindows Server 2008についてだが、現在もいまだに48万台が稼働中である。このサポート終了までの移行を推進するために、同社は2018年8月に戦略パートナー57社と移行支援センターを設立し、環境移行ができる技術者4,000名を育成中だという。現在すでに1,600人ほどの育成が完了し、企業のAzureへの移行を支援できる状態だとした。
現在のWindows Server 2008の利用用途のうち、ファイルサーバーが25%、LoB(業務)アプリケーションが52%を占める。このうちファイルサーバーに関しては、大企業はデータ量が多いという問題があり、一方中小企業は低帯域/遅延時間の対応が必要となっている。
そこで今回日本マイクロソフトは、大容量データの移行をサポートするため、新たに「Azure Data Box」と呼ばれるサービスを第1四半期に提供開始する。Azure Data Boxではユーザーのもとに専用のデバイスを送り、オンプレミスでそのデバイスにデータを移行。その後、ユーザーからAzureのデータセンターにデバイスを配送し、Azureへのデータ移行を完了させる。つまり、ユーザーは回線を圧迫することなくAzureに大容量データを移行できるようになる。
一方で、中小企業の低帯域/遅延時間対応の移行を支援する「Azure File Sync」も、第1四半期に提供開始する。
業務アプリケーションに移行については、日本マイクロソフトの戦略パートナーが、サービス提供時に最新環境に対応できない原因を見つけ、移行できるように支援する取り組みなどを行なうとした。
Device as a Serviceを本格化
古いWindows 7 PCからの移行についてだが、大企業や自治体が高い認知度を示しているのに対し、中小企業にまだ認知されていないことを課題に挙げた。とくに地方のほうで認知や移行が進んでいない状態だという。この結果、Windows 7の稼働台数は法人市場で1,600万台、個人市場で1,100万台ある状態だ。
そこで、中小企業向けには新たに、オリックス・レンテック株式会社、大塚商会、パシフィック ネット、横川レンタ・リース、富士通、VAIOの6社と協業し、最新のPCとMicrosoft 365を組み合わせ、サービスとして提供する。
いわゆるDevice as a Service(DaaS)モデルとなるが、つねに最新のデバイスが利用可能となり、オンデマンドによりコストを最適化するとともに、セキュリティを確保しやすくなる。これは2020年までにDaaSの国内需要が30%に伸長することを見越しての戦略となる。今後はこの6社に留まらず協業を拡大していきたいとした。
個人消費者には、春商戦、夏商戦、消費税10%増税、年末商戦期に向けて、最新PCへの買い替えを提案するとともにさまざまなキャンペーンを実施する。なお、IntelのCPU供給不足の問題については、すでにIntelと密に話し合いをしており、それぞれの商戦時期のテーマに合ったCPUの供給量バランスを調整することで、品不足を回避していく意向を示した。
また、2019年2月~3月のあいだに、金沢、高松、那覇、熊本、仙台、郡山、新潟の7都市で「クラウド活用による経営力強化セミナー」を開催するなど、さらなる認知度向上を図っていくとした。