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SynologyのNASがファイルストリーミングに対応。初のメッシュルーターも11月下旬発売

MR2200ac

 Synologyは10月17日、都内にて記者向け発表会を開催し、同社のNAS向けOSの最新版「DiskStation Manager 7.0(DSM 7.0)」などのソフトウェア群や、Wi-Fiメッシュルーター「MR2200ac」の国内投入時期を発表した。

 Synology 台湾本社CEOのDerren Lu氏によれば、Synologyのネットワーク機器の全世界での累計販売台数は600万台を超え、全体の成長率は20%超、ビジネスモデル自体の成長は30%以上に達するという。4月には日本法人のSynology Japan株式会社を設立しており(台湾のNASメーカーSynologyが日本法人を設立参照)、日本国内での成長率は40%以上と、Synologyの躍進に自信を見せる。

Synology製NASの新OS「DSM 7.0」

 Synologyは製品の開発にイノベーションをもたらすことを念頭に、DSMをはじめとするユーザビリティに優れたソフトウェアを開発しているが、Tsai氏は今後それに加えて、「安定性」、「安全性」、「サービス」を重視した製品提供を進めていくと述べた。

 その施策の1つがDSM 7.0の投入であり、前世代と比較して大幅なデザイン変更が施され、トラブル発生時などでのユーザーのガイド機能などが実装されている。

 DSM 7.0の説明を行なったSynology Japanでセールスマネージャーを務める田野久敏氏は、これまでシンプルだったUIは、より直感的なわかりやすいデザインへと変更され、利便性も追求。細部にまで気を配った設計に注目してほしいとする。

Synology 台湾本社CEOのDerren Lu氏
Synology Japan セールスマネージャーの田野久敏氏
NAS向けOSのDSM 7.0
DSM 7.0のログイン画面
DSM 6.2のログイン画面
操作に対する待ち時間では、写真中央緑の円上で、直感的にロード待ちであることがわかるような回転のアニメーションが表示されている
障碍が発生したさいには、ガイダンスで対応策を提案し、ユーザーがいちいち内容を調べることなく復旧などを行なえる
DS finderではQRコードでスマートフォンから簡単にログイン可能に。NAS利用のハードルを下げる試みと言える

 また、MicrosoftのWindows Cloud Filterを利用したファイルストリーミング機能「Synology Drive」も提供。端末でファイルを同期していても、OneDriveといったクラウドストレージと同じように、必要なときに必要なファイルだけをダウンロードでき、クライアントPC上で無駄なストレージの消費を抑えることができる。

Windows Cloud Filterを利用したSynology Drive

 さらに、ファイルの更新は増分同期となっており、これまで100MBのファイルを編集した場合は、100MBのファイルをNASにアップロードしていたが、たとえば10B分の変更しかなかったのであれば、その分だけがネットワークを介してアップロードされる。そのため、従量制ネットワークを使用しているような場合でも、安心して利用可能という。

増分同期に対応
変更があった分だけがアップロードされる

 田野氏はコンシューマ市場向け機能の進化に続き、ビジネス向けに用意した機能についても説明。HDD保護を目指した実装で、RAIDの高速リビルド、HDDの故障検知、HDD交換時の即時コピーといった機能を提供する。

 RAIDの高速リビルドに関しては特許出願中の技術とのことで、たとえばRAID 5のドライブで復旧に8時間かかっていたものが、3時間と大幅に高速化される。HDDの予測検知は過去300万台のNAS HDDで培ってきたデータを機械学習によって90%の確率で故障予測可能に、そしてHDDの故障予測を検知した状況で、新たなドライブを加えることにより、すぐにデータコピーが行なわれ、該当するドライブを安全に取り外してデータ保護を行なえる。

HDDの故障予測機能が搭載。問題が発生する前にデータをコピーして、交換をスムーズに

 ビジネス向けのバックアップ機能「Active Backup Suite」も開発された。ローカルからOffice 365/G Suiteといったクラウドをカバーし、バックアップ/リストアを一括管理できるようになる。高圧縮バックアップも可能で、台湾の資生堂で導入した例では、66TBのデータが17TB分に圧縮できたという。これらの機能はNASとセットで無料提供される。

Active Backup Suite
一括でバックアップ/リストア
高圧縮バックアップも可能

 発表会ではこのほかにも、ラックマウントNASの「UC300」も紹介された。デュアルアクティブコントローラを搭載し、障害発生時でもシームレスな運用が可能。同社では初のiSCSI専用ストレージ設計となっている。4コアXeonを搭載し、100,000IOPS性能を発揮。

ラックマウントタイプのNAS「UC300」
実機の写真

メッシュルーター「MR2200ac」は新OS「SRM 1.2」を搭載

MR2200AC

 Synologyは6月に台湾で開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2018にて同社初のメッシュルーター「MR2200AC」を公開していたが日本では11月下旬に発売される予定で、価格は15,000円から20,000円の間になる見込みという。

 メッシュ機能以外に注目すべきは、Synology製のルーターに搭載されているOS「SRM(Synology Router Manager)」のバージョン1.2が利用できること。該当するWebサイトの遮断など、ユーザーごとに詳細なフィルタリングを提供する「Safe Access」がりようできるようになる。仕様を含めた詳細については別記事(Synology、802.11acメッシュWi-Fiルーター「MR2200AC」を展示)を参照されたい。

SRM 1.2搭載
メッシュ対応
WPA3認証済み
SRM 1.2の新機能「Safe Access」
Safe Accessの画面
iOS 12のSiriを利用したゲストモードの簡易利用機能