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無難で終わるな! 2018年版スタンダードはこれで確定

~【DIY PC 03】最新自作PCのポイントを凝縮したミドルレンジPC

 テーマは2018年版のスタンダード……というと地味なPCを想像するかもしれないが、ちょっと違う。性能、価格、消費電力、価格性能比、それももちろん重要だ。しかし、今の自作PC、PCパーツはそれだけではない。ビジュアル、演出といった要素も、クールに進化しており、そうした部分も大事ににするのが現在の自作PCだろう。ミドルレンジクラス中心に、幅広い用途に対応できる性能はしっかり確保し、コストにも配慮する。その上で、性能、機能、演出含めて、今の自作、パーツをがっつり楽しむ、そんなイメージだ。今だからこそできるスタンダードマシンを目指した。

【Point 1】中身をしっかり見せられるスタイリッシュケース

 Antecの「P110 Luce」を選んだ。同社のPCケースはどちらかと言えば保守的でシンプルなイメージが強いが、このP110 Luceは従来のスタイルを踏襲しつつ最近のトレンドに寄せてきており、今回のテーマにぴったりだ。

 強化ガラス仕様のサイドパネルは、テーマの一つであるRGB LED演出を楽しむのに最適。高級感ある仕上げで、光らせなくてもよい雰囲気のPCに仕上がる。また、フロントのロゴと電源ボタン周囲のLED(パワーランプ)はRGB LEDを使用。RGBヘッダを接続すれば、マザーボードなどから発光色を制御できる。

 もちろん、PCケースとしての基本機能も十分。大型(最大36cm)の簡易水冷ラジエータや39cmまでのビデオカードが搭載できるなど、拡張性にも優れるため、後から拡張したくなったときも安心だ。

Antec P110 Luce。Antecの伝統的なスタイルを踏襲しつつ、メッシュ仕様のトップカバー、強化ガラス仕様のサイドパネル、RGB LEDのフロントロゴなどトレンド機能を盛り込んだ最新作
高級感抜群の強化ガラス。サイドパネルはトレンドの強化ガラス仕様。ヘアライン加工で仕上げたフロントパネル、トップのハニカムフィルタのデザインも秀逸で、中身を光らせなくても美しい
フロントHDMIも装備。ビデオカードのHDMI出力をフロント端子として利用できるケーブル/端子を標準装備。MRグラスなどの接続に便利なフロントHDMI環境を簡単に作れる
ショートサイズ電源が吉。電源スペースは狭くはないが、ショートサイズのほうが扱いやすい。奥行き14cmでセミプラグインケーブルのAntecのNeoECO Gold NE650Gとの相性はバッチリだ
スタビライザーを装備。ビデオカードを支えるスタビライザー(VGAホルダー)を搭載。シンプルな構造だが、あるとないでは安心感がかなり違う。重さのあるカードを使う場合にはうれしい

【Point 2】主要パーツでトレンドのRGB LEDを楽しむ

 最近はミドルレンジ以下のパーツでもRGB LED演出を楽しめるようになっており、今回はそれをストレートに活かした。中核となるマザーボードのROG STRIX H370-F GAMINGは、H370チップセットを搭載した比較的リーズナブルなモデルながら、デュアルM.2スロットやType-CとType-A両方のUSB 3.1やRGB LEDなど、技術・演出両面でトレンドを楽しめる。

 付属ユーティリティのAuraでは、発光色やパターンを自在にカスタマイズでき、温度や音楽に応じて変化させたりもできる。G.SkillのTrident Zは標準でこのAuraに対応しており、簡易水冷のML240L RGBとAntec P110 LuceもRGBピンヘッダで接続し、Auraから発光色/パターンを同期させている。

