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仮想通貨下落で日本人が標的のマイニングマルウェアの攻撃数が減少

2017年6月のビットコインの価格は2,100ドル強で、Avastは日本で24万回以上の攻撃を特定/ブロックしている。2017年12月には18,000ドル超の最高値を記録し、攻撃数も310万回を上回った。その後、価格が下落すると攻撃数も減少し、2018年6月には52万回強程まで下落している(価格出典: Coin Market Cap)。

 Avastの脅威研究所は、日本人を標的とした、仮想通貨マイニングマルウェアを使用した攻撃の数が、ビットコインやモネロなどの仮想通貨の価格と連動して推移する傾向があることを発表した。

 仮想通貨の取引価格が高い時には、サイバー犯罪者も仮想通貨マイニングを積極的に行なっており、2017年12月にビットコインの価格が史上最高値を記録したと同時に、日本人ユーザを標的とした仮想通貨マイニングマルウェアも急上昇し、月間攻撃数は310万回を上回ったという。

 その後、2018年に入り仮想通貨の価格が下落したさいには、マイニングの攻撃数も同様に下落し、6月には月間50万回強まで落ち込んだとしている。

 サイバー犯罪によるマイニングでは、ビットコインなどに比べて保有者の匿名性とプライバシーに優れていることから、とくにモネロがマイニング対象になってしまう場合が多いという。

 一方、マルウェアによってマイニングされた新しい仮想通貨も存在しており、新規通貨の多くがICO直後に価格がピークに達し、その後下落するという傾向を悪用し、サイバー犯罪者は通貨価格が下落する前の短期間で取引を行ない、より安定した仮想通貨に交換してから、円や米ドルに再び交換することで、活動の収益化を図っているという。

 Avast日本法人カントリーマネージャーの高橋実氏は、「Webブラウザベースの仮想通貨マイニングの攻撃数と、ビットコインやモネロなどの仮想通貨の価格に見られる相関関係は顕著で、サイバー犯罪者が仮想通貨の人気や価格を考慮した上で活動を計画していることを如実に物語っている」と述べており、大半の仮想通貨の価格と同様に、攻撃数はここ数カ月間で下落しているという。

 同氏は、サイバー犯罪者も自前のWebサイトのほか、第三者のWebサイトの感染に必要なアルゴリズム、コマンド&コントロールサーバーの保守などで、金銭的課題に直面していることが考えられるとしており、上記の傾向を踏まえると、マイニングの収益性が高まることから、仮想通貨の価格が今後再び上昇すれば、マイニング攻撃も急増する可能性があると警告している。