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ゲームプレイ+コンテンツ製作&配信はRyzenで

~【DIY PC 04】マルチコアCPUによるエンタテイメント&クリエイティブPC

TEXT:芹澤 正芳

 ゲームでは強さを見せるCore i7-8700Kだが、ゲームの配信や録画も考えるなら、Ryzen 7 2700Xにも注目したい。8コア/16スレッドによるメインストリーム向けのCPUとしてはワンランク上のマルチスレッド性能により、重いゲームをプレイしながらの動画配信もこなす。高画質での配信、録画になればなるほど、Core i7-8700Kの6コア/12スレッドでは追い付かない場面が増えてくるのだ。

 ここでは、そのRyzen 7 2700Xを柱に、RGB LEDなど流行のギミックをふんだんに取り入れたプランを用意。8コア/16スレッドが生み出す魅力にどっぷりつかってほしい。

【Point 1】Core i7を上回るコア数で勝負!

 Ryzen 7 2700X最大の魅力は4万円弱で8コア/16スレッドを実現していることにつきる。IntelのCore i7-8700Kが同価格帯のライバルになるが、こちらは6コア/12スレッド。右下のCINEBENCH R15の結果を見ても、マルチスレッド性能のテストでは2700Xの圧勝だ。シングルスレッドの性能では、8700Kに軍配が上がるものの、ゲームをプレイしながらの動画配信や録画といった複数同時の作業においては、8700Kをしのぐ高いマルチスレッド性能に期待を持てる。

 また、単純にコア数が多いだけではなく、メニースレッド実行時でも大きくブーストするPrecision Boost 2や、冷却が十分なときに追加ブーストを行なうXFR2など、性能を底上げする機能も充実。メニーコアでブースト機能も豊富と、濃い自作好きほどにロマンを感じるCPUだ。しかも、IntelのK付きの倍率ロックフリーモデルは基本的にCPUクーラーが付属しない。しかし、2700XはRGB LED対応のクーラーが標準で付属する。静かで十分な冷却性能もあり、しかも固定がクリップ式とお手軽なのもよい。

Advanced Micro Devices Ryzen 7 2700X 8コア/16スレッドで動作クロックはベースで3.7GHz、ブースト時で4.3GHzまで上昇する。TDPは105W。メモリはDDR4-2933までの対応だ。初代Ryzenからシングルスレッド性能とキャッシュ速度が向上した
Ryzen 7 2700XとCore i7-8700Kのスペック比較
Wraith Prismと呼ばれるCPUクーラーが標準付属。ファンブレードとフレームにLEDを内蔵する。クリップ式の固定方法を採用しているが、TDP 105Wに対応できる高い冷却力を持つ。付属品と言えども侮れない仕上がりだ

【Point 2】Ryzenマシンも光る! 標準クーラーまで光る!

 現在の自作PCでは「SNS映え」も重要な要素の1つ。2700Xは標準付属のCPUクーラーがRGB LED搭載かつトップフローなので、側面内部のライトを活かしたドレスアップにも力を入れたいところだ。

 そこで、PCケースにはRGB LED対応のファンを横向きに3基配置しているIn Winの303 Black/Polarisを選択。大型のケースなので設置場所は多少選ぶが、ファンのインパクトと作業しやすさが優秀だ。

 そして、マザーボードのX470 AORUS ULTRA GAMINGは、メモリやケースファン、マザー上のLEDを「RGB Fusion」ユーティリティで一括制御できるスグレモノ。ただし、ビデオカードはASUSTeK製を選んだので、「Aura」ユーティリティも併用した。

SNS映えするどハデな発光。CPUクーラー、メモリ、ケースファンのRGB LEDがケース内部を演出。見えにくいが、マザー下部のロゴも発光する。SNS映えしやすくするため、光を同系色でまとめるのが最近のトレンドだ
RGB LEDブームで新たな悩みになるのがLEDケーブルの配線だ。今回使用したマザーボードはCPUクーラー用とテープなどそのほかのデバイス用、2つのRGB LEDピンヘッダがあるので、接続は比較的容易だ
X470 AORUS ULTRA GAMINGは、CPUソケット近くにRGB LEDピンヘッダを用意。RGB LED対応CPUクーラーが増えているだけにありがたい
今回のプランでは、CPUクーラー、メモリ、ケースファンとロゴはGIGA-BYTEの発光制御ユーティリティ「RGB Fusion」で一括管理
ビデオカードはASUSTeK製なので、LEDの制御には同社のユーティリティ「Aura」の導入が必要。複数の発光パターンがあり、GPU温度に合わせて変化も可能だ
GIGA-BYTE TECHNOLOGY X470 AORUS ULTRA GAMING(rev 1.0)。X470チップセット搭載のゲーミングマザー。8+3フェーズの強力な電源、ヘッドホンアンプ付きのオーディオ機能、デバイスに安定した電力を供給できるUSBポートなど多彩なゲーマー向けの機能を搭載
2基あるM.2スロットのうちCPUに近いほうにはヒートシンクが付属。M.2スロットの上部に引っかけてネジ止めするだけと、ヒートシンクの取り付けは簡単だ

【Point 3】ゲーム+配信&録画、同時作業で活きる多コア

 では、実際にメニーコアの実力を見てみよう。今回は、ゲームのフレームレートに加え、動画配信や録画を同時に行なった場合の挙動をチェックしていく。比較対象としては8700Kを用意した。

ゲームの配信、録画のテストにはフリーソフトのOBS Studioを使用した。x246のソフトウェアエンコードを利用して、配信や録画を行なっている。定番アプリだが、トップクラスのCPUでも重い!

 3DMarkやPUBGのテストでは、2700Xと8700Kは拮抗しているが、配信や録画が加わるとその傾向は大きく変化する。PUBGをプレイしながらOBS Studioを使ってYouTubeに8Mbpsで配信を行なった場合(x264のソフトウェアエンコーダを使用)、フレームレートだけを見ると2700Xが大きく数字を落とした。

 しかし、CPU使用率をチェックすると2700Xは75~85%程度とまだ余力が残っており、配信もスムーズだった。一方8700Kでは、フレームレートこそ高いもののCPU使用率はほぼ100%に貼り付き、配信中の動画にコマ落ちが発生。この点に両者の大きな違いがあると言えそうだ。

 ちなみに、2700Xで配信を行なうとフレームレートが大きく落ちるのは、PUBGの8コアへの最適化が6コアよりも進んでいないためと推測される(6コアのRyzen 5 2600だと下げ幅は小さい)。ただ、8コアへの最適化が進むと8700Kと同様にフレームレートが上がりコマ落ちが起きる傾向になることも考えられる。このほか、15Mbpsの高画質設定で録画した場合も顕著で、2700XはCPU使用率が80~95%で録画データにコマ落ちは発生しないが、8700Kではほぼ100%でコマ落ちが発生した。

PUBGのプレイをYouTubeに配信中の2700XのCPU使用率。75~85%程度で推移し、CPUパワーにはまだ余力がある
15Mbpsという高いbitレートで録画中のCPU使用率。8600Kでは100%に貼り付くが、2700Xでは80~95%

 なお、画像処理や動画エンコードでは、Photoshopのフィルタ処理こそ8700Kが上回っているが、より負荷が高いH.265でのエンコードではわずかだが2700Xが勝利。H.264でもほぼ互角という結果だった。

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