ASUSTeK Computer ROG STRIX H370-F GAMING。サイバーテキストパターンをプリントしたクールな基板が印象的なH370マザー。M.2ヒートシンク、Type-CとType-A両方のUSB 3.1ポートも搭載と、低価格でトレンドを満喫できる
Auraで制御。ASUSTeKオリジナルの「Aura」ユーティリティでは、発光色やパターンを自在に変更できる。サードパーティの対応パーツやRGBヘッダに接続したパーツも同期制御できる
RGBピンヘッダで同期。STRIXシリーズの中では廉価なモデルだけにRGBピンヘッダは1基のみ。今回の作例ではCPUクーラーとケースで2つ必要になるため、市販の分岐ケーブルを利用した
G.Skill International。Trident Z RGB F4-2666C18D-16GTZR。Trident Z RGBシリーズは、RGB LEDメモリのパイオニアにしてロングセラー。乳白色のカバーを通して美しく光る。ASUSTeKのAuraユーティリティに標準で対応している
Cooler Master Technology MasterLiquid ML240L RGB。RGB LEDを持つ簡易水冷は高価な傾向がある中で、コスパの高さが目立つのがこのML240L RGB。汎用のRGB LEDピンヘッダに対応しており、接続すればAuraから発光制御が可能
ラジエータのファンも光るML240L RGBは、水冷ヘッド(ロゴ)もラジエータのファン(12cm角×2)も光る。マザーボードやメモリとは少し色みは違うものの、ケース内部全体を照らすのに役立ってくれる
ケースのロゴも発光制御OK。PCケースのP110 Luceは、電源ボタン周囲とAntecのロゴにRGB LEDを使用。直付けされているRGBピンヘッダケーブルをマザーボードに接続すると、Auraで光を制御できる
マザーのカバー部も発光。マザーボードのオンボードRGB LEDはバックパネルカバー部のみだが、乳白色パーツを透過して光る様子はなかなかの存在感。Aura標準対応のTrident Z RGBとの色みの相性もバッチリだ

【Point 3】スタンダードな構成でもストレージはやっぱりNVMe

 データストレージは迷わずM.2フォームファクターのNVMe SSDを選択した。M.2スロットにケーブルレスでメインストレージが実装できるクールさは、PCケースに組み込んだときに「時代の違い」として実感することだろう。しかも強烈に速い。SATAATA SSDとの体感的な違いは、HDDからSATAATA SSDへ変えたときほどの劇的なものではないが、一度導入してしまえば、やはり次もSATAATAは選べない……それくらいの差はある。

 NVMe SSDは高速であるがゆえに放熱に課題があるが、マザーボード付属のM.2ヒートシンクを使えば解決だ。ただ、今回利用したROG STRIX H370-F GAMINGは、2基あるM.2スロットの片方がPCI Express 3.0 x2までの対応で、標準ではそちらにヒートシンクが付いている。H370やB360などではありがちなことだが、PCI Express 3.0 x2では最新SSDのパフォーマンスをフルにできないため、こういう落とし穴には注意したい。ヒートシンク利用時はヒートシンクなしに比べてピーク温度は20℃近く低く、後半の転送速度も安定している。

Intel SSD 760p SSDPEKKW512G8XT。NVMe SSDの中でもダントツのコスパを誇るのがこのIntel 760p。シーケンシャルの書き込みは最速クラスからは少し劣るが、それでも十分爆速と言える性能
ヒートシンクで熱問題を解決。発熱が大きいというNVMe SSDの課題はマザーボード付属のヒートシンクを使えば解決だ。実際のテストでも20℃近く温度を下げる効果があった
M.2スロットの仕様に注意。ROG STRIX H370-F GAMINGは、2基あるM.2スロットの片方がPCI Express 3.0 x2までの対応。標準ではそちらにヒートシンクが付いていたため、移動して使った
PCI Express 3.0 x2だと魅力が半減。最新のIntel 760pも、PCI Express 3.0 x2接続のM.2スロットで使うとこうなってしまう。シーケンシャルリードは半減し、ランダムにも少し悪影響が出ている

【Point 4】パワフル6コアと1070 Tiで最新ゲームが高画質でも快適

 スタンダードマシンとして幅広い用途に対応できる性能を確保することも、意識したテーマの1つ。とくにゲームの性能はビデオカードで大きく左右されるため、優先して予算を確保してGeForce GTX 1070 Ti搭載カードを選んだ。

 CPUはリーズナブルながら6コア6スレッドでマルチスレッド性能に優れるCore i5-8400をチョイス。描画負荷の高いタイトル1つであるアサシン クリード オリジンズも、フルHD解像度なら最高画質で平均70fps超。ファークライ5ではWQHDの最高画質でも最小fpsで60fpsを上回るなど十分な性能を実証できている。

Core i5-8400。Core i5の中では最下位クラスのモデルだが、6コア6スレッドでマルチスレッド性能にも優れる。Core i3の上位モデルと変わらない2万円ちょっとの価格で買える手頃さも魅力
ASUSTeK Computer CERBERUS- GTX1070TI-A8G。ベーシックなGeForce GTX 1070 Ti搭載モデル。基板の反りや歪みを防ぐ金属製バックプレートを装備し、IP5X相当の防塵ファンを搭載するなど、シンプルながら安心感の高い設計だ

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