ニュース

2018年度上期国内PC市場、3年連続で成長

~東京五輪に向けて個人もサイバー攻撃対策の見直しを

半期別国内PC出荷実績および予測 出典:MM総研

 MM総研は、2018年度上期(4~9月)国内PC出荷状況の調査結果を発表した。

 2018年度上期の出荷台数は524.3万台(前年同期比6.4%増)、出荷金額は4,760億円(同9.2%増)を記録。台数/金額とともに3年連続のプラス成長となった。法人市場を中心に働き方改革の影響もあり、単価の高いモバイルノートに需要がシフトしているという。

 なお本調査では、2013年度上半期の統計よりWindows(RT含む)搭載タブレットは除外されている。

 出荷ルート別では、量販店および個人向けWeb直販を主力とする、個人向けルートが前年同期比7.9%減の168.2万台だったのに対し、法人直販および法人向け販売店への出荷を主力とする法人向けルートは、同14.8%増の356.1万台を記録した。

 市場全体を見ると、働き方改革や、2020年1月に予定されているWindows 7のサポート終了を前提としたPCとOSの入れ替え需要が、法人市場の活性化につながり市場が成長。

 しかし、IntelのCPU供給量が市場の要求に追い付かず、とくにローエンドからミドルレンジのCPUで不足が顕著となっているのが懸念材料で、下期中も不足傾向が続くと見られ、大口法人顧客を多く抱える大手メーカーの中には、不足感が顕著に表れているという。

2018年度上期ルート別出荷実績 出典:MM総研

 メーカーブランド別シェアは、首位のNECレノボが26.6%、レノボと資本提携した富士通ブランドは18%と、前年から1.3ポイントシェアを拡大。本調査では、レノボとの合弁事業となった富士通クライアントコンピューティングのPCブランドを「富士通」として別表記としているが、NECレノボおよび富士通ブランドを合算すると、シェアは44.6%となり前年同期から2.1ポイント増加している。

 富士通は、法人市場で大口顧客のリプレースが増加していることが好調の背景だが、第2四半期には個人系市場でプラス成長。NECレノボは、とくにレノボの法人向けが大企業を中心に好調であるという。

 HPとDellは、ともに法人市場がとくに好調だが、HPは個人市場でもWebや都市部の家電量販店を中心に出荷を伸長。東芝はコンシューマ事業が縮小傾向だが、下半期以降は、法人市場を中心にシャープ・鴻海の調達力を武器に巻き返す可能性があるとしている。

2018年度上期メーカー別国内PC出荷実績 出典:MM総研

 MM総研では、2018年度通期の出荷台数は、前年度比7.1%増の1,107万台を見込んでおり、下半期はCPU不足で大幅な成長は難しいものの、上半期を若干上回る前年同期比7.7%増を予測する。

 2019年度も、CPUの不足が懸念材料だが、OSサポート終了にともなう入れ替え需要で成長が続き、1,250万台規模(13%増)まで市場が拡大する見通しであるとする。

 2020年の東京オリンピック開催を前に、日本の端末やWebサイトを標的としたサイバー攻撃の増加が予想され、セキュリティ対策は一層重要になっており、法人ユーザーのみならず、個人ユーザーも自身の端末環境の確認、対策を含めて見直しが必要な時期であるため、売り手側にも一層の啓蒙活動や工夫が必要であるとの見方を示している。