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Cray、エクサ級性能を実現するスパコン「Shasta」

Shastaのキャビネット

 米Crayは10月30日(米国時間)、エクサスケールを実現するスーパーコンピュータシステム「Shasta」を発表した。2019年第4四半期より市場提供を開始する。

 現在、世界最速のスーパーコンピューティングシステムは、米エネルギー省オークリッジ国立研究所の「Summit」で、122.3PFLOPSという演算性能を記録しているが、今回Crayの提唱するShastaでは、Summitの約9倍、秒間100京回の計算が可能な“エクサスケール”スーパーコンピュータにも対応するシステム基盤であるという。

 同社では、Shastaは次世代のスーパーコンピューティングの基盤となる技術となるように設計されており、エクサスケールの性能、新たな“データセントリック”なワークロード、さまざまなプロセッサアーキテクチャに対応し、モジュール性と拡張性を実現する次世代のCrayシステムソフトウェア、Cray設計のシステムインターコネクト、システム内での処理選択の柔軟性、シームレスなスケーラビリティを提供するソフトウェア環境の実現を謳う。

 構成としては、19インチの空冷または液冷の標準データセンターラック、1ブレードに複数プロセッサを搭載する64枚のブレードを収容できる、高密度液冷ラックの2つのオプションを用意。どちらのオプションでもキャビネット数を100以上に拡張できる。

 同社では500W超のプロセッサでも対応できる、高効率な冷却設計を謳っており、W3やW4といった温水冷却データセンター基準にも適合するとしている。

 すでに、米エネルギー省National Energy Research Scientific Computing Center(NERSC)が、2020年に稼働予定のスーパーコンピュータ「Perlmutter」で、同社の「ClusterStor」ストレージを搭載したShastaの採用が決定しており、システム総額は同社史上最高額の1億4,600万ドルであるとしている。

 同社では、Shastaと同時にインターコネクト技術「Slingshot」も発表。

 Slingshotでは、ノードあたり最大5倍の帯域幅を持ち、データセントリックなコンピューティング向けに設計されており、Ethernetとの互換性、高度な適応型ルーティング、先進的な輻輳制御、高度なQoS機能を謳う。現行の「Cray XC」世代の5ホップから3ホップへ削減することで、帯域幅と信頼性を向上させながらレイテンシと電力を削減できるとしている。

 詳細は「第30回スーパーコンピューティング会議(SC18)」で披露される予定。