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約130年ぶりに「キログラム」の定義が改定へ
~ケルビンやアンペアも改定、プランク定数測定には産総研が貢献
2018年11月19日 15:00
国際度量衡総会(CGPM: Conférence Générale des Poids et Mesures)にて16日(仏国時間)、国際単位系(SI)のうち、キログラムを含む4単位の定義改定が審議され、新定義が採択された。新定義は2019日5月20日から適用される。
定義が改定されたのは、質量の「キログラム(kg)」、物質量の「モル(mol)」、熱力学温度の「ケルビン(K)」、電流の「アンペア(A)」の4つ。キログラムについては、約130年ぶりの定義改定となる。
キログラムは「国際キログラム原器の質量を1kg」として規定されていたが、光子のもつエネルギーと振動数の比例関係をあらわす比例定数であるプランク定数(h)を「6.62607015×10-34Js」として定め、この値をもとに定義される。
モルは従来「0.012kgの炭素12に存在する原子の数に等しい要素粒子を含む系の物質量」とされていたが、新定義では「6.02214076×1023の要素粒子を含む」というかたちに改められた。
ケルビンは「水の三重点の熱力学温度の273.16分の1」という定義から、ボルツマン定数(k)を「1.380649×10-23J/K」として定め、その値をもとに定義。
アンペアは、あらたに電気素量(e)を「1.602176634×10-19C」として規定し、これをもとに設定される。
このほかの時間(秒)や長さ(メートル)、光度(カンデラ)の定義については、従来どおりの定義が維持される。
この定義変更によって、すべての計量単位が「原器」という器物に依存せず定義されることとなり、長期的には、微小質量を扱うナノテクノロジー、バイオテクノロジーや次世代半導体開発、極低温・超高温制御が必要な材料開発などで求められる高精度な測定の実現により、新たな産業の創出などの恩恵がもたらされることが期待される。
今回の定義改定には、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下産総研)が貢献しており、キログラムの定義について、2017年に各国の国家計量標準機関が測定したプランク定数の値から、今回の調整値が決定されているが、このとき使用されたデータ8つのうち、産総研では4つの測定に関わっている。
産総研の理事長を務める中鉢良治氏はリリースにて、産総研は、前身機関を含めると約130年間に渡ってキログラム原器を保管し、計量標準の中核機関としての役割を務めてきたことに触れると同時に、プランク定数の測定に産総研が大きく貢献したことは、産総研が中心となって培ってきた日本の測定技術が、世界的に見ても非常に高い水準にあることを意味するとコメント。
産総研計量標準総合センターの研究者たちの「科学、技術の基盤を支える」という高い志と、つねに究極の精度を追求する努力が、定義改定への貢献となって結実したものであり、産総研理事長として、また1人の技術者として、研究者たちの成果と貢献に対し、心より敬意を表したいと述べたほか、今後も日本の計量標準の中心として、高度な測定技術の開発・維持に努め、科学・技術の発展に貢献していくとしている。