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光り物、サイドクリア、5インチベイレスにNo! これがオレたちの自作PCだ

~【DIY PC 10】流行に惑わされないもう一つのスタンダード

TEXT:砂橋当石

 筆者はSandy Bridge世代のシステムをこれまで長く使ってきた。世間では「Sandy Bridgeおじさん」などと言われているようだが、最適なシステム更新のタイミングを見きわめていただけのことであり、そのことに後悔はまるでない。マメにPC Watchを読み、業界動向もそれなりに追いかけている。

 そんな日々であったが、昨年Coffee Lakeが登場し、ようやくメインストリームCPUが4コアから6コアへと進化した。このCoffee Lakeがこなれてきた今こそが新マシン作成のときだ。久しぶりにシステムを更新するにあたって意識したのは、メーカーやメディアの「ゴリ押し」に惑わされないこと。とくに「何でもかんでもRGB LED」、「サイドクリアパネル」、「5インチベイ不要」という風潮には大いに疑問。「長く安心して便利に使える」ことを強く意識して、流行に惑わされない「質実剛健」をテーマに、3年5年経ったときに見て結果的にコスパがよかったと感じられるPCを目指した。

【Point 1】私がSandy Bridgeから乗り換えなかったワケ

 これまでSandy Bridgeから変更しなかった理由は、必要性を感じなかったからだ。CPUの世代が変わってもコアは増えないし、AVX2などの拡張命令は即効性がなく、いまだにたまのエンコード以外では使わない。ただ、Sandy Bridgeシステムに問題がないわけでもなかった。それはおもにチップセットのI/Oまわり。PCI Express、USB、SATAといったインターフェイスが弱いのだ。

 USB 3.0は早々に足りなくなったがUSB Hubで解決できたし、SATAもSSD分だけあればよく、HDDはSATA 3Gb/s接続でも問題なかった。PCI Express 3.0 x4のSSDも使えないが、SATA SSDに比べて容量単価がかなり高いので、当面導入する気はない。とくに困ってもいなかったが、将来的には漠然とした不安が多々あり、そろそろと思っていたのも事実である。

 物理コア増加で価格がこなれた今は最高のタイミングと見て、満を持して乗り換えてみた感想は、控えめに言って最高である。6コア12スレッドのパワーは普段使いでもはっきり快適と実感できる。USB 3.1の高速な周辺機器も買えるなど、アップグレードの制約がなくなった開放感は格別だ。

【Point 2】質実剛健をテーマに性能と品質にこだわる

 長く安心して使えるPCを目指すため、主要パーツの構成は、質実剛健にこだわった。PCケースはAntecのP7 Silent。名作SOLO以来の伝統的な密閉型スタイルを引き継いでおり、静音性も高い。もちろん、サイドパネルがクリア仕様でないことは非常に重要。電磁波を吸収してくれる金属製で、静音シートも貼られているソリッドタイプのほうが優れているに決まっている。私にとってPCは道具なので中のパーツが見える必要はない。

 マザーボードも信頼性にこだわり、ASUSTeKのスタンダードモデルを選んだ。当面OCをする予定はないが、将来的な選択肢を確保する意味でZ370モデルを選んでいる。ただ、PRIME Z370-Aも基板裏にRGB LEDが搭載されているのは嘆かわしい限り。電力のムダなので、UEFIでOFFにして使う。

 電源はオウルテック扱いのSea Sonicを選んでおけば間違いない、と10年以上前から決まっている。しかも、最新のFOCUS FXシリーズは、10年間新品交換保証。長期保証があっても、故障時に本国に送って修理対応……などと言われると気が重くなるが、故障が認められたらさくっと新品に交換してくれることが明記されているのはじつに心強い。

Core i7-8700K。【コア数が増えた今こそ!!】今回の作例ではOCは考えていないが、Core i7-8700Kと8700では定格でもかなり差があるし、今後使っていく過程で多少のチューニングを考えていないわけでもないため、8700Kを選んでいる
Antec P7 Silent。【光らない! サイドクリアは不要!】Antecの名品「SOLO」の系譜を受け継ぐ静音性重視の密閉型スタイルのPCケース。静音シートを貼り付けた金属製のサイドパネルが内部の音も電磁波もカットしてくれる
光学ドライブは必要。最近、職場でもわざわざUSBの外付けドライブを接続して使っている光景を見かけるようになった。内蔵してしまえば手間は省けるし、ドライブをしまった場所が分からなくなることもない
交換しやすい3.5インチベイ。自作のベテランから言わせてもらえば、ストレージは消耗品だ。長くても3、4年くらいのサイクルで更新していくもの。交換しやすい構造になっていることは必須条件だ
Sea Sonic Electronics FOCUS Plus Gold SSR-650FX。【信頼のSea Sonic】Sea Sonicの80PLUS Goldモデル。設計思想はまさに質実剛健。さまざまなブランドにOEM供給しているが、やはり本家本元が安心だろう。必要なケーブルだけ使えるフルプラグイン仕様も魅力
10年間安心して使える「10年間新品交換保証」も大いに魅力。故障が認められた場合は、新品をサクっと送ってくれるわけだ。しかも10年! 仮に終息した場合は最新の同等品に交換されるという
ASUSTeK ComputerのPRIME Z370-A。【王道のASUSスタンダード】マザーボードはデザイン的にも機能的にもクセがなく、信頼性が高いものが好み。以前のマシンと同じくASUSTeKのスタンダードモデルを選んだ。10フェーズVRMなど安心感の高い設計が魅力だ

【Point 3】GPUはPascalが買いって知らなかったの?

 IntelのCPUと違って、NVIDIAのGPUの世代交代は3年ほどと少し長い。その分世代が変わると一気に性能も変わる傾向があり、買いのタイミングは分かりやすい。Pascal世代のビデオカードでは、14nmのプロセスを導入しているGeForce GTX 1050 Tiのコスパが最強。旧世代のGTX 960と同等の性能で大幅に省電力化し、補助電源不要の製品も多い。新世代のTuringは新技術満載だがミドルレンジ以下は未発表。今のタイミングでGTX 1050 Tiを買っても後悔しないだろう。

エルザ ジャパンGeForce GTX 1050 Ti 4GB S.A.C GD1050-4GERST。【業務用でも実績があるエルザなら安心!】業務用のQuadroやTeslaを搭載したカードやサーバーシステムなどでも高い実績を持つエルザのGeForce GTX 1050 Tiカード。補助電源なしで長さ14.5cmと密閉型スタイルのPCケースとの相性もよい

【Point 4】安心第一、こだわりのストレージ構成

 ストレージは適材適所で使い分けるのがベスト。性能とコスト、安心感のバランスを考えて、システム用にSATA SSD、データ用にはNAS用HDDをRAID 1で使う。RAID 1は、データを二重化してHDDの故障からデータを守れる。HDD自体も信頼性の高いNAS用がよい。コストはかかるが、思い出の写真や動画なども今はすべてデジタルデータで保存しており、その価値はプライスレス。安心感を重視するほうがよいだろう。

Intel SSD 545s SSDSC2KW512G8X1。【CPUと合わせてIntelで!】SSDも信頼性第一で5年保証のIntel製を選んだ。Intelの第2世代(64層)3D NANDを採用しており、耐久性に優れ、ユーティリティも使いやすい
Seagate Technology IronWolf ST4000VN008×2台。【RAIDで信頼を強化!】RAIDで使うならNAS向けがよい。SeagateのIronWolfは24時間365日使用を想定した信頼性に加えて、RVセンサーを搭載。隣のHDDの振動を原因とするトラブルを防止できる
ユーティリティで設定。RAIDボリューム作成は、UEFIでも可能だが、Windows上でラピッドストレージユーティリティを使ったほうが分かりやすい
UEFIでRAIDモードに。OSインストール前に、UEFIセットアップでSATAのモードをRAIDモードにしておく。RAIDボリュームの構築自体は後でよい
